英雄伝説~灰の軌跡~
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第32話
~パンダグリュエル・パーティーホール~
「オレ達それぞれの”個人としての意見”か………」
「その答えを出す事も私達にとっては難しいよね……」
トワの問いかけに対してガイウスとアリサはそれぞれ複雑そうな表情で考え込み
「その……やっぱりユーシスとラウラは指揮下に入った方がいいと思っているの?レン皇女殿下もさっき二人は貴族だから”貴族の義務”として、貴族連合軍の兵士達を殺す事も当然だって言っていたけど……」
「…………ああ。俺の場合は今回のメンフィルとの戦争勃発の原因となった”アルバレア公爵家”の一員として皇女殿下や皇帝陛下達―――”アルノール皇家”に対する贖罪をする意味もあるが……自らの権力を維持したいが為に内戦を引き起こしてエレボニアの民達を苦しめ続け、挙句の果てには皇帝陛下達を自分達の”大義名分”として利用し続けている貴族連合軍の所業は帝国貴族として許し難い所業だ。そのような”賊”共を斬り、エレボニアの平和を取り戻す事も”貴族の義務”だ。」
「……私もユーシスと同じ意見だ。私達帝国貴族はエレボニアの民達が納めてくれる税によって、生きている。民達は有事の際、私達帝国貴族が先頭に立って解決してくれると信頼し、税を納め続けているのだから、その信頼に応える事もまた”貴族の義務”なのだからな。」
「アンもこの場にいれば、二人と同じ事を言うんだろうね……」
「うん……アンちゃんは普段は貴族からかけ離れた事をしているけど、何だかんだ言っても肝心な時になれば貴族の一員として、立派に”貴族の義務”を果たしてきたものね。」
「………………」
エリオットに問いかけられたユーシスとラウラはそれぞれ肯定し、ジョルジュとトワはそれぞれある人物の顔を思い浮かべて複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は目を伏せて黙り込んでいた。
「君達とはまた別の理由だけど、正直僕も”特務部隊”の指揮下に入って、一日でも早く貴族連合軍を制圧して、内戦を終結させるべきだと思っている……今回のメンフィルとの戦争や内戦も元を正せば”革新派”と”貴族派”の派閥争いなのだから、その派閥争いに深く関わっている父さんの息子である僕もその責任を果たす必要があるだろうしな……」
「その件で君達が罪悪感等を抱く必要はないよ。本来派閥争いを治めるべき人物は私達――――”アルノール皇家”なのだからね。」
「お兄様の言う通りですわ。ですから、マキアスさん達が辛い思いを抱えてわたくし達と共にする必要はありませんわ。」
複雑そうな表情で答えたマキアスにオリヴァルト皇子とアルフィン皇女はそれぞれ慰めの言葉をかけた。
「お気遣い、ありがとうございます。でも父さんが今回の件を知ったら、エレボニアが衰退する原因は間違いなく自分である事にも気づいて自分自身を責めるでしょうから、父さんの息子としてその罪悪感を少しでも和らげたいんです。」
「マキアス…………」
マキアスの答えを聞いたエリオットは辛そうな表情をし
「………わたしはわたし自身の事情があるから、”殲滅天使”―――特務部隊の指揮下に入る事に賛成。」
「フィーの事情って………」
「貴族連合軍に雇われている”西風の旅団”の猟兵達ね?」
フィーの話を聞いたアリサが戸惑っている中サラは複雑そうな表情でフィーに確認した。
「ん。多分”殲滅天使”達は貴族連合軍に雇われている猟兵達に関しては言葉通り”殲滅”するだろうから、例えゼノとレオが殺されるにしても、せめて二人の口からゼノ達―――”西風の旅団”のみんながわたしを置いて行った理由を聞きたい。」
「猟兵達は”殲滅”って………確か”特務部隊”は派閥争いを止めさせるために領邦軍―――貴族連合軍の一部も協力させるとの事だから、貴族連合軍が雇っていた猟兵達も協力させるんじゃないの?まあ、遊撃士の私達からすれば、天敵の猟兵達まで協力させることは複雑だけど………」
フィーの推測を聞いたアネラスは不安そうな表情で推測を呟いた後複雑そうな表情をした。
「―――いえ、恐らくレン達は猟兵達に関しては生かさず全て”殲滅”すると思うわ。”猟兵”は”報酬”で動く存在だから、報酬外の仕事――――領邦軍と一緒に特務部隊の指揮下に入る事なんてありえないでしょうし、”リベールの異変”の際襲撃してきた結社の”強化猟兵”や結社が雇った猟兵達に対するメンフィルの対応を考えれば、猟兵を生かす可能性はゼロよ。」
「かつて第三柱――――”白面”主導の下によって行われた”福音計画”に投入した強化猟兵や結社が雇った猟兵団―――”赤い星座”と”西風の旅団”の猟兵達はメンフィル軍によって、壊滅的な被害を与えられた為、”リベールの異変”に関わり、生き残った猟兵達は僅かな人数ですから、シェラザード様の推測は恐らく当たっているかと。」
「そもそも”特務部隊”には”魔神”のエヴリーヌ君やプリネ姫の使い魔であるアムドシアスがいるからね………”魔神”である彼女達はその気になれば、貴族連合軍どころかエレボニア帝国を僅かな時間で灰燼と化する事ができるのだから、そんな強力な戦力を”特務部隊”が有している以上、わざわざ猟兵達を雇うような無意味な事をしないだろうから、特務部隊は猟兵達を活用するつもりは最初からないと思うよ。」
シェラザードとシャロンの推測や説明に続くようにオリヴァルト皇子は疲れた表情で自身の推測を答え
「エ、”エレボニア帝国を僅かな時間で灰燼と化する事ができる”って……!」
「……殿下。”魔神”という種族はそれ程までに強力な種族なのですか?」
オリヴァルト皇子の推測を聞いたトワは信じられない表情をし、クレア大尉は戸惑いの表情でオリヴァルト皇子に訊ねた。
「ああ。レン君の説明にもあったように”魔神”とは”闇夜の眷属”の中でも”最強の種族”と恐れられているだけあって、身体能力、魔力等あらゆる能力が他の種族と比べると圧倒的に秀でていて、その圧倒的な能力のお陰で”魔神”が放つ技や魔術はどれも”兵器クラス”の威力で、奥義や大魔術クラスになるとそれこそ軍隊どころかガレリア要塞のような堅牢な要塞も一瞬で灰燼と化する事ができるのさ。」
「な――――――」
「ほええええええ~っ!?”魔神”って言う種族って、そんなに滅茶苦茶強いの~!?」
「まさに正真正銘の”化物”じゃないですか!」
「甘いわね。実際に”魔神”の力をその目にしたら、”化物”という評価すらも生温いと思うわよ?」
「アハハ………ちなみに異世界の私達の知り合いの中にはその”魔神”や”神”すらも超える存在――――”神を殺した存在”もいるんだよ?」
オリヴァルト皇子の答えを聞いたクレア大尉は絶句し、ミリアムは信じられない表情で声を上げ、表情を引き攣らせて声を上げたマキアスにシェラザードは疲れた表情で指摘し、アネラスは苦笑しながら答え、アネラスのとんでもない答えを聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ハア!?”神を殺した存在”―――”神殺し”まで異世界に存在するの!?」
「何で異世界って、そんな滅茶苦茶な存在がゴロゴロいるんだよ………」
「そのような”超越者”達が多数存在しているのですから、異世界は恐らく”神話”に出てくるような世界なのでしょうね………」
「”神話に出てくるような世界”か………」
アネラスの話を聞いたセリーヌは信じられない表情で声を上げ、トヴァルは疲れた表情で呟き、不安そうな表情で呟いたエマのある言葉が気になったガイウスは静かな表情で考え込んでいた。
「殿下。先程その”魔神”という存在はエヴリーヌ殿とプリネ皇女殿下の使い魔という存在だとの事ですが……」
「プリネ姫には彼女に従う4人の異種族の使い魔がいてね……その内の一人の使い魔がアムドシアスという名前の”魔神”なのさ。」
「ええっ!?そ、それじゃあプリネ皇女殿下はその”魔神”という存在を従えているんですか!?」
「”アムドシアス”……―――!ま、まさかその”魔神”は……!」
「ソロモン72柱の1柱、”一角公”アムドシアスなのかしら?」
アルゼイド子爵の質問に答えたオリヴァルト皇子の説明を聞いたトワが驚いている中ある事に気づいたエマは信じられない表情をし、セリーヌは目を細めて訊ねた。
「ああ。まあ、本人は自分の事を”美を愛する魔神”にして、”音楽を愛する魔神”と語っているがね。」
「”美を愛する魔神”にして、”音楽を愛する魔神”とか意味不明なんだけど………」
「フン、どこぞの仮面怪盗を思い出させるような謳い文句だな。」
「そ、その”仮面怪盗”ってまさか………」
「フフッ、そう言えば”怪盗紳士ブルブラン”は”美”に関して独自の拘りがありましたわね。」
「”音楽を愛する魔神”なのだから、音楽が好きなエリオットならばその”魔神”と仲良くできるかもしれないな。」
「ええっ!?そ、そんなとんでもない存在と仲良くする事なんて、できないと思うんだけど………」
オリヴァルト皇子の説明にその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力している中アリサはジト目で呟き、呆れた表情で呟いたユーシスの話を聞いてある人物を思い出したマキアスは表情を引き攣らせ、シャロンは苦笑し、ガイウスの推測を聞いたエリオットは驚いた後戸惑いの表情で答えた。
「そう言えばお兄様がリベールの旅行の際、”美”を巡る二人の好敵手と出会い、その内の一人があの”怪盗B”との事ですが、もしかしてもう一人の方が……」
「―――その通り。プリネ姫の使い魔であるアムドシアスも”美”を巡る我が好敵手なのさ。」
「ハア………一人でもまともに相手にしていたら疲れる存在であるあんた達3人が揃った事を考えると、ゾッとするわ……」
「アハハ……エステルちゃん達の話だと一度だけ3人揃った事があって、その時もエステルちゃん達は物凄く疲れたって言っていましたね……」
ある事を思い出したアルフィン皇女の問いかけにオリヴァルト皇子は髪をかき上げて笑顔で答え、オリヴァルト皇子の答えにアリサ達が脱力している中シェラザードは疲れた表情で溜息を吐き、アネラスは苦笑していた。
「まさか”一角公”がそんな酔狂な性格をしているなんてね………ソロモン72柱の大悪魔の名が泣くわよ………」
「さっきから気になっていたけど、その”ソロモン72柱”って一体何?」
「セリーヌ君は”大悪魔”って言っていたけど………」
疲れた表情で呟いたセリーヌの話を聞いたフィーは首を傾げて訊ね、ジョルジュは不安そうな表情で呟いた。
「”ソロモン72柱”とは古文書などに載っている古の王―――”ソロモン王”が使役したとされている72柱の大悪魔達です。恐らく七耀教会の”聖典”にも載っている有名な悪魔だと思います。」
「”ソロモン72柱”の悪魔達はどれも上位悪魔や最上位悪魔ばかりで、中には”魔王”もいてね………序列第67柱のアムドシアスは”公爵”の爵位を持っていると言われているわ。……先に言っておくけど、悪魔達の”爵位”は人間達の爵位と違って、その悪魔達それぞれが持つ”力”によって評価されているから、爵位を持つ悪魔は爵位が高ければ高い程強力な”力”を持っていると言われているわ。」
「ええっ!?こ、”公爵”!?」
「しかも爵位持ちの悪魔は爵位が高ければ高い程強力な”力”を持っているとの事だから、爵位の中でも頂を冠する”公爵”の爵位を持つそのアムドシアスという”魔神”も凄まじい”力”を持つ存在なのだろうな………」
「おいおい……エクソシストの役割も兼ねている星杯騎士団が知れば、洒落にならない事が起こるんじゃねぇのか?」
エマとセリーヌの説明を聞いたエリオットは驚き、ラウラは重々しい様子を纏って呟き、トヴァルは疲れた表情で溜息を吐いた。
「話を戻すけど………フィー、あんたは本当にそれでいいの?特務部隊の指揮下に入ったら、最悪自分の手で”西風の旅団”の猟兵達を殺す事になるかもしれないわよ?」
「………ん。例えどんな相手であろうと”戦場”で”敵”として出会えば、どちらかが倒れるまで終わらない事は猟兵時代に団長達から教わっていたから覚悟もできている。」
「フィー…………」
真剣な表情をしたサラに問いかけられたフィーは一瞬僅かな辛そうな表情をしたがすぐに冷静な表情になって頷いて答え、フィーの様子をラウラは心配そうな表情で見つめていた。
「ん~………ボクも特務部隊の指揮下に入る事に賛成かな~。メリットを考えると、そっちの方が断然いいし、自由に行動した所で学生のボク達ができる事なんて大した事はないし、どうせメンフィルによって内戦が終結させられるんだから、いっそ開き直ってメンフィルと一緒にさっさと内戦を終結させた方がいいと思うしね~。」
「ミリアムちゃん………」
「その………ミリアムは本当にそれでいいのか?特務部隊の指揮下に入ったら、今もどこかで生きていると思われるオズボーン宰相を裏切るような事になると思うが………」
フィーに続くように答えたミリアムの答えを聞いたクレア大尉は複雑そうな表情をし、マキアスは複雑そうな表情でミリアムに訊ねた。
「アハハ、オジサンはそんな細かい事は気にしないと思うよ。特にレクターとか、いつ裏切るかわかんない人で、オジサンはその事も想定してレクターを重用しているしね~。」
「お願いしますから、そう言った問題発言を何の躊躇いもなく口にしないでください、ミリアムちゃん………」
無邪気な笑顔を浮かべて答えたミリアムの爆弾発言にその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中クレア大尉は疲れた表情で指摘した。
「レクター………確かあんたがエレボニアに帰国する直前にグランセル城を訪問した”鉄血宰相”の傍にいた妙に隙のない足運びの書記官ね?」
「ああ。彼も”鉄血の子供達”の一人で、主に裏からの手回しや交渉を得意としている宰相殿自慢の秘書さ。」
「そ、そんな人が離反の可能性がある人だなんて………」
「………どうやら”鉄血の子供達”は一致団結して”鉄血宰相”に仕えているって訳じゃないようね。」
「………………」
かつての出来事を思い出したシェラザードに問いかけられたオリヴァルト皇子は頷いて説明し、オリヴァルト皇子の説明を聞いたアネラスは信じられない表情をし、サラは静かな表情で呟いて複雑そうな表情で黙り込んでいるクレア大尉を見つめた。
「”本物の戦場”に出陣する義務があるラウラ達は全員特務部隊の指揮下に入る事に賛成か………」
「後は出陣義務がない私達ですね………」
「「……………」」
静かな表情で呟いたガイウスに続くように複雑そうな表情で答えたエマの言葉を聞いたアリサとエリオットはそれぞれ辛そうな表情で黙り込んでいた。
「あれ?委員長は”特務部隊”の指揮下に入る事に賛成なんじゃないの~?特務部隊の指揮下に入れば、諦めかけていた”シメイ”とやらを果たせるんでしょう~?」
「そう言えばいいんちょはリィン特務准将が”騎神”を手に入れるように導く事がいいんちょ――――”魔女の眷属”の”使命”だったね。」
「そ、それは…………」
「………ま、少なくてもアタシは賛成ね。自分達が担当する”起動者”が”騎神”を手に入れるように導く事がアタシ達―――”魔女の眷属”が果たすべき”使命”なんだからね。ひょっとしたら、トールズ士官学院に入学できればリィンと邂逅できるって占いも今の事かもしれないしね。」
「へ………占いでトールズ士官学院に入学すれば、リィン特務准将と邂逅できるってどういう事なんだ?」
ミリアムとフィーの指摘にエマが複雑そうな表情で答えを濁している中静かな表情で答えたセリーヌの話の中で気になる事が出て来たマキアスは呆けた声を出した後エマとセリーヌに訊ねた。
「その………私達”魔女の眷属”の中で占いを得意としている方がいらっしゃいまして……その方に占ってもらった所、私とセリーヌが導く”起動者”―――リィンさんは私がトールズ士官学院に入学すれば、必ず邂逅できるという結果が出たんです。」
「ええっ!?じゃあエマ達がトールズ士官学院に来た理由って……!」
「リィン君達と邂逅する為だったのか………」
「お兄様………」
エマの説明を聞いたアリサが驚いている中重々しい様子を纏っているオリヴァルト皇子の様子をアルフィン皇女は心配そうな表情で見つめていた。
「トールズ士官学院に来た当初は困惑したわよ。リィンはエマと同じクラスにならなかったどころかトールズ士官学院に入学すらしていなかったのだからね。しかも編入してくる様子もなく、無駄に時間が経ち続けたから正直どうすればいいのか、お手上げだったわ。」
「以前の小旅行でリィンさんの故郷であるユミルを訪れる機会がありましたから、実はその時にリィンさんと邂逅すると思っていたのですが、肝心のリィンさんはユミルに滞在していませんでしたから、一体いつになれば邂逅できるのかと思っていたのですが………」
「……今回の戦争でメンフィル軍がバリアハートを攻めた時にようやく邂逅できたという事か。」
「ユーシス………」
セリーヌとエマの説明を聞いたユーシスは重々しい様子を纏って呟き、ユーシスの様子をエリオットは辛そうな表情で見つめていた。
「……やっぱり、私も特務部隊の指揮下に入る事は賛成です。リィンさんの件もありますが、指揮下に入らなかった場合ヴィータ姉さんに会う事すらできず、ヴィータ姉さんと何も話す事ができずヴィータ姉さんの”死”を知ってしまう事になるかもしれませんし……」
「あ………」
「そう言えばクロチルダさんは”和解条約”でメンフィルに引き渡されている事になっているからな………」
「申し訳ございません、エマさん……結社の関係者だからエレボニアにとっては問題ないと思い、メンフィル帝国に彼女の身柄を引き渡す事についてシルヴァン皇帝陛下に緩和を望む交渉等一切せずに同意してしまって……」
辛そうな表情で答えたエマの答えを聞いたエリオットは呆けた声を出し、マキアスは辛そうな表情で呟き、アルフィン皇女はエマに謝罪した。
「いえ……メンフィル帝国との戦争は姉さんも責任の一端を背負っていますし、姉さんも内戦勃発の元凶の一人で罰せられて当然の存在ですから皇女殿下が謝罪する必要はありませんから、どうかお気になさらないでください。」
アルフィン皇女に謝罪されたエマは謙遜した様子で答え
「そう言えば、”蒼の深淵”はあのアルティナって少女にエリゼお嬢さんかルシア夫人を誘拐するように命じていたから、メンフィルが和解条約に”蒼の深淵”の件を入れたのはそれが一番の理由かもしれないな……」
「恐らくメンフィルの次代の皇帝に重用されている家臣自身やその関係者に手を出そうとしたから、その”蛇の使徒”はメンフィルの逆鱗に触れて和解条約に組み込まれたのしょうね。」
「エリゼちゃんはあのリフィア殿下の専属侍女長ですからね………」
「ヴィータ姉さん………………」
「つまり、ヴィータは藪をつついて蛇を出した事によってメンフィルの標的になったって訳ね……ったく、何でそんな事を考えたのかしら、ヴィータは。」
トヴァルとシェラザードの推測を聞いたアネラスは複雑そうな表情で呟き、エマは辛そうな表情をし、セリーヌは呆れた表情で溜息を吐いた。
「………オレも指揮下に入る事に賛成だ。みんなにも指揮下に入る事に賛成である”理由”があるように、オレもオレ自身の”理由”がある。」
「へ……ガイウス自身の”理由”……?」
ガイウスの答えを聞いたエリオットは不思議そうな表情でガイウスを見つめた。
「ノルドの地での特別実習の時にアリサ達にも話したが………オレがゼクス中将の推薦によって士官学院に入学した理由はノルドの”外”を知る為だ。」
「あ…………」
「……お前が愛する故郷であるノルド高原がいずれ”外”の大きな流れに巻き込まれる可能性があり得ると考え、故郷を守る為に”外の世界”を知る為だったな。」
ガイウスの説明を聞いてかつての出来事を思い出したアリサは呆けた声を出し、ユーシスは静かな表情で呟き
「なるほどね……”ノルド高原”を取り巻く状況を考えれば、ガイウス君がノルドの未来を不安に感じるのも当然と言えば当然だね……」
「”ノルド高原”はクロスベル自治州同様、共和国と領有権争いをしている状況ですからね……」
「はい………ノルド高原もクロスベル程の緊張状態では無いとはいえ、常に帝国軍と共和国軍がお互いを睨みあっている状況ですものね……」
オリヴァルト皇子とアルゼイド子爵の言葉に頷いたアルフィン皇女は辛そうな表情をした。
「という事はガイウスはトールズ士官学院に入学したようにメンフィル帝国―――”異世界”を知る為に、特務部隊の指揮下に入る事に賛成なのだな?」
「ああ。”百日戦役”と今回の戦争で大国であるエレボニア相手に圧倒的な勝利をしたメンフィル帝国……そして異世界に存在する多くの異種族達や宗教を始めとしたこのゼムリア大陸とは異なる異世界の”文化”……それらを知る為には特務部隊の指揮下に入った方がいいと思っている。」
「ガイウスさん………」
「まあ、特務部隊にはメンフィルの貴族や皇族もいるからメンフィルや異世界の事について詳しく知る絶好の機会でしょうね。」
「ハハ、プリネ姫達なら頼めば気軽に教えてくれると思うよ。」
ラウラの問いかけに頷いて答えたガイウスの説明を聞いたエマは驚き、静かな表情で呟いたセリーヌの言葉を聞いたオリヴァルト皇子は苦笑しながら答えた。
「その………みんなの話を聞いてよく考えてみたけど僕も賛成かな……指揮下に入らなかった時のデメリットがあまりにも大きい事もあるけど、ここで逃げたら音楽の道に進むことも許してくれた父さんに会わせる顔もないし、それに………クロウと2度と会う事もできないだろうしね。」
「あ………」
「クロウ………」
エリオットの話を聞いたトワとジョルジュはそれぞれ辛そうな表情である人物の顔を思い浮かべた。
「後はアリサだけだね~。」
「………………」
「お嬢様………」
そしてミリアムが呟いた言葉をきっかけにその場にいる全員がアリサに注目している中、アリサは複雑そうな表情で考え込み、その様子をシャロンは心配そうな表情で見つめていた。
「…………――――色々悩んだけど、決めたわ。私も特務部隊の指揮下に入る事に賛成よ。特務部隊の指揮下に入れば、行方不明の母様の事もわかるだろうし、もし母様が捕まっていたら特務部隊に母様の救助を提案して、助ける事もできるでしょうしね。」
「レグラムでもレン皇女殿下は皇女殿下や皇帝陛下達の幽閉場所だけでなく、レーグニッツ知事閣下やイリーナ会長の居場所もメンフィル帝国は把握していると仰っていた上、指揮下に入ればメンフィル帝国の諜報部隊が手に入れたエレボニア帝国各地の情報も提供してくれるとの事ですから、イリーナ会長の居場所を知る事も可能でしょうね。」
「しかもイリーナ会長は”ラインフォルトグループ”の会長だからな。”ラインフォルトグループ”の本社があるルーレを和解条約で手に入れた事で将来”ラインフォルトグループ”とも深く付き合って行く事になるメンフィルも恐らく反対はしないだろうな。」
決意の表情で答えたアリサの答えを聞いたクレア大尉は静かな表情で、トヴァルは苦笑しながらそれぞれの推測を口にし
「それに………”特別実習”を通してエレボニアの派閥争いを見てきて、時には巻き込まれた事もある私達が今更蚊帳の外にされるなんて、納得できないでしょう?」
「アリサさん……」
「うむ、アリサの言う通りだ。」
「しかも原因は僕達の身内なんだから、尚更内戦が終結するのを黙って見ている訳にはいかないよな。」
「フン、遺憾ではあるがその点については貴様と同じ意見だな。」
「こ、この男は……!」
口元に笑みを浮かべたアリサの言葉にエマが苦笑している中ラウラは頷き、自分が口にした言葉を聞いて自分に対する毒舌も混ぜて答えたユーシスをマキアスはジト目で見つめ
「これで決まり……だね。」
「ああ。」
「アハハ……みんな理由は違えど、答えは一緒だったね。」
「ニシシ、こんなにも早く答えを出した事を知れば、さすがの”殲滅天使”も驚くだろうね~♪
静かな笑みを浮かべたフィーの言葉にガイウスは頷いている中エリオットは苦笑し、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべていた。
「アンタたち……」
「皆さん……」
「ふふ、それでこそⅦ組の皆様ですわ♪」
Ⅶ組の決意を知ったサラとアルフィン皇女は驚き、シャロンは微笑んだ。
「みんな…………”Ⅶ組”は本当に特務部隊の指揮下に入る事で賛成でいいんだね?」
そしてトワはアリサ達に確認し
「はいっ!」
トワの確認の言葉に対してアリサ達はそれぞれの顔を見合わせて頷いた後力強く答えた。
「わかりました。だったら、わたしも生徒会長として……みんなの先輩として全身全霊でサポートするね。」
「勿論僕もトワと一緒にサポートさせてもらうよ。アンも含めて帝国各地に散っている学院生達も気持ちは君達と同じだと思うから、きっと協力してくれると思うよ。」
「トワ会長、ジョルジュ先輩………本当にありがとうございます。」
トワとジョルジュの心強い言葉にエマはⅦ組を代表して感謝の言葉を述べた。
「どうやらこれで決まりのようですな、殿下。」
「ああ。まさかここまでの答えが聞けるとは思わなかったよ。」
「ふふっ、さすがのあの娘も彼らがこんなにも早く答えを出したことを知ったら驚くでしょうね。」
「どうでしょうね?レンちゃんなら、それすらも予想していてそうですし。」
アリサ達の様子をアルゼイド子爵とオリヴァルト皇子が微笑ましそうに見守っている中、シェラザードとアネラスはそれぞれアリサ達に答えを迫ったレンの顔を思い浮かべて苦笑していた。するとその時扉がノックされ、ノックに気づいたその場にいる全員は扉に注目した。
「誰だい?」
「――――エリゼです。会議中の所、申し訳ございません。皆様の夕食をご用意致しましたので、夕食の配膳をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
オリヴァルト皇子の問いかけに対して扉の外にいる人物―――エリゼが答え
「ああ、ちょうど話し合いも終わった事でみんな一安心した事でお腹が空いて来ているだろうから、是非お願いするよ。」
「え?……―――かしこまりました。失礼します。」
オリヴァルト皇子の答えを聞いて一瞬呆けた声を出したエリゼだったがすぐに気を取り直して、扉を開けて料理が入った大鍋や束になっている銀製の皿等を乗せたグルメカートと共に部屋に入って来た。
「クンクン……ん~?何かどこかで嗅いだことがあるいいニオイだね~?」
「犬か、貴様は。」
「はしたないですよ、ミリアムちゃん……」
グルメカートに乗っている大鍋から漂って来る匂いを嗅いだミリアムの様子にユーシスとクレア大尉は呆れた表情で指摘し
「この香りは………ハヤシライスのルーだと思いますわ。」
「あ……っ!」
「ど、道理で僕達も覚えがある香りな訳だ……」
「フフ、2日目のガレリア要塞で出たハヤシライスは前日の食事と比べると天と地の差だから、あんた達のハヤシライスへの印象が深くなったんじゃないかしら?」
「確かに前日の食事は酷かった。」
「あれはあれで印象深かったが……」
「アハハ………」
シャロンの推測を聞いたアリサは声を上げ、マキアスは苦笑し、サラの推測に続くようにフィーはジト目で、ガイウスは困った表情で答え、サラ達の話を聞いたエマは苦笑していた。
「ハハ、ハヤシライスか。去年の実習を思い出すね。」
「うん……昼食に出された帝国軍伝統の食事に文句を言っていたクロウ君やアンちゃんもハヤシライスは絶賛して、お代わりまでしていたものね……」
一方ジョルジュとトワは懐かしそうな表情でかつての出来事を思い出していた。
「皆様がパンダグリュエルにいらっしゃる前にレン皇女殿下より、恐らく皆様は”今後”の事についての話し合いをすると思われるとの事ですから、凝った料理よりも素早く食事を終えるような料理を出してあげて欲しいと言われてメインはハヤシライスにしたのですが………他の料理の方がよろしかったでしょうか?」
エリゼの説明によってレンが和解条約を知った自分達が話し合う事も予測してエリゼに夕食の内容を指示していた事を知ったその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「シャロン殿の仰った通り、レン皇女殿下は和解条約の事を知った我々が話し合う事すらも推測し、我々がそうなるように誘導したようだな……」
「この様子じゃ、下手したら”殲滅天使”は貴族連合軍の行動も自分の掌の上で踊るように誘導するんじゃねえのか?」
「それに随分とタイミング良く夕食を持って来てくれたようだけど……まさかそれも”殲滅天使”の指示なのかしら?」
ラウラは重々しい様子を纏って呟き、トヴァルは疲れた表情で溜息を吐き、サラは疲れた表情でエリゼに訊ねた。
「はい。先程退出した際にレン皇女殿下にそろそろ話が煮詰まるか、もしくは皆様が既に答えを出している頃だろうから、今の時間―――午後8時ちょうどに夕食を出すように指示をされました。」
そしてエリゼの答えを聞いたその場にいる全員は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ま、まさかレン皇女殿下がそこまで見越してエリゼさんに夕食の配膳の時間まで指示していたなんて……」
「ハハ……さすがレン君だね。特に問題はないから、配膳を頼むよ。」
アルフィン皇女が驚いている中オリヴァルト皇子は苦笑しながら答えた。
「かしこまりました。」
「僭越ながら、私もお手伝い致しますわ。なんなりとお申しつけください。」
「ありがとうございます。でしたらまずは――――」
そしてエリゼはシャロンと共にその場にいる全員に夕食を配膳し、アリサ達は配膳された夕食を食べ始めた。
「……美味しい……」
「ガレリア要塞で食べたハヤシライスも美味しかったが、あの時以上に美味しく感じるな……」
「うむ、間違いなくこちらのハヤシライスの方が上だな。」
「この味ならば、三ツ星レストランにも出せるレベルだな。」
「付け合わせのサラダもとても美味しいですね……サラダも含めて全てエリゼさん一人で用意したのですか?」
配膳された食事の美味しさにアリサが驚いている中ガイウスが呟いた言葉を聞いたラウラとユーシスは頷いてそれぞれ高評価し、エマはエリゼに質問した。
「はい。それと食後のデザートとして、フルーツゼリーを用意させて頂きましたので、皆さんが食事を終えましたら配膳させて頂きます。」
エマの質問に静かな表情で答えたエリゼの答えを聞き、エリゼの優秀さの一端を知ったその場にいる全員は冷や汗をかき
「ほ、本当にこんな美味しい料理を一人で用意したんだ……」
「ま、まあ、エリゼさんはメンフィル皇家―――それもメンフィル帝国の跡継ぎであられるリフィア皇女殿下の専属のメイド長だから、料理は当然得意だろうな。」
「うふふ、同じメイドとして私もエリゼ様の料理の腕前を見習わなければなりませんわね。」
「ハハ、よかったね、アルフィン。臨時とはいえ、物凄く優秀な御付きの侍女ができて。これなら、今の状況でも毎日美味しい食事を食べられるだろうね♪」
「はい。ふふっ、わたくしにはもったいないくらいですわ。」
「恐縮です。」
エリオットが驚いている中マキアスは苦笑し、シャロンは微笑み、オリヴァルト皇子とアルフィン皇女の自分に対する評価を聞いたエリゼは謙遜した様子で答えて軽く会釈をした。
「料理も上手で戦闘能力も凄まじい……まるでシャロン殿のようなメイドだな、エリゼ殿は。」
「同感だ。何故か俺達の周りに限って規格外な使用人達が現れるな。」
「うふふ、お褒め頂き、光栄ですわ♪」
「ラウラはともかくユーシスは褒めていないでしょう……」
ラウラの意見に頷いたユーシスの言葉を聞いて微笑んだシャロンにアリサは呆れた表情で指摘した。
「それにしてもわざわざ銀製の食器を使うなんてね………大方それもメンフィルがアタシ達に危害を加えるつもりがない事を示す為として”殲滅天使”に指示されたんでしょう?」
「?それってどういう事。」
呆れた表情で溜息を吐いた後エリゼに問いかけたセリーヌの様子を見たフィーは不思議そうな表情で首を傾げてセリーヌに訊ねた。
「銀製の食器を使用するのは銀製の食器には『料理に毒は入っていない為、安心して料理を楽しんでほしい』という意味が込められているからなのだ。」
「銀は毒に反応するようになっている為、もし料理に毒物が混入されていた場合化学反応によっていち早く料理の中に毒物が混入されている事を察知できる事からそのような意味が銀製の食器に込められているのさ。」
アルゼイド子爵とオリヴァルト皇子の説明を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「銀製の食器を使う理由にまさかそのような理由があったとは……」
「そんなとんでもない理由、正直知りたくなかったな……」
「要は料理に毒は入っていないって意味なんだから、逆に考えれば安心して食べられるって事なんだから、そんなに気にしなくていいと思うんだけどな~。モグモグ……お代わり!」
我に返ったガイウスは静かな表情で考え込みながら自分が使っている食器を見つめ、疲れた表情で呟いたマキアスに指摘したミリアムは呑気な様子でお代わりをエリゼに要求し、ミリアムの呑気な様子にアリサ達は脱力した。
「私達は他国であるメンフィル帝国にわざわざ夕食を用意して頂いた立場なのですから、少しは遠慮してください、ミリアムちゃん……」
「フン、そのガキの頭の中に”遠慮”という言葉は存在していないだろうから、注意するだけ無駄だと思うがな。」
「同感だ………」
呆れた表情でミリアムに指摘したクレア大尉の指摘に反応したユーシスの言葉にマキアスは疲れた表情で同意し
「フフ、私は別に気にしておりませんので、皆さんもミリアムさんのようにお代わりを所望して頂いても構いませんよ?そもそも皆さんの食事にお出しした料理に使っている食材は”パンダグリュエル”に元々あった食材ですから、貴族連合軍と敵対している皆さんが遠慮する必要はないと思いますし。」
苦笑しながらミリアムの要望に応えて新たなハヤシライスを用意したエリゼの指摘を聞いたアリサ達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「い、言われてみれば”パンダグリュエル”の規模を考えたら、艦内にいた貴族連合軍の兵士やVIP達の為に集めた大量の食材や高級食材がパンダグリュエルに保管されていてもおかしくないよね。」
「つまり、僕達が食べている料理の元となった食材は貴族連合軍が平民達から徴収した食材で、更にそれをメンフィルが奪って僕達の夕食にも使ったいう事になるね。」
「それはそれで複雑だよね……」
「というかパンダグリュエルにも間違いなく各地で正規軍と戦っている貴族連合軍への補給物資が大量にあっただろうから、よく考えてみるとパンダグリュエルを失った事は貴族連合軍全体にとって、とんでもない大ダメージになっているかもね。」
「フィ、フィーちゃん。」
冷や汗をかいたトワとジョルジュの話を聞いたエリオットは困った表情で答え、静かな表情で呟いたフィーの推測を聞いたエマは冷や汗をかいた。
「だが、フィーの言っている事にも一理あるな。しかも貴族連合軍はパンダグリュエルに続いてオルディスまで奪われたのだから、もしかしたら”主宰”であるカイエン公の立場は追い詰められている状況かもしれないな。」
「そうね。よりにもよって、旗艦と親玉の故郷が奪われたんだから、貴族連合軍に加担している貴族達はその事を知れば間違いなく動揺するでしょうね。」
「それに”総参謀”であるルーファス卿と”領邦軍の英雄”の一人として称えられていたオーレリアまで戦死した事は、貴族連合軍全体の士気を下げているだろうな………」
「貴族連合軍がそんな状況で、その貴族連合軍を潰す相手はよりにもよって、”殲滅天使”を参謀にしているメンフィルの精鋭部隊だろう?”殲滅天使”の事だから、徹底的に貴族連合軍を叩き潰す謀略を考えているんだろうな………」
ラウラやサラ、アルゼイド子爵の推測を聞いたトヴァルは疲れた表情で溜息を吐き
「ま、その意見には同感ね。というかあの娘を敵に回した時点で、相手の方が哀れに思えるような結末になると思うわ。」
「アハハ……でも、逆に考えればそんなレンちゃんが味方だったら、とても心強いじゃないですか。」
トヴァルの意見に同意したシェラザードの答えを聞いたアネラスは苦笑しながら答えた。
「ハハ、アネラス君の言っている事にも一理あるね。――――エリゼ君、私達の食事が終わったらレン君を呼んで来て貰えないかい?予定していた時間より少々早いが、彼らは”答え”を出したのだから、それを彼女にも教える必要があるだろうしね。」
「―――かしこまりました。」
オリヴァルト皇子の要請に対してエリゼは会釈をして答えた。
その後アリサ達が食事を終えると、エリゼの後片付けを手伝い、後片付けを終えるとエリゼは部屋から退出した。そして数分経つとレンが再び部屋に入って来た――――
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