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真田十勇士

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巻ノ九十九 さらば都その三

「わかっておられると思うが」
「免許皆伝からですな」
「はじまりとなる」
 本格的なそれにというのだ。
「だからな」
「それからもですな」
「鍛錬に励まれてじゃ」
「より強くなる」
「そうなられよ、むしろそれがし以上にな」
 果心居士は筧にこうも言った。
「強くなられよ」
「果心居士殿以上に」
「そうじゃ」
 まさにととだ。筧に強い声で告げた。
「是非な、そしてな」
「では」
「術を使われよ」
 筧にこうも言った。
「ここでな」
「はい、それでは」
 筧は果心居士に応え術を使ってみせた、五遁の術、自身の周りにそれぞれを乱舞させるその術を使ってみせた。
 その術を見てだ、果心居士は言った。
「見事、ではな」
「次はですな」
「同時にじゃ」
 その五遁の術をというのだ。
「使われよ」
「それでは」
 今度はそうしてみせた、三つ同時に相性の悪い術を省きそれを五通り使ってみせた。二つもしてみせた。
 それを見てだ、果心居士はまた言った。
「うむ、よい」
「左様ですか」
「やはり出来ておる」
「八卦もですな」
「見事に頭に入れておられる」
 そうなっているというのだ。
「よい感じじゃ」
「それでは」
「このままいかれよ」
 筧にまた言った。
「さすればな」
「免許皆伝となり」
「さらに強くなられる」
「果心居士殿よりも」
「そして存分に働くことが出来よう」
「さすれば」
「このままな」
 まさにというのだ。
「強くなられよ」
「わかり申した」
 筧は頷いてさらにだった、幸村と共に果心居士から修行を受けていった。そして遂にその術を彼に認められて。
 免許皆伝となった、ここで彼は果心居士にあらためて言われた。
「ではこの都の片隅でな」
「我等のことをですか」
「聞かせてもらう」
 微笑んでの言葉だった。
「是非な」
「そうして頂けますか」
「存分に働かれよ」
「その時が来れば」
「是非な」
「そうさせて頂きます」
 筧は果心居士に畏まって答えた。 
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