| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

真田十勇士

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

巻ノ九十八 果心居士その十二

「花和尚魯智深は肉も酒も口にしてな」
「戦の場では大暴れですな」
「それでも解脱した」
「ですから心得次第です」
「仙人でもか」
「肉や酒を口にしてもいいのです」
「そうなのか」
「ただ、余計な気は溜まりますので」
 果心居士はこの話もした。
「ですから食って飲んだ分はです」
「修行でか」
「出さねばなりません」
「だから仙人は生ぐさもものはよくないというか」
「左様です」
「成程のう」
「して真田様ですが」
 果心居士は幸村にさらに言った。
「仙術もされていますが」
「今の様にな」
「そうですか、しかし」
「うむ、拙者はやはりな」
「武士であられますな」
「そうじゃ」 
 まさにとだ、幸村は果心居士に答えた。
「自分でもそう考えておる」
「左様ですな、ではです」
「武士としてじゃな」
「生きられて下さい」
「そして仙術をじゃな」
「使われて下さい」
「おそらく拙者が戦に出る時はな」
 その時はとだ、幸村は果心居士に述べた。
「相当に激しい戦になる」
「だからですな」
「仙術も身に着けてな」
 そしてというのだ。
「戦う」
「そうされますか」
「そして志を果たす」
「相当に高い志ですな」
「強い約束じゃ」
 秀次のことは話さない、しかしそこには確かに強いものがあった。
「それはな」
「それではですな」
「その志を果たす」
 必ずとだ、幸村はこのことは言った。
「何があろうともな」
「ではそれがしの仙術もです」
「身に着けてじゃな」
「戦う」
「そうされますか」
「是非な」
 こう話してだ、そしてだった。
 幸村もまた仙術を学んだ、彼の仙術は筧のものとは違い専門的なものではなかった。しかしその槍や剣、忍術にだった。 
 仙術を入れていた、そのうえで言った。
「槍に炎を入れれば」
「そうすればです」
「かなり強い」
「そうです」
「槍に気を入れ」
 そしてだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧