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真田十勇士

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巻ノ九十八 果心居士その八

「全くです」
「それでは」
「そうした術は別に」
「では五行を中心とした術で」
「そちらをお願いします」
 不老不死の術以外をというのだ。
「そうして頂ければ」
「それでは」
 果心居士も頷いた、そしてだった。
 筧もまたひたすら修行に励んだ、そうして日々仙術を学び鍛錬をしていた。果心居士はその中で筧にその仙術を見せていたが。
 筧はその仙術を全てすぐに身に着ける、それを見て言うのだった。
「お見事です」
「そう言って頂けますか」
「はい」
 実にというのだ。
「一度見たらですな」
「すぐにですか」
「身に着けられますので」
「実はです」
 筧が言うにはだった。
「どれも既にです」
「既に学んでおられた」
「そうした術なので」
「左様か、流石は十勇士の一人」
 天下に一騎当千の者達として天下に名を知られた者達だというのだ。
「既に学んでおられたか」
「書では」
「いや、書を読まれていれば」 
 そうして学問を行っていればというのだ。
「それだけでかなり違うもの」
「だからですか」
「よく身に着けられる」
 最初に見た術でもというのだ。
「これは見事、しかも身のこなしも」
「そちらもですか」
「こちらはそれがしより見事」
 果心居士よりもというのだ。
「やはり忍の者だけあられる」
「元よりそうなので」
 忍の者だからだとだ、筧は果心居士に話した。
「ですから」
「そうか、では」
「はい、こちらには自信があり申した」
「ではそれがしの術と忍術を合わせ」
 そのうえでというのだ。
「より強くなられよ」
「そして強くなり」
「目を見てわかった」
 果心居士は実際に修行に励むその筧の目を見て言った。
「その目、真田殿もそうであるが」
「どういった目であると」
「志のある目じゃ」
 そうした目だというのだ。
「何かを果たそうとする」
「はい、それはです」
 筧もすぐに答えた。
「殿と共に」
「そうであるな」
「我等十一人志があります」
 確かにというのだ。
「ですから」
「それで、じゃな」
「是非忍術と果心居士殿の仙術を合わせ」 
 果心居士が言う通りにだ。
「そしてその力で」
「志を果たされるな」
「そうします」
 このことを約するのだった。 
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