白き竜の少年 リメイク前
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出立準備
ハルマ達が賊に夜桜が奪われたとの報を受ける前、国の西にある砦にダイゴとシリュウはいた
「ダイゴ!たかだか下忍にしてやられたようですね」
鋭い目で自身を見つめ、言い放つシリュウの言葉にダイゴは悔しそうに唇を噛み、拳を握る。しかし、言い返す言葉がなく、ただそうする事しか出来ない
「・・・・ただ、今回は大目に見ましょう。しかし次の役目での失敗は許されない」
「次の・・・・役目・・・・・・」
目を閉じ、シリュウの話に聞き入る
「この刀は名刀にして妖刀。名を夜桜。これを奴らは狙って来る筈。貴方はそれを守りなさい(とは言え、軍勢を手配するので、役目を果たす必要はないかもしれませんがね)」
「・・・・・・了解」
自身の後ろから甲高い、子供の声が聞こえてくる
「だけどさ、それだけじゃあつまらなくない?」
黒の長い髪が特徴の少女。ハルマ達よりずっと幼いその少女に二人は一筋の汗を垂らす
「レイ‼︎貴方が何故、ここに⁉︎」
シリュウが驚き混じりにレイに訊ねる。すると彼女は待ってましたとばかりに笑顔を見せる
「面白そうだから見に来たんだ♪」
「それより、もっと面白くしない?」
何か策がある。そう考えた二人の唇が弧を描く。それはレイに任せるという意思表示でもあった
そして、時を戻し・・・・・・マキトの言葉に皆が驚き、目を見張っていた。そんな中、皆と同じように驚きつつもリンがマキトに問いかける
「どういう事ですか?」
「報告によると奴らは商人を襲って奪うと、国の最西端にある岩戸砦に向かったようです」
彼らは街が襲われた混乱時の後にやったという事になる。完全に先手を取られたとマキトは悔し気だ
「そいつらはどうしてるんだ?」
「負傷を負い、今は治療を受けております」
「でさ、これからどうすんだ?乗り込むのか?」
レツが聞くとマキトは今の現状を述べていく
「すぐ乗り込むには戦力が足りません。今は街の被害を受けて2小隊が未だ街に。他にも1小隊が負傷。重傷者も出ています」
「ここから全速力で向かっても着くのに時間がかかるわ」
「夜明け前に襲撃するとしたら夜には出た方がいいな」
オビトがこれからの任務の危険度を考え、ハルマ達に残るように言おうとしたが、それはアサヒの一言によって構わなかった
「私も行きます」
途端、マキトが慌て、静止する言葉を投げ掛けるがアサヒの覚悟は固い
「姫⁉︎な、なりません!危険過ぎます‼︎」
「私も覚悟を決めました・・・・夜桜を取り返す為に命を懸ける覚悟を」
「私も連れて行って下さい」
アサヒの目がオビトとリンをまっすぐに見据える。そこに強い覚悟があるのを二人は感じ取る。最早、止まらないだろう。そう思い、彼女を連れて行く事に決めた
「・・・・・・連れて行こう。止めても来るだろうしな」
「ありがとうございます!」
後はハルマ達だ。オビト達はアサヒの護衛とする事でハルマ達をここに留まらせようとしていたのだ。しかし、それが出来ない以上は連れて行くしかない
「ハルマくん。レツくん。カナちゃん。お 貴方達は姫の護衛よ。しっかりと彼女を守りなさい」
無言で頷いた三人にリンは笑顔を見せ、言葉を続ける
「今日の夜には出発するからしっかり準備しておいてね」
「「「はい!」」」
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