転生とらぶる
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ペルソナ3
1772話
「嘘……信じられない……」
白炎に包まれ、消滅した影を見ながら、ゆかりが呟く。
まぁ、自分が中々倒せないでいた相手を、普通の猫よりも若干大きいとはいえ、ゆかりと比べれば遙かに小さい猫の炎獣があっさり倒したのだから、その気持ちも分からないではない。
そんなゆかりの肩を軽く叩き、正気に戻してから口を開く。
「見ての通りだ。取りあえず相応の戦闘力はあるから、ゆかりに近づいてきた影に対処するのは十分に可能だ」
「う、うん」
こうして実際に目の前で見せられては、ゆかりも炎獣に戦わせるのは可哀そうだなんだとは口に出せないらしい。
まぁ、ぶっちゃけた話、ゆかりよりも炎獣の方が戦闘力という点で上だしな。
「取りあえず、炎獣でゆかりの護衛をさせるのは納得するな?」
「うん」
その言葉に、ゆかりも大人しく頷く。
本当の意味で護衛をするのなら、それこそ何匹でも炎獣を生み出すという手段はあるのだが……そんな真似をすれば、ゆかりの安全は確保出来るだろうが、ゆかり自身の戦闘力は上がらない。
ましてや、ゆかりは俺に……正確には男に頼る事に対して、忌避感に近い感情を抱いている。
今はどうしようもないから俺に頼っているが、いつまでも頼りっぱなしとなると、ゆかりの感情的な部分で問題が出てくる可能性は十分に高い。
その辺りの事情を考えると、それなりにスパルタでいった方がいいような気がする。
……もっとも、ゆかり自身はちょっと弓が上手いだけの今時の女子高生だ。
とてもじゃないが、スティングとかアウルに対して行っていたような厳しい訓練をさせる訳にはいかない。
これが何らかの原作である以上、そのうちゆかりは何らかの能力に目覚める事になる……と、思うんだけどな。
けど、それがいつになるのかも分からないし、もしかしたら……本当にもしかしたら、能力じゃなくて特定の武器とかを使って影と戦っていくという可能性も否定は出来ない、か。
「ゆかりも納得したようだし、じゃあ先に進むか」
「……よろしくね」
俺の言葉に、ゆかりは若干複雑そうな表情を浮かべつつ、そっと猫の炎獣を撫でる。
男に頼るのは色々と面白くないのだろうが、それでいながら猫の炎獣を撫でる手には躊躇いがない。
何だかんだと、ゆかりも可愛いものは好きなのだろう。
炎獣である以上、本物の猫という訳ではないのだが。
ともあれ、そのまま俺とゆかりは猫の炎獣を引き連れて真っ直ぐに塔の中を進んでいく。
やがて見えてくるのは、2匹の影。
幸いこっちが後ろから見つけたので、まだ向こうはこっちに気が付いていないが、2匹で現れる事もあるのか。
「丁度いい。影のうちの1匹は俺が引き受けるから、もう1匹はゆかりだけで倒してみろ。お前は基本的にゆかりの護衛のみに専念して、影にダメージを与えるなよ?」
「……分かった」
俺の言葉にゆかりが頷き、猫の炎獣も小さく頷く。
取りあえず全く俺の助けなしで影と戦い、勝つ事が出来れば、それはゆかりの自信になるだろう。
もっとも、それは影に勝つ事が出来れば、だが。
ただ、ゆかりの能力と炎獣がいる事を考えれば、俺はそこまで心配はしていない。
「じゃあ、いいな? 行くぞ? 俺は1匹を片付けた後で距離を取るからな」
息を呑み、小さく頷きを返してくるゆかりをその場に残し、俺はゲイ・ボルクを手にして1歩前に出て……次の瞬間、瞬動を使い、一気に影との距離を詰める。
俺が狙ったのは、顔全体を覆っている仮面を付けているスライムもどき。
ブフだったか? 氷系の魔法を使ってくる奴だ。
その影との間合いを詰め、向こうが反応するよりも早くゲイ・ボルクを突き出す。
自分で言うのも何だが、神速の突き。
殆ど何の手応えもなくスライムもどきの身体を貫き……一撃で影を倒すことに成功する。
「……ギ?」
もう1匹の方は、全く何が起きたのか理解していないのだろう。仲間を攻撃されたと思しき後ろを振り向くが、既にそこに俺の姿はない。
1匹を殺した後、すぐに再び瞬動を使って距離を取り、そこで気配遮断を使用した為だ。
結果として、後ろを振り向いた影が見たのは、ゆかりの姿。
そして敵を見つければ、影は即座に攻撃態勢に入る。
……ちなみに、俺が倒したのはブフを使うスライムもどきだったが、振り向いたのはアギを使うスライムもどきだった。
別に影同士だからって、敵対しているとかではないんだな。
ちょっと残念。
ともあれ、ゆかりを敵と認識した影は即座に攻撃に移る。
先程まで床を這いずってゆっくり移動していたとは思えない程の素早さでゆかりとの距離を詰めていく。
だが、当然ゆかりもそんな影を黙って見ている訳がなく、すぐに弓に番えた矢を射る。
真っ直ぐに飛んでいく矢は、そのまま影に向かって、1本、2本と突き刺さるも……それだけで影を倒す事は出来ない。
まぁ、この辺りは矢の種類にもよるんだろうな。
それに刺さっているのが仮面ではなく、スライム状の身体だというのも影響しているんだろうし。
そんな風に距離を詰めてくる影だったが、そこに猫の炎獣がこれ以上は進ませないと姿を現す。
「アギ」
そんな炎獣に放たれる火の玉。
この世界の魔法のアギだ。
だが……俺の白炎から生まれた炎獣に、その程度の魔法が通じる筈もない。
炎獣はその場から一歩も動かず、火の玉をその身に受ける。
影も、今の一撃で炎獣をどうにか出来ると思っていたのか、そのまま炎獣の背後にいるゆかりを狙って動き出そうとするも……
火の玉の爆発が消えた後、そこには猫の炎獣が全く傷を受けていない状態で立っていた。
「っ!?」
驚いて一瞬動きの止まった影に向かい、ゆかりの弓から矢が射られる。
空気を切り裂きながら真っ直ぐに飛んだ矢は、そのまま影の仮面を割るかのように突き刺さる。
「ギ……ガ……」
矢が急所に突き刺さり……いわゆる、クリティカルヒットと呼ぶべき致命的な一撃に、影は動きを止め……そのまま力尽きると、溶けるようにして消えていく。
「……ふぅ」
そんな影を眺め、安堵の息を吐くゆかり。
「よくやったな」
ゆかりの背後で、気配遮断を解除するとそう告げる。
「っ!? ……もう、驚かさないでよね」
いきなり背後から掛けられた声に驚きを露わにするゆかりだったが、それでも次の瞬間には声を掛けてきたのが俺だと知り、不満そうにしながらそう告げてきた。
「一応何かあった時にすぐにフォロー出来るようにな。……ただ、今回はゆかりだけで倒せただろ? そこまでする必要はなかったかもな」
「ふふーん。そうでしょ? ざっとこんなものよ」
自分だけで倒せたというのが、ゆかりにとっても大きな自信となったのだろう。
少しだけだが、以前よりも自信に満ちた表情を浮かべているのが分かる。
この調子で影との戦いの経験を積ませていけば、実力も上がっていくだろう。
……ただ、増長しないようにというのは気をつけた方がいいだろうな。
生死が掛かっている戦いの中で増長するというのは、それこそ自分の命を捨てるような代物だ。
ましてや、今は俺も一緒にこの塔の攻略をしているが、いつホワイトスターと繋がるのかというのは、俺にも分からない。
もしこの世界で原作の途中や……あるいは原作が始まる前にホワイトスターとの連絡が取れるようになった場合、俺は塔の攻略を中断せざるを得ない。
いや、もしかしたらシャドウミラーのバックアップの下で塔を攻略するという可能性は十分にあるが、逆にそうならない可能性もあるのだ。
その時、完全に俺がいる事を前提として塔の攻略をしようとゆかりが考えた場合、それは命に関わってくるだろう。
そうならない為には、ゆかりだけで戦わせるという経験をもっと積ませた方がいいのかもしれないな。
勿論、今はまだ戦闘という行為に慣れていないから、それをやるのはもう少し先になってからの話だが。
「そうだな、中々に良かったと思う。……炎獣が攻撃された時に一瞬動きが止まったのはどうかと思うが」
「だって、それは……」
「ああ、気持ちは分からないでもない。けど、今回の件で分かっただろう? 炎獣ってのは、小さくてもかなりの攻撃力を持っている。それこそ、あの程度の影が相手ならどうとでも出来る程度にはな」
「……分かってるけど、どうしてもああいう猫が攻撃されてると思うと……」
「なら、炎獣の姿を変えるか? 猫じゃなくて、ライオンとか虎とか、豹とか、それこそファンタジーに出てくるユニコーンとか、そういうのでも可能だぞ? どうしてもって言うなら、それこそあのスライムもどきみたいな感じのスライムでもいいし」
「いい。猫でいいわ。あまり大きいと、戦う時に矢で誤射してしまうかもしれないし」
「ああ、なるほど」
そう考えれば、炎獣は小さい方がいいんだよな。
どうしてもって事なら、それこそ通路一杯の大きさを持つ炎獣でもいいかもしれないが……それは逃げる時とかだろうな。
「まぁ、取りあえず先に進みましょ。この通路の先がどうなってるのか、少しは興味あるでしょ?」
「それは否定しない」
そう告げ、俺とゆかり、それと炎獣は通路を進んでいく。
「こうして見ると、やっぱりこの塔の中ってのはダンジョンって呼ぶに相応しいよな」
「……そうね。私はゲームとかあまりやらないけど、ちょっと前に見た映画にこんなダンジョンが出てきた事があったわ」
映画、ね。
そう言えば久しく見ていないな。
何しろ、俺自身が映画のような体験をしているし。
ああ、でもW世界でレモン達とゆっくりとした時間をすごしていた時、シェリルが映画のオファーが来ているって言ってたな。
ただし、マクロス世界ではなくネギま世界でだが。
一応シェリルはネギま世界でも歌手活動をしている。
……一応っていうか、ネギま世界の中ではトップクラスの歌手として有名になっているのだが。
まぁ、シェリルの外見とその歌唱能力を考えれば、色々なところからオファーが来るのも当然だろう。
それをどうするのかは、まだ決めかねているって話だったが。
「宝箱とかがあって、敵がいて……そう考えれば、やっぱりこの塔はダンジョンと呼ぶのに相応しい姿をしているんだよな」
俺の言葉にゆかりが頷き……そうしてやがて通路の行き止まりが見えてくる。
そして通路の行き止まりには、上に続く階段と……光っている装置のような物がある。
「どうやらこれでこの2階は全て探索したって事だな」
「そうね。……けど、階段は上の階に向かうんだろうけど、この装置はなんだと思う? エントランスにも似たようなのがあったけど」
「そうだな。恐らく……本当に恐らくだが、これは転移装置じゃないか?」
「え? 転移? 本気で言ってるの?」
唖然とした表情を向けてくるゆかり。
だが、ダンジョンに転移装置というのは、ゲームとかをやっていれば割とありふれている。
勿論実際には違う可能性もあるが……
「何にしろ、この装置が本当に転移装置なのか、それとも別の何かなのか。それはしっかりと確認する必要があるだろうな」
「そうね。これを無視して進んだ結果、妙な事になったりしたら、色々と大変だもの」
「そうなると、どうやってこの装置を確認するかだが……結局のところ、実際に試してみるしかないんだよな」
ゆかりを見ながら、そう呟く。
もし装置を試すとすれば、それは当然俺の役目となるだろう。
俺の場合、何が起きても……それこそ、実際にはこの装置が転移装置ではなく、敵を呼び寄せる装置だったり、あるいは転移装置ではあっても、エントランスに転移するのではなく他の場所に転移しても、どうとでも出来る自信がある。
だが、その場合問題なのはゆかりだろう。
まさかこの装置を使えば何が起きるのか分からないのに、ゆかりも一緒に装置を使う訳にもいかないだろうし。
「どうする?」
「どうするって言われても……俺が使ってみるしかないだろ?」
「……そうね。けど、気をつけてよ」
「分かってる。もし何かあったら、ゆかりはすぐにこの塔を出るんだ。炎獣も暫くの間は活動出来るから」
ゆかりの足下にいる猫の炎獣に視線を向けてそう告げると、ゆかりは真剣な表情で俺の方を見ながら小さく頷く。
「よし、じゃあ、行くか」
ゆかりの様子を見ながら、俺はそっと装置に向かって歩き出す。
そして光を生み出している装置に触れると……次の瞬間、俺の姿は、エントランスの中にあった。
周囲を見回すも、塔の1階にあったエントランスで間違いないはない。
どうやら、やっぱりというか予想通り、今俺が使った装置はゲームとかでよくある転移装置の類だったのは間違いないのだろう。
「さて、ならゆかりのところに戻るか」
呟き、再び転移装置に触れるも……転移装置が発動する様子はなかった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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