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生徒会”執行部”と”捜査部”~饅頭売りの花嫁~

作者:猫丸
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22.女神の様な魔王の笑顔




「ごめんなさ~いね~まさかそんな~」

「「「「フヒィーヒィ、ぜぇぜぇ、ハァ」」」」

「今にも死んでしまいそうな勢いで~駆けつけてくれるだなんて~思ってなくて~」

学園から小林先輩の実家の老舗和菓子店まで全力で走り続けた、捜査部の面々-ひとりは息をするのもやっとな虫の息全員虫の息である…。

「あたりまえ……ハァ……だにょ

 あんな……ぺルプメール………·ヒィ……送られたら……」

「ごめんなさい~ほとんど何言っているのか分からないわ~」


「…………。ハァ」


そんな捜査部の面々の後ろに

ギュユゥイイイギュ。

一台の真っ赤なスポーツカーが大きなアクセル音を鳴らしながら止まった。…どんだけ荒い運転をしていたのだろう…?

「さぁ~着いたわよ~」

運転席から降りて来たのは、黒髪ロングで背の高いモデルのような女性と

「……うっぷ」

その後から降りた来た、口を押さえて今にもナニカをリバースしそうになっている女子生徒

「お姉ちゃんと~ハルちゃんも来てくれたのね~」

「あら~? な~ちゃんの方が速かったのね~」「……ううっぷ」

モデルのような女性は小林 最中(こばやし もなか)
苗字から分かる通り、小林 餡子(こばやし あこ)の姉である。姉妹揃っておっとりとした性格、話口調が特徴的。

「ハルゥ……」「……」

会長がゆっくり春に近づき方にぽんっと手を置き

「元レーサー志望だったモナ姉の車にだけはノッちゃダメなのだぞん」

耳元で囁いた。……そうゆうのはもっと早く言ってほしかった……れす。


***
数十分前校門付近にて

小林先輩からメール受けった瞬間会長達は部室を飛び出して行ってしまったれす。
反応が遅れて行きそびれて、部活に取り残されしまった私はとりあえず校門までやってきたはいいけど、小林先輩のご実家の場所が分からなくて立ち往生…。

「そこの可愛い~お嬢さ~ん」

「………」

可愛いお嬢さん……私じゃないことは確かれす。きっと他の誰かのことれしょう。

「あれ~? 無視かな~? そこの可愛いふぅ~ちゃん」

「っ!?」

気づくと目の前にお……いえ大きなふたつの肉の塊がありまふ。

「え? え? え??」

「驚かしてしまったかしら~?」

「ぁ……理事長さん」

大きなおむ……正体は小林先輩のお姉さんで諷焔学園の理事長さんでした。小林姉妹は二人ともおむ……が大きくて羨ましいれす。

「ふぅ~ちゃんこんなところでど~したの? 迷子なのかしら~?」

「……そうれすね…みんなに置いて行かれたの…「泣かなくていいのよ~」ムグッ」

話している途中で目の前が真っ暗に……そして顔を包み込む暖かくて優しい感触…これは…何度も経験したことのある……

「大丈夫よ~ワタシが連れていってあげるから~もう一人で寂しい思いなんてしなくていいんだからね~」

ギュウゥゥと抱きしめられる腕の力が強くなって…いくれす。く、苦しい…。
それに寂しい思いも泣いてもいないれす、ただどうしようかと考えていただけなのれす…、

「さ~ワタシの車に乗りましょう~」

理事長さんの車は高級車、他の先生方の車がオンボロ中古車に見えてくるから不思議。車に乗り込む。

「置いて行かれてさぞ寂しかったでしょ~」

「いえ…べつに」

「でも大丈夫よ~お姉さんが~あんな酷い子たちなんか追い越してあげるんだから~」「え……?

エンジンがかかるとすぐにアクセル全開で

「飛ばすわよ~」「あの…まっ……」

ギュゥゥゥゥイィィィィィン!!!

物凄いスピードでかっ飛ばされた。うねうねのカーブの道もデコボコの砂利道も関係なく、猛スピードでかっ飛ばし続けて

「………酔った」

今現在に至る。

****





【で】



捜査部の面々の息を整えなおし春も車酔いを覚まし、いざお店の中へとみんなで入る。
日本家屋のお店の中は甘いあんこの匂いが充満し、沢山の和菓子が店頭に並べられている。


「彩チャーン来てくれたのねん」

春が和菓子に視線を奪われていると、二階へ続く階段からアゴヒゲ生やした大きなおじさんが降りて来ました。仕草と言葉使いがオネェさんっぽい、中年のおじさん。

「ヨウさんヤホー!」

「ご無沙汰しております」

「潤クンもいらっしゃい。そっちのカワイイお嬢チャンたちも」

「どうも……こんにちは」「……れす」

中年のおじさんは会長と古賀先輩と楽しそうに世間話をしている。……あのおじさんは誰なんだろう?

「お父さん~トモちゃんとハルちゃんが困っているわ~。

 変なオネェのおじさんが現れたって~」

「どなたなんだろう? とは思ったけど、変な人とは思っないよ! 餡子姉!」

「オネェのおじさんとは……思ってたんだね……シクシク」

「やっ、そんな……ことは…」

「アー!! いばやんがヨウさんイジメてるー!!」

「イジメてなんかないですよ! 変なこと言わないでください、会長!」

「いいんだっ、彩チャン。おじさん気にしてないから……グスン」

………凄い気にしてる。
というより、嘘泣き下手ァァァ!! おじさんは手で顔を隠し泣いているふりをしているけど、指の隙間からこっちをチラチラ見ている。

「いいんだっおじさんはーー!」「そんなヨウさーーーーん」

チラリ。

「ありがとう彩チャン。でもおじさんも旅たつ時……「父さ~ん、これ以上ふざけるようなら~ワタシにも考えがありますよ~?」最中……? 顔怖いよ?」

「ウフフ~」

その時の理事長顔はまるで女神のような魔王の笑顔だったという――






娘の幸せ――



 父の老後――



  ――両方叶えるのは無理な事?






                              続く 
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