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提督はBarにいる。

作者:ごません
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世界の米料理・パエリア編(3)

 さて。フライパンでパエリアが出来るならば、炊飯器でも出来るのではないだろうかという俺の推論。実証してみせようじゃないか。


《挑戦、炊飯器で炊き込みパエリア!》※分量4人前

・海老:小さめの6尾

・鶏手羽元:6本

・アサリ1/2カップ

・玉ねぎ:1/2個

・にんにく:1片

・ミニトマト:100g

・いんげん:60g

・米:3合

・オリーブオイル:大さじ2

・ローリエ:1枚

・サフラン(あれば):ひとつまみ

・白ワイン:大さじ1

・塩:小さじ1

・胡椒:少々

・パセリ等のハーブ:お好みで

・レモン:1/2個




 炊飯器で炊く以外は、普通のパエリアと変わらない下拵えで良いだろう。海老は殻を剥いて背ワタを取る。アサリは砂抜きしてから殻同士を擦り合わせて洗う。海老と手羽元に塩、胡椒で下味を付けておく。※この塩と胡椒は分量外だぞ!

 お次は野菜。玉ねぎとにんにくはみじん切り、ミニトマトはヘタを取って半分にする。いんげんは3cm位の長さに切り揃える。

 さて、軽く米を炒めるぞ。フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、玉ねぎとにんにくを炒める。1分程度でいいぞ。そこに研いでいない米を入れて炒め合わせ、米に油を吸わせる。

 フライパンの中身を炊飯器に移し、サフラン、ローリエ、白ワイン、塩、胡椒を加えて味付け。問題は水加減だが……白米の目盛りから1cm位下で炊いてみるか。白米の目盛り通りだと、ふっくらしすぎるだろうしな。

 具を乗せていくぞ。手羽元、海老、アサリを米の上に敷き詰めたら、いんげんとミニトマトを散らして後は普通に炊飯でスイッチオン。



「提督、何してんの?」

「ん?あぁ、パエリアを炊飯器で作れねぇかと思ってな。物は試しで作ってみた」

「え、ホント!?食べてみたい!」

 しおいが食いつくが、まだ無理だ。

「今炊き始めたばっかりだ、当分炊けねぇよ」

「えーっ、そうなの?残念……」

 しおいの奴め、余程残念だったのか(*´・ω・)←こんな顔になってやがる。

「でもスゴいよね、お米って色んな所で食べられてるもん」

「だなぁ。最近は日本食ブームでよく食べられるようになったが、その前から米はその土地に根付いてたりすっからな」

 中国の中南部が原産だと言われている米(イネ)は、アジアやアフリカ等では炊いてご飯(主食)として食べられているが、他の地域でもジャガイモやパスタ同様に主菜の付け合わせとして使われていたり、デザートに使われていたりもする。


「え、お米でデザート!?」

「お餅とか、おせんべいとかじゃなくて!?」

「あぁ、結構あるぞ?牛乳で米を炊いて、砂糖とかフルーツを入れたライスプディングとかな」

「えぇ……ご飯牛乳で炊くの?」

「それはちょっと無理かも」

「そうか?結構食べられてる地域多いんだけどな」

 ドイツでは牛乳で煮た米に砂糖とかシナモンを振りかけて食べるミルヒライスという米料理がある。ドイツ人に言わせればデザートではなく主食らしいが。他にも東南アジアだと米をマンゴーや里芋、スイートコーンなんかとお粥状にして煮込み、ココナッツミルクかけて食べるデザートとかな。意外と使い道は広いんだ、米は。

「でもあんまり食べたいとは思わないね……」

「お餅とか和菓子の方がいいや」

 まぁ、馴染んだ味ってのもあるんだろうけどな。俺だって米を牛乳で炊くのには多少抵抗がある。リゾットみたいに仕上げるならともかく、甘く仕上げるのは……ちょっとな。そんな世界の米料理について語らっていると、炊飯器が飯が炊けたのを知らせる。

「おっ?」

「炊けたの!?」

 緊張の一瞬、果たして出来栄えは……?ゴクリ、と唾を飲み込んで炊飯器の蓋を開ける。もうもうと立ち上る湯気の下から姿を現したのは、綺麗に黄色く染まったサフランライスだった。

「おぉ~!」

「美味しそうですね、提督!」

 うん、見た目と香りはとりあえず合格だな。しかし問題は味だ。ちゃんと炊けてなければ意味がない。

「待て待て、まずは俺が責任を持って味見してからだ」

 そう言いながら俺はパエリア?を皿によそう。やはりパエジェーラやフライパンで作った物よりもふっくらと炊けている。それに海老と手羽元、アサリも忘れずにと。刻んだパセリを散らして、レモンを軽く搾って……と。

「頂きます」

 そう言ってスプーンを入れる。海老を一口サイズに切り分け、スプーンに飯と一緒に乗せる。それを一気に頬張ると、海老のプリっとした歯応えが伝わってくる。それと2~3度噛んでいると出てくるのは、鶏肉や海老、アサリ等の出汁が混じり合った旨味だ。それと米が絶妙のマッチングを果たしている。炊け具合もバッチリで、芯が残っている事もなく……かといってベチャッとしてもいない。絶妙な炊き上がり。ソカラ(おこげ)は出来ないだろうが、日本人的にはこっちの方が舌に合うんじゃないか?ぶっちゃけ。鶏肉もしっかりと火が通っていて、ホロホロとほぐれる位柔らかくなっている。

「こいつぁ美味いな、お前らも食うか?」

「「当然っ!」」

 すっかり息の合った2人にもパエリアを盛ってやり、俺もサングリアを口にする。うむ、悪くない組み合わせだ。




「う~、お腹いっぱ~い」

「ちょっと苦しいね……」

 そりゃそうだろう、いくら2人が食いしん坊とは言え、駆逐艦と潜水艦の胃袋にご飯物3人前は食べ過ぎだろう。

「そろそろおしまいにするか?」

「あ、それならスペインのデザート食べたい!」

「あ、私も~!」

 やれやれ、デザートは別腹かい。なら、ちと珍しいスペイン発のスイーツを作るとするか。


《牛乳不使用!?オレンジプリン》※分量4人前(プリン4個分)


・卵:3個

・砂糖:大さじ2

・オレンジ:3個(果汁200cc)

・コアントロー:小さじ1

(カラメルソース)

・グラニュー糖:大さじ2

・水:大さじ2

※その他飾りに使うのであれば、オレンジ1個とミントの葉を少々用意しよう。




 普通プリンと聞けば牛乳を使ったカスタードプリンがポピュラーだと思うが、フラン・デ・ナランハというスペインのプリンは牛乳を一切使わない。名産であるオレンジをたっぷり使って、酸味を効かせた爽やかな口当たりのプリンになる。

 まずはカラメルソースを作る。グラニュー糖を大さじ2と水を大さじ1耐熱容器に入れ、電子レンジで加熱する。飴色になったら取り出してお湯大さじ1を加え、プリンカップに入れておく。

 オレンジを搾り、果汁200ccを準備する。オレンジを搾るのが手間なら、100%果汁のオレンジジュースでもOKだぞ。ボウルに卵と砂糖をよく混ぜ合わせ、オレンジジュースとコアントローを加えたらザルで濾して、滑らかな卵液を作っておく。

 作った卵液をプリンカップに注いで、140℃に余熱したオーブンで30分湯煎焼きするか、蒸し器で蒸し上げる。プリンが固まったら冷蔵庫で冷やし、盛り付けの際にカットしたオレンジやミントの葉を飾れば完成だ。

「ほらよ、特製『フラン・デ・ナランハ』……オレンジプリンだ」

 口に含めば違いが判る、カスタードプリンとオレンジプリン。

「うわ、何これ!」

「プリンなのに爽やかな感じ!」

 そう、カスタードの滑らかな甘さは無く、ムースともゼリーとも違う独特の甘さがオレンジプリンにはある。カラメルソースをかけずに、ココナッツパウダーとココナッツミルクをかけてもまた違う味わいがして美味いんだ、これが。

「あ~美味しかった!」

「ご馳走さまです提督!」

 こういう素直な好意ってのも悪くねぇモンだ。

「おう、お粗末さん」 
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