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提督はBarにいる。

作者:ごません
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肉+夏野菜で夏を乗り切れ!・その3

 食欲も戻ってきた所で、足柄に教えつつ夏バテ対策メニューをつくっていこうと思う。とは言っても、基本的には肉と夏野菜を組み合わせたメニューなんだがな。旬の食材って奴には、その季節を乗り越えるのに適した栄養が詰まってる。中でも夏野菜は過酷な暑さを乗り越えるのに適した物ばかりだ。そんな夏野菜は大きく分けて2つのタイプがある。『体を温める野菜』と『体を冷やす野菜』だ。まずはその2つの違いを理解させてから調理に移るとしよう。

①体を温める野菜……夏場に冷たい物を食べ過ぎて体温が下がり過ぎ、体調を崩すのが夏バテの1つの要因、ってのはもう話したよな?その症状を緩和するのに適した野菜だ。代表的な物としては、生姜、ピーマン、シソ、カボチャ、ニラなど。唐辛子やカレーに使われるようなスパイス類も、ほとんどこれに含まれるな。

②体を冷やす野菜……夏場の脱水症状や熱中症も、夏バテ並みに恐ろしい症状だ。水分やミネラル、ビタミン等を多く含み、体を内部から冷やす野菜を多く取る事で、その予防になったり症状の緩和が期待できる。代表的な物としてはトマト、ナス、キュウリ、レタス、スイカ、メロン、ゴーヤ等。覚えやすく覚えるなら、『春・夏野菜は冷やす、秋・冬野菜は温める』と覚えるといいかもしれん。後は自分の体調に合わせて、野菜を選んで美味しく料理してやればいい。

「成る程ね。彼は冷たい物の摂りすぎで、内臓が冷えて弱ってたのか……」

 俺の説明に、納得がいったように頷く足柄。まぁ、それだけじゃねぇと思うがな。今はそういう事にしておこう。

「それで、彼にはどういう料理を出したらいいかしら?」

「うーん……まだ胃腸も本調子では無さそうだしなぁ。オクラを使ったメニューとかいいかもな」

「オクラ?ってあのネバネバの?」

 そう、そのオクラだ。オクラの特徴であるあのネバネバは、ムチンとペクチンという成分によるものだ。ムチンは昆布なんかにも含まれている成分で、胃の粘膜を保護する働きがある。ペクチンは水溶性の食物繊維で、整腸作用がある。更にはオクラ、タンパク質の分解を助ける酵素まで含んでいるので、胃腸が弱っている時にはオススメの野菜だ。これらの栄養素は熱に弱いので、生で食べるかサッと火を通す位の加熱に留める必要がある。それを踏まえて、ご飯にもパンにも合うしツマミにもなる、オクラを使った炒め物を紹介しよう。

《ちょっぴりスパイシー、オクラのソース炒め》分量2人前

・オクラ:8本

・合挽き肉(牛オンリーでもOK):150g

・玉ねぎ:1/4個

・サラダ油:小さじ1

・ウスターソース:大さじ1

・塩:少々



 さて、作っていこう。オクラはヘタを取り、3~4等分位の大きさになるように斜め切りにする。玉ねぎは薄切りに。

 フライパンに油を熱し、合挽き肉を強火と中火の間くらいの火加減で炒めていく。2~3分炒めて焼き色が付いたら、玉ねぎを加えて更に炒める。玉ねぎがしんなりしてきたらウスターソース、塩、オクラを加えてサッと炒め合わせる。オクラに火が入って、緑が鮮やかになったら火を止め、盛り付ければ完成。



「『オクラのソース炒め』、お待ち」

 挽き肉の旨味とソースの旨味、それとソースに入っているスパイスの刺激が程よく混ざり合い、少しピリ辛でご飯に合う味付けに仕上がっている。もちろん、酒にも合うけどな。

「あら、手軽な割に美味し」

「ホントだねぇ、足柄さんに作ってもらえたらもっと嬉しいけど」

「にゃっ!?な、何言ってるのよ。もぅ……」

 砂糖吐きそうなんで、次の料理行きま~す。




《ワタは残して!ゴーヤのはさみ揚げ》※分量2人前

・合挽き肉:150g

・ゴーヤ:1/2本

・おろし生姜:小さじ1/2

・醤油:小さじ1

・酒:小さじ1

・塩、胡椒:各少々

・天ぷら粉:1/3カップ

・水:1/3カップ

・揚げ油:適量

・ポン酢又は塩:お好みで




「ゴーヤって美味しいわよね!あの独特の苦味がいいのよ」

「確かにな。昔は沖縄独特の野菜、って感じだったが、最近は夏野菜のポピュラーな奴の仲間入りしたもんな」

 暑い地域で栽培される事の多いゴーヤは、自分の身を守る為の栄養を沢山含んでいる。当然ながら、その栄養素は人間にも有用だ。

「それで、どうやって食べるの?やっぱ定番のチャンプルー?それともサラダとか?」

「いや、ゴーヤのはさみ揚げだ」

「はさみ揚げ?って茄子とか蓮根でよくやるアレ?」

「そう、アレ」

 足柄の言う通り、はさみ揚げといえば茄子か蓮根のイメージが強いが、ゴーヤのはさみ揚げも負けていない、と個人的には声を大にして主張したい。まぁ、食ってもらえばわかるか。


 まずはゴーヤ。表面をよく洗ったら、5mm位の幅で輪切りにする。肉だねの量を考えると、12枚位あればいいだろう。

「あれ、ワタは取らないの?」

「おいおい、ワタ取っちまったらはさみ揚げじゃなくて肉詰め揚げになっちまうだろ?」

「……それもそうね」

 それに、ゴーヤの栄養分は普段食べている果皮(要するに肉厚の皮)の部分よりも、ワタの方が含んでいる栄養分は多いんだぞ?出来る限りワタも食べた方がいい。種が気になる人は竹串等を使ってほじくってくれ。

 お次は間に挟む肉だねと、揚げる為の衣。合挽き肉におろし生姜、醤油、酒、塩、胡椒を加えて練る。天ぷら粉と水を同じ量混ぜ、冷蔵庫で冷やしておく。

 さぁ、揚げていくぞ。ゴーヤで6等分にした肉だねを挟み、天ぷら衣に潜らせる。フライパンに1cm位の深さで油を張って熱し、中温まで温まったらゴーヤをIN。様子を見ながら引っくり返しつつ、3~4分も揚げれば火が通るハズだ。

 油からあげてしっかりと油を切り、器に盛れば完成。お好みでポン酢か塩を付けて食べる。個人的にはカレー塩がオススメかな。




「さぁ出来た、特製『ゴーヤの挟み揚げ』だよ」

 ゴーヤのワタを残して揚げる天ぷらは以前作った事があったが、今回は肉を挟んだ挟み揚げ。肉だねから染み出した肉汁を吸ったワタが、何とも言えずいい味に仕上がっている。サクリ、と軽い衣にかぶりつくと、中から肉汁とゴーヤのジュースが溢れ出して来る。足柄は俺がオススメのカレー塩、彼氏君はポン酢をチョイスしたようだ。

「ん~♪カレー粉がゴーヤの苦味を引き立ててるわぁ」

「ポン酢もサッパリしてて美味しいですよ」

 うんうん、中々好評。俺も味見に一口……うん、わざと種を残したが、意外といいアクセントになってるな。まぁ、中には固くてとても食べられない種とかもあるから、出来るだけ取り除いた方が食べやすいけどな。




「あ、提督閣下。次はナスを使った料理をお願いしても良いですか?」

「ナス?好きなのか」

「えぇ、あの火を通してトロトロになった奴とか最高じゃないですか!」

「解った、作ってやる。ただ、閣下は止めろ」

 どっかの10万歳超えた相撲好きの悪魔みたいじゃないか。




《まるで鰻!?ナスと豚肉の蒲焼き丼》※分量2人前

・茄子:3~4本

・豚薄切り肉(バラでもロースでも):6枚

・醤油:大さじ1.5

・めんつゆ:大さじ1.5

・酒:大さじ1

・みりん:大さじ3

・砂糖:大さじ2

・ご飯:適量

・山椒、きざみのり等:お好みで




 さて、作っていこう。まずは鰻の代わりになる茄子の下拵えから。ヘタを取り、皮を全て剥いたら1つずつラップで包んで600wの電子レンジで3分加熱。加熱出来たら包丁を真ん中より少し深めに入れて、側面にも切れ目を入れて平たくなるように茄子を開く。

 フライパンに油を引いて熱し、開いた側を下にして茄子を焼いていく。しっかりと焼き目がつくまで焼いた方が美味いぞ。こんがりと焼き目が付いたら裏返し、食べやすい大きさに切った豚肉を入れて一緒に焼いていく。豚肉にも火が通ったら、醤油、めんつゆ、酒、みりん、砂糖を加えて味付けし、煮詰めて絡めていく。

 ご飯を丼によそい、お好みできざみのりを散らす。そこに豚肉と茄子を盛り付け、仕上げに山椒を振れば完成。山椒もお好みだが、振った方が鰻の蒲焼きに似てくるぞ。 
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