痩せてみると
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第十一章
「有り難うございます」
「いいさ、しかしいい笑顔だな」
彼のその笑顔を見ての言葉だ。
「俺とはじめて会った時は笑ってなかったがな」
「あの時は笑えなかったです」
「状況が状況でだな」
「そうでした、ですが先輩が声をかけて話をする様になって」
「そうしてか」
「笑える様になりました」
「話をしているとか、俺と」
岩崎も言う。
「やっぱりな、人間は誰かな」
「話をする人がいるとですね」
「違うからな」
「話をする人といいますか」
ここでだ、哲承は言った。
「友達ですね」
「友達か」
「はい、友達がいると違いますね」
「そうだな、俺達はそうだな」
「先輩と後輩ですけれど」
「友達だな」
「そうですね」
「ああ、俺も言われて気付いた」
実は岩崎も先輩と後輩だと思っていた、そのくくりの中にいたのだ。だが二人の関係を考えてみるとだった。
「俺達は友達だ」
「そうですね」
「じゃあな」
「はい、友達として」
「これからも付き合っていこうな」
「こう言ったら何ですが」
前置きをしてだ、哲承は岩崎に言った。
「先輩がお話したいことがあれば」
「話していいか」
「僕でよければ」
「そうだな、じゃあその時はな」
「宜しくお願いします」
「こちらこそな」
「高校の時は辛かったですけれど」
失恋からの流れはだ、だがそれでもだった。
「先輩と会えたと思いますと」
「よかったか」
「今はそう思えてきました」
「そうか、ならな」
「それもよかったです」
哲承は微笑んで岩崎に言った、そして彼に正式に結婚式への出席を頼んだ。岩崎は自分の結婚式に出る様に言ってだ、そのうえで笑顔で頷いた。哲承もまたそうした。
痩せてみると 完
2016・10・19
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