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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第十四話

 
前書き
どうも、戦闘シーンについてのツッコミは無しで。 

 
「こっちは異常なし。他は?」
 
俺は自分の向いている方向を見てそう言った。
 
現在、木曾が言うにはカレー洋の西側だそうで、今回の作戦海域に到着した。

そして、今は進行ルートと周囲に敵艦隊が居ないか周囲警戒をしている所だ。幸いにも、今のところは敵艦隊は発見されてない。
 
「今回の作戦は制圧作戦だからな。この辺のボスみてぇな奴をボコせばそれで終わりなんだけど…。」
 
まぁ、そんなに甘くは無いか、と木曾は呟いた。それもそうだ。わざわざこんなところまで呉鎮守府の艦娘が派遣されているんだ。なかなか強い敵艦隊が居るのだろう。
 
「一応言っとくけど、逃げてくれるならそれもアリだからな?逃げようとする奴に追い討ちすんなよ?」
 
木曾はそう釘を刺すように言った。まぁ、バスケの試合だったらやる気のないチーム相手にも手を抜いたらコーチにクソ怒られてたけどな。
 
 
「敵艦隊発見!北東方向十キロメートル!」
 

時雨がそう叫んだ。
 
全員がその方向を見ると、そこには縦一列になって進んでくる敵艦隊があった。
 
「敵艦隊の編成は!?」
 
「えっと……重巡リ級flagship一隻、雷巡チ級elite二隻、軽巡ト級elite一隻、駆逐ニ級elite二隻っぽい!」
 
夕立が敵方向を見てそう言った。夕立の口癖を知らないと「ちゃんと見ろ!」とか言って怒鳴りそうなものだ。
 
「いいか?砲撃に自信のあるやつは後方から砲撃、それ以外は突っ込め!重巡リ級と軽巡ト級は基本的に肉弾戦を好むから、そいつらには要注意!」
 
摩耶さんは俺にそう言ってくれた。その辺は一応習いはしたが、こんな感じで言ってくれるとありがたい。
 
「僕と神通さんと摩耶さんと夕立は砲撃かな?」
 
時雨は俺たちをパッと見てそう言った。まぁ確かに俺はあまり砲撃とか得意じゃないしな。
 
「ういじゃま、テメェら!戦闘突入!摩耶さん、景気付けに一発頼む!」
 
「了解っと!」
 
摩耶さんは水上機を懐から飛ばした。因みに飛ばし方を聞いてみたら、「念。」だそうだ。多分俺には無理だ。
 
さて、摩耶さんの飛ばした水上機は、敵に向かって飛んでいった。どうやらまだ見つかってないらしい。
 
「敵艦隊までの距離、九.八キロメートル……少しずつ接近中……敵艦隊砲撃用意!今です!」
 
神通さんがそう言った。
 
「総員!撃てー!!」
 
その合図とともに、俺達はそれぞれ一発撃った。そして、俺と木曾は着弾を待たずに一気に接近を始めた。
 
さて、俺達が接近している途中に、駆逐ニ級の一隻に砲撃が被弾したようで、爆発が起こる。
 
「一発命中!ニ級中破!恐らく二号の砲撃!」
 
「マジか!」
 
確かに俺はニ級を狙ったけど、まさか当たるとは。でもまぁ、これで多少は楽になったかな。
 
「次弾装填!撃てる奴は魚雷でも撃っとけ!」
 
そう言いつつ、俺と木曾は敵艦隊に向かって進んでいる。敵との距離は残り五キロほど。
 
すると、駆逐ニ級と軽巡ト級は、どうやら魚雷を発射した様で、海に航跡ができている。どうやら俺と木曾を狙った物のようだ。
 
「スピード落とすな!ジャンプでかわせ!」
 
「普通は止まって横に避けるだろ!」

と言いながらも俺達はスピードを落とすことなく前進した。接近する航跡。それがあと百メートルって所で、
 
「飛べ!」
 
木曾の合図が出た。俺は走り幅跳びの如くジャンプした。航跡は俺達の下を通り過ぎていった。一安心する間も無く、重巡リ級が近づいてきた。軽巡ト級の方は木曾の方に行った。
 
「おーおー、相変わらず派手に戦うねぇ!」
 
どうやら摩耶さん達も近づいてきたようだ。
 
「残りは任しといてよ!四対三だしね…っと!」
 
時雨はそう言いながら残っている駆逐ニ級に砲撃した。かなりの至近距離だからか、モロ直撃を食らう駆逐ニ級。どうやら他の二隻もそちらに気を取られたようだ。
 
「お前らアホじゃねぇの?新入りに一隻任せるとか……しかも敵艦隊の旗艦を。」
 
そんなことを相手を見ながら言ったが、どうやら誰にも届いてないようだ。
 
「さーて、この距離じゃあお互いに砲撃もできねぇよなぁ?」
 
俺と重巡リ級の距離はだいたい十メートル位と言った所か。お互いに砲門をしまう。
 
そして俺は拳を握り、構える。重巡リ級は相変わらずの臨戦態勢だ。
 
「さぁて……いっちょ行きますか!」
 
俺は一気に距離を詰める。そして、挨拶がわりに一発右回し蹴りを放つ。リ級はそれを腕で受け止める。リ級はそのまま右フックを俺の腹に向かって打つ。
 
俺はそのフックをスレスレの所でかわす。
 
「ちっ…やっぱり一週間じゃ動きに慣れねぇか!」
 
そう、俺はこの一週間で長門さんや天龍に格闘技の基礎を教えてもらった。しかし、基礎は基礎。やはり実践に使えるレベルでは無い。
 
しかし、今はこれでいい。今の俺の格闘技は、あくまでおまけだ……!
 
「オラァ!」
 
俺は気合いを入れ直して、今度は相手のガードの上から右ストレートを打つ。リ級は当然そのまま両手でガードする。
 
「かかったぁ!!」
 
俺はそれを見て、その両手をプロレスのキックの如く足で思いっきり押す。そのままバランスを崩すリ級。
 
「砲撃はできねぇけどなぁ……雷撃はできんだよぉ!」
 
俺は、左手で魚雷を発射する。当然相手との距離は二、三メートル程度だ。このままでは俺も巻き込まれてしまう。
 
リ級は当然なんとかダメージを防ごうと海面に倒れ込む。そこに魚雷が当たる。しかし、
 

コツン
 

魚雷は爆発しなかった。そう、その魚雷は爆発しない偽物だ。

「……!?」
 
明らかに動揺しているリ級。そりゃそうだ。魚雷が爆発しなかった訳だし。

しかしまぁ、その隙を俺が見逃す筈もなく。
 
「さらにかかったぁ!」
 
俺はそのうつ伏せの状態のリ級にのしかかる。格闘技でいうところのマウントポジション(うつ伏せだけど。)だ。
 
「肉弾戦になったとき用に明石さんに偽物用意してもらったんだけど……まさかこんなにうまく行くとはな。」
 
「……!……!!」
 
なんとか抜け出そうとするリ級。だが、この完璧なマウントポジション(うつ伏せだけど。)をひっくり返すのは海にでも沈まないと無理だ。
 
「さぁてと……何発こいつを耐えられるかなぁ!?」
 
俺はそこからリ級の後頭部?に向かって一発砲撃した。
 
「グガァアアアa。」
 
リ級の悲鳴は、途中で掻き消された。

砲撃を頭に直撃してしまったリ級の頭は、跡形もなく吹っ飛ばされてしまっていた。そして、リ級の身体……いや、死体は海に沈んで行った。
 
「けっ、一発かよ。二度と浮かんでくるな。」
 
俺はそう吐き捨てて、他の奴らの状況を見た。
 
既に木曾はト級を沈めたらしく、摩耶さん達に合流していた。
 
「これで終わりです!」
 
そして、残っていた駆逐ニ級も神通さんの砲撃の直撃を食らい、そのまま沈んで行くニ級。

「うーし!敵艦隊壊滅成功!被害無しの完全勝利だ!」
 
木曾はそう叫んだ。
 
「ふー……。」
 
息を吐く俺。少しホッとした。
 
「お疲れさん。」
 
そんな俺に木曾は声を掛けた。

「初戦闘にしちゃあかなり上々の結果だ。一隻中破に一隻轟沈だろ?まぁ、ニセ物魚雷には流石に引いたけど。」
 
木曾はそう言いながら少し肩をすくめた。
 
「うるせぇよ。沈めるのなら何をしてでも沈めろって言ったのはそっちだぞ?」
 
「そーだったかなー?」
 
ソッポを向く木曾。
 
「えーと……今回のMVPは……やっぱり木曾さんっぽいなぁ。」
 
えーと、確かMVPは敵に与えた損害で決めるんだよな。ちなみに俺は中破一隻に轟沈一隻。
 
「木曾はどんくらい沈めたの?」
 
「軽巡一隻に雷巡二隻だ。」
 
「は?」
 
えっと、さっき俺が重巡リ級と戦っている間に三隻も沈めてたのかよ……。
 
「ま、当然の結果だ。騒ぐことの程でもない。」
 
と、クールに決める木曾。ちくしょう、カッケェと思っちまった。
 
「なんで重巡のアタシより火力出せんだよ……つーか一発一発が早すぎるわ。」
 
と、摩耶さん。
 
「さぁな。さ、さっさと進むぞ!」
 
そう言うと木曾は羅針盤を取り出した。
 
「さーてと……目的地はどっちだ~っと!」
 
そして、木曾はその羅針盤の針を回した。
 
……ここに来るまでの道中で木曾がいきなり羅針盤を回した時は本当に驚いた。羅針盤の針って回すもんじゃないだろって思ったが、それも突っ込んだら負けなのだろう。
 
「…ん、あっちだな。」
 
羅針盤を見ると、今さっき敵艦隊が現れた方向だった。たまにとんでもない方向に行かせることもあるらしい……。それに出会わない事祈ろう。
 
「さて、それじゃ出発!まだまだ気を抜くんじゃねぇぞ!」
 
俺達は木曾の合図とともに進み始めた。 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。えぇ、これだけの為に凄く悩みましたさ。えぇ。こんなのがまだまだ書かなきゃいけないのかと思うとゾッとしますね……くわらばくわらば。
それでは、また次回。 
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