イナズマイレブン〜稲妻の軍神〜
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⚡︎15話 染岡の必殺技と豪炎寺の入部
豪炎寺は最近、河川敷の上にある橋を渡って下校していた。この河川敷のグラウンドでは円堂と廣川などの雷門サッカー部が毎日練習をしている。
〜河川敷〜
「いくぞぉ!」
「……………」
豪炎寺は円堂達の練習を見ていた。するとそこに1台の高級車がやって来た。車の窓が開くと学校一の有名人──雷門夏未がいた。夏未は豪炎寺に話し掛ける。
「こんにちは。雷門夏未といいます」
「どうも……」
素っ気ない返しだったが、豪炎寺はキチンと答えた。夏未は豪炎寺に尋ねる。
「この道、貴方の通学路だったかしら?」
「……………」
豪炎寺はその質問に答えられずに顔を背けた。夏未は続けて言う。
「失礼だけど、貴方のことは調べさせて貰ったわ。妹さんのこともね」
「……………」
「貴方はこのままでいいの! あの諦めの悪い連中とプレイしたい。だからこの道を通ってる」
「ほっといてくれ」
「サッカーを辞めることが妹さんへの償いになるというの! そんなの、勘違いも甚だしいわね。貴方に一番サッカーをして欲しいのは一体誰なのかしら」
その夏未の言葉を聞いて豪炎寺が脳裏に浮かんだのは
『お兄ちゃん頑張ってね! ぜーったい勝ってね! カッコいいシュート撃って勝たなきゃダメだよ!!』
最後に見た妹の笑顔だった。豪炎寺は自分がやるべきことを思い出す。
「はっ!! 夕香……」
「……行ってちょうだい」
豪炎寺の答えに満足したのか夏未は車を出すようにドライバーに頼んで行ってしまった。
⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎
今日も円堂達は河川敷で特訓をしていた。そして染岡は必殺シュートを完成させるため円堂達と特訓し、廣川はベンチに座ってノートを書いたりホワイトボードを使って青と赤の丸型磁石を動かしていたそれに疑問を持った音無は廣川の隣に座りノートを覗き込む。
「廣川先輩、何してるんですか?」
「……音無か。今、新しいフォーメーションと必殺タクティクスを考えていたんだ」
「必殺タクティクス、ですか?」
「ああ。必殺技には個人技と連携技がある……けど、それでも限界がある。それならチーム一丸となって1つの連携技を繰り出すんだ。例えば、1人を4人で囲ってボールを奪う。FWの2人をゴールまで向かわせる様に他の皆で相手から守るなど……まあ、完成させたとしても必ず弱点がある。だから弱点を見破られた時の対策や、どのタイミングで使うのかを考えなきゃいけないからな」
廣川は音無にホワイトボードの赤と青の丸型磁石を使いながら説明した。それを聞いた音無は目をキラキラと輝かす。
「廣川先輩、凄いです! ホワイトボードを使ってそんなことを考えているなんて……流石、雷門サッカー部の司令塔ですね!!」
「……そこまで言われると何だかむず痒いな。まあ、今のところ考えているのは──────」
音無に褒められた廣川は頰を掻きながら今考案した必殺タクティクスについて話し始めた。そして廣川は話し終える。
「──────って言うのが今考案した必殺タクティクスなんだ」
「それいいですね! 尾刈斗中の試合で使いましょうよ!!」
「いや、流石に無理だ……この必殺タクティクスは考案中で、これを具体的な形にするのにも練習が必要になる。今の俺たちじゃどんなに短くても……ひと月以上は掛かるな」
「……そうなんですか」
廣川の言葉に音無は納得した。廣川と音無がそんな話をしている時、染岡がシュートを撃つ。
「(豪炎寺には絶対負けない!)うおおおお!!!」
染岡は叫ぶながら右脚を一回転して青いパワーをボールに集中させると、背後に一頭の龍が出現した。そして染岡は円堂に向かってシュートを放った。染岡の必殺シュートに円堂は反応が出来ず、そのままゴールへと突き刺さった。
「はぁはぁはぁ……」
「あっ……」
「すっげー……」
「今までのシュートとはまるで違う……」
「今なんかドラゴンがガァーッと吠えたような……」
「僕もそんな感じがしましたよ……」
染岡の必殺シュートに栗松と風丸、半田、少林寺は驚いていた。そのシュートを撃った染岡は、必殺シュートが出来たことに驚愕な表情を浮かべている。
「……………」
「染岡ぁ! スッゲーシュートだったな!!」
「これだ……これが俺のシュートだ!!!」
「ああ! やったな!!」
染岡は必殺シュートが出来たことに喜び、円堂は染岡の右肩に手を置きながら声を上げた。そして染岡を中心に全員で盛り上がり、必殺シュートの技名を決めていた。そんな時、そこに1人の男──豪炎寺が歩いてきた。豪炎寺を見た円堂と廣川は呟く。
「あっ……」
「豪炎寺……」
「ああっ!」
「何?」
豪炎寺が来たことに宍戸は笑みの表情を浮かべ、染岡は敵対丸出しで睨んでいた。豪炎寺は目を閉じながら円堂達のところまで歩いてくる。そして──
「円堂、廣川……俺、やるよ」
豪炎寺は目を開いて静かに強く言った。それを聞いた円堂は笑みを浮かべて喜ぶ。
「豪炎寺!!」
「「「「やったー!!」」」」
円堂に続き壁山と栗松、宍戸、少林寺の1年生達も笑みを浮かべて喜んだ。他の皆も喜んでいるが、染岡だけ喜んでなかった。その後再び練習が始まったが、豪炎寺は着るユニフォームが無かったため見てくれることとなった。豪炎寺が練習を見ている中、廣川は豪炎寺に声を掛ける。
「豪炎寺……本当に良いのか?」
「ああ……俺は勘違いをしていた。サッカーを止めることが夕香へのせめてもの罪滅ぼしだと思っていたが……俺がサッカーをすることを望んでいるのは他でもない夕香なんだ。そのことに気付いたよ」
「……そうか。ならこれから宜しく頼む、豪炎寺」
豪炎寺の決心した言葉を聞いた廣川は右手を豪炎寺に向けて差し出し
「!……ああ!!」
豪炎寺は差し出した右手を握り、快く応えた。そして廣川は豪炎寺にノートを渡す。
「早速で悪いが、必殺タクティクスを考えるのを手伝ってくれないか? 他にも色々と」
「それは良いが……必殺タクティクスを考えているのか?」
「ああ。何かはやらないといけないからな……今考案しているのが、あそこにいる青髪の風丸を主軸にした必殺タクティクスを考えている」
「なるほどな……まあ、まずは──────」
廣川の言葉を聞いた豪炎寺は納得し、考案した必殺タクティクスについて話し始めた。そして廣川は豪炎寺の知恵を借りて必殺タクティクスの弱点対策ができ、フォーメーションについても最高の出来となった。いよいよ尾刈斗中との練習試合だ……必ず勝利し、フットボールフロンティアに出場するために………
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