真田十勇士
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巻ノ八十八 村上武吉その十四
「まさにな」
「左様ですか」
「夜でも泳げるな」
「忍は夜こそ働く時」
「だからか」
「はい」
まさにとだ、海野は村上に静かな声で答えた。
「ですから」
「そうか」
「夜も平気です」
「尚よい、ではわしの水術の全てをな」
「これからもですか」
「授けよう」
そうしようというのだ。
「是非な」
「さすれば」
「明日は夜明け前に海に出てな」
「修行ですな」
「天気に関係なく入る」
海、そこにというのだ。
「暑いも寒いもない」
「それがまことの水術ですな」
「そういうことじゃ、ではな」
「それがしも付き合いまする」
幸村も話す。
「六郎に」
「ではな」
「夜明け前から」
「明日は修行じゃ」
こう話してだ、そのうえでだった。
海野はその夜は休んだが実際に夜明け前からだった、村上そして幸村と共に海に入りそうしてだった。
修行に励んだ、そのうえで水術を極めんとしていた。
巻ノ八十八 完
2016・12・28
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