Blue Rose
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最終話 薔薇は咲いてその十三
「すぐにね」
「はい、そうしてですね」
「そう、薔薇達を見ながらね」
そうしつつというのだ。
「お話をしましょう」
「三人で」
「そうしましょう。この数年ね」
優花が女の子になり今に至るその間のことをだ、優子はここで一旦振り返った。そのうえでこう優花に言った。
「あっという間だったわね」
「そうね、何かね」
「あっという間だったでしょ」
「色々あったのに」
それでもだったとだ、優花自身も言った。
「それでもね」
「一瞬だったわね」
「ここに来るまで」
「あそこではじまってまたはじめるのよ」
「私達は」
「そう、またね」
社会人として、つまり正式に世間に出ての生活をはじめるからだというのだ。
「行くのよ」
「そうなのね」
「女のコとしてはじまった場所だから」
「社会人としても」
「そう、行くのよ」
青薔薇園にというのだ。
「もう完全に女の子だから」
「女の子として」
「そう、行きましょう」
「俺はその御前をな」
龍馬は微笑んで優花に言った。
「見るな」
「そうしてくれるのね」
「ああ、友達だからな」
だからだというのだ。
「そうするな。けれど俺もな」
「龍馬もよね」
「そこからスタートするんだな」
「社会人としてね」
「そうだよな、これからな」
実際にとだ、龍馬は言うのだった。
「はじめるんだよ」
「そうよね」
「仕事して結婚もしてな」
「家庭も持って」
「まあ結婚はどうなるかわからないにしても」
それでもとだ、龍馬はさらに話した。
「仕事して自分でお金稼いで」
「そうして生きていくことになるわね」
「そうね、そのスタートだから」
「今から行くんだな」
「青薔薇園にね」
「御前はもう完全にな」
龍馬は優花に顔を向けて話した。
「女の子だからな」
「身体も心も」
「何もかもな。長崎にいた時からそうだったにしても」
「社会人としてもね」
「女の人として生きるんだな」
「そう、優花は女の子から女の人になるから」
だからこそとだ、優子がまた言った。
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