ドリトル先生と悩める画家
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第二幕その二
「そしてもう一歩ね」
「先生も踏み出すべきね」
「どう?今度は二人でね」
老馬は先生に笑顔でアドバイスしました。
「美術館に行ってきたら?」
「私達は留守番してるわよ」
ポリネシアも気を利かせます。
「研究室なりお家でね」
「そうそう、たまには二人でね」
ダブダブもわかっています。
「行ってきたら?美術館でも」
「美術館は最高のデートスポットの一つっていうし」
ホワイティは他の皆よりはっきりと言いました。
「いいんじゃないかな」
「そうそう、美術館だけじゃないけれどね」
トートーは学園内の他の施設のお話も入れました。
「あそこが一番いい場所かな、お二人で行くには」
「先生、どうかな」
ジップは先生にじかに尋ねました。
「今度はお二人でね」
「悪くないと思うわよ」
ガブガブの口調はお母さんみたいでした。
「ここで新たな一歩よ」
「まずは踏み出さないとね」
「先生からもね」
オシツオサレツも思わせぶりな口調です。
「だからね、ここはね」
「先生の方からとか」
「ほら、先生の近くにおられるよ」
チーチーが最後に言いました。
「ちゃんとね」
「二人?僕はいつも皆と一緒じゃないか」
先生は皆のその言葉にきょとんとして返しました。
「二人だけって言われても王子もトミーもね」
「いや、僕じゃないですよ」
トミーは先生の今のお言葉に慌てて言いました。
「僕でも王子でもないですよ」
「じゃあサラかな」
「何でサラさんですか?」
「だって時々日本に来ているからね」
そうして先生とお会いしているからというのです。
「だからね」
「サラさんでもないですよ」
「じゃあ誰かな」
「というかそんなのですと」
流石にトミーも返事に困りました、お箸を動かしているその手も止まっています。トミーも先生もお箸を上手に使っています。
「大変ですね」
「大変?」
「はい、あの人が」
「あの人って誰かな」
「まあそのうち気付いて下さい」
「そのうちなんだ」
「僕も是非って思ってますから」
トミーもわかっています、あの人のことは。
「ですから」
「それでなんだ」
「先生も頑張って下さいね」
「一歩かな」
「そう、一歩です」
「何の一歩かわからないけれど」
先生は今もわかっていません、ですがそれでもこう答えました。
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