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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)

作者:あちゃ
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第87話:家族の問題。家族で考える。

(グランバニア城:国王と王妃の寝室)
ビアンカSIDE

寝坊した。
昨晩はウルフ君の陰謀が露見して、家族(愛人等も含む)交えて大論議会を開催した。
う~ん……ちょっと違うわね。大論議してたのはリュカとティミーとウルフ君……それとマリーだけだったわ。

まぁ兎も角、激しい論議の末にウルフ君の処分が決定した。
“ウルフと彼に類する人々への、王位継承権を永久に剥奪する!”って処分。
リュカの口から最初に聞いた時は、皆ポカ~ンだったわ。だって意味解らないんだもの。

でも詳しく説明を聞いて納得した。
つまり、現状ではウルフ君に王位継承権は無いけど、マリーやリューノと結婚する事で位は低いけど王位継承権を取得する事が出来る。でも、それすらも出来ないように定めるって事なの。

更に“彼に類する人々”って文言が、ウルフ君と付き合ってるマリーやリューノの王位継承権も剥奪するって意味なんだって。
勿論ね現状で結婚してる訳じゃないし、マリーもリューノも別れちゃえば王位継承権は現状維持のままになる。

だけど二人とも、ウルフ君と別れるなんて断固拒否なのよ。
まぁリューノは元々王位継承権に興味ないし、今回の決定を聞いても『あ、そ』って感じで気にしてなかったけど、問題なのはマリーなのよ。

我が娘ながら恥ずかしいのだけど『ウルフ君と別れるのは絶対にイヤ!』……でも『お姫様じゃなくなるのも絶対にイヤ!!』って我が儘爆発。
それで夜中までギャーギャー口論して、リュカと大喧嘩。

最終的に『お前が安易に火縄銃の情報を漏らすから、こんな大問題になってるんだろ! 我が儘言うな!』ってリュカに怒鳴られて終了。
この台詞で私は全てを納得した。

今回のウルフ君の陰謀も、中途半端な別世界(リュカが所持してる情報の世界)の情報をマリーが持ってる事が分かってたから実行できたのであって、今一番罰したい人物はマリーなんだって事を理解する事が出来たわ。

リュカ的にはマリーが別世界の情報を持ってる事は、極少数にしか知らせたくないし、今回の罰を早々に納得して欲しかったのだろうけど、我が儘な我が娘は父親の優しさまで理解が到達せず、ただ只管ギャーギャー騒ぐだけだったわ。

裏事情を知らないティミーが何故マリーが火縄銃の情報を持ってるのか聞こうとするのを遮るように、私とピエールとスノウを連れて寝室へと逃げてしまうリュカ。
多分、残されたマリーとウルフ君には、ティミーからの質問攻めを受けてたんだと思うけど、父の気遣いを無駄にした馬鹿娘へのお仕置きとして放置された。

逃げるように寝室へ連れ込まれた私達は、気の昂ぶりまくってるリュカにレイプされるような4Pを敢行され、朝寝坊するほど疲労している。
自身の隣を見ると、私と同じ様に全裸で所々に乾いた白濁液を付着させたピエールとスノウが横たわってる。

このままじゃいけない……そう思い重い身体を起こして辺りを見回す。
最初に視線を向けたのは時計……既に朝食の時間も終わっており、どちらかと言えば昼に近い時間帯だった。

次に目に入ったのは桶半分に水が張ってあり、側には綺麗なタオルの山。
これはリュカが用意してくれた物だと思われる……お風呂に入るにしても、一旦は服を着なければならない訳だし、今の状態で服を着るのには抵抗があるから、身体を拭いて着替えてから浴場に行くようにとの気遣いだろう。

そして、そんなタオルの山と同時に見付けたのは、我等3名の着替えだ。
下着だけでは無く、人前に出ても問題ないような服装を、各々の部屋から持ってきてくれてたみたいだ。しかも、昨晩着てた服は既に洗濯用のカゴに入れられており、上級メイドのジョディーが取りに来れば渡せる状態になっている。

何て気が利く夫だろうか……至れり尽くせりではないか。
以前、悩み事で酒に逃げた時は『()に逃げれば良いのに!』と思ったが、気が昂ぶった時のセッ○スがこれ程までに激しいと知り、考えを改めようと思う。常人が3人がかりでもダウンしてるんだから、今後は酒に逃げて貰うようにしよう。

そう心の中で誓いながら、ノッソリと起き上がって身体を拭く。
私の動きに気が付いたピエールとスノウも、私と同じ様に自らの身体をリュカが用意してくれたタオルで清める。

知った仲だが、むしろそれがこの状況を恥ずかしくさせる為、3人とも無言で身体を拭き、用意されてた服に身を包んでると、「(コンコン)ビアンカ様……洗濯物を取りに来ました」とジョディーが扉をノックした。

「あ……ありがと……」
まだ完全に着替え終わってなかったし、この3人がリュカを交えてたとは言え昨晩全裸で乱れてたと言う事を知られたくなかったので、彼女には室内に入らせず腕だけを出して洗濯物の入ったカゴを差し出した。

こんな失礼な態度で洗濯物を渡した事は、後で謝ろう。
でも今は見ないで……私達の痴態を知らないで!
お願い!!

ビアンカSIDE END



(グランバニア城・宰相兼国務大臣執務室)
ウルフSIDE

今回の件は隠す事無く城内の者に知らせる事となった。
勿論、政務に携わる深さに合わせて知らせる情報の深さも変更するのだが、取り敢えず俺のスタッフにはマリーが前世の記憶を持ってるって事以外、全てリュカさんの口から説明された。

此処での説明が終わると、リュカさんは軍務大臣室へ赴き同じ様に自ら説明するらしい。
ただし軍の連中には俺がマリーから情報を得たって事すらも言わないらしい。
その事も宰相スタッフに言ってあるので、マリーの事が巷で噂になったら、イの一番に疑われる部署になる。そう言う説明もリュカさんは言うんだよね。怖いわぁ~……

そんな脅しも相俟って、俺のオフィスは頗る空気が重い。
罪には問われなかったが半ばクーデター紛いの事をやらかした俺に、スタッフ等の視線が痛い。
唯一睨まないで居てくれてるのはユニさんだけで、残りは皆さん睨みまくり。

皆それなりにグランバニアを愛しており、現国王のリュカさんを尊敬してる方々なので、今回の件は腹立たしい事この上ないのでしょう。
しかも俺への罰則は“永遠に王位継承権の剥奪”って事で、元々王位継承権に興味ない俺には何て事のない罰なのですからね。

この罰則、どちらかというとマリーに対しての意味合いが大きく、俺の子供や孫等が王位継承権を欲しない限り、痛くも痒くもない……むしろマリーから取り上げる事が出来て計画通りだと思ってるくらいなのですよね。

だからだろうけど……本当に視線が痛い。
視線で人を殺せるのなら、俺は惨殺されてるレベルで痛い。
でもこれは俺が甘んじて受けなければならないのだろう。

「ウルフ閣下、コーヒーを取り替えてきます……あっ!」(ガシャン!)
何を思ってか、俺の机に置いてあった取り替える必要のないコーヒーを、唯一睨んでないユニさんが「取り替える」と言って持ち上げたが、手が滑って俺の服にぶちまけてきた。

「熱!!」
「申し訳ございません。直ぐに服を着替えないとなりませんね」
睨んではなかったけど、ユニさん流の仕返しなのかと疑ったが、熱がってる俺を立ち上がらせると背中を押して着替えてくるよう執務室から追い出された。

そして廊下へ追い出されて気付く。
スタッフ等が俺への罵詈雑言を俺の居ない所で言い合う為に、ユニさんが気を利かせて追い出したのだと気付いた。

つまり、今回の件の俺に対する不満を募らせてるスタッフは、陰口と言う名のストレス発散でスッキリさせ、明日から新たな気持ちで職務に精励させようってユニさんは考えたみたい。熱いコーヒーを浴びせ、自らもストレス発散させようって考えも有ったと思うけどね。

仕方ない……今日は執務室に戻るのは止めよう。
実際にコーヒーをかけられて着替えなければならない事に変わりないのだし。
「はぁ……」
「ナン?」

深く溜息を吐くと足下にはソロが来ていた。
最近は隙を見て俺の執務室へ入る込んでたので、今日も同じ様に入る込む予定だったのだろう。だけど俺は、今日は執務室に入らない……入れないのだよ。

「一緒に彷徨くかい?」
「ナ~ン」
俺の足に身体を擦り付けながらの返事だから、拒絶ではないだろう。
取り敢えず一旦自室に戻って着替えて……そうだな、洗濯室に汚れた服を持って行こう。

多分、今頃はジュディーが洗濯の真っ最中だろうから、この服も洗って貰おう。
あいつレズビアンで、前任者(マオさん)を追い出したのが俺だと勘違いしてるから、洗濯を拒絶するかもしれないけど、その時は権力を楯に命令しよう。

更に嫌われるだろうけど、既に嫌われてるのだから問題ないだろう。



(グランバニア城:プライベートエリア・洗濯室前廊下)

新しい服に着替え、汚れた服を無造作に持ち、城内の洗濯室へとソロと共に向かう。
我が国には国王(リュカさん)が案を出して、魔技高卒業した天才連中が作り出した魔道洗濯機なる代物が存在する。

縦横5.60センチ・高さ1メートル程の箱状の物体内部に、風だけのバギを発生させる仕組みを組み込み、中に水を入れて・洗濯物を入れて・洗濯用洗剤を入れて操作盤のスイッチを入れると3.40分程で汚れた衣類が綺麗になる優れものだ。

勿論、一般にも売り出してるので、各家庭でも使用されてる。
お陰でリュカさんは、主婦連中から頗る評判が良いのだ。
家事が楽になった……って事らしい。

そんな訳で昔に比べて楽な洗濯なのだから、後から洗濯物が増えたって文句を言われたくない。
でもレズメイドは俺に文句を言うだろう。
気が重いよ……

王家のプライベートエリアの洗濯室に近付くと、中からは作業してる音が聞こえてくる。
魔道洗濯機が洗ってくれても、服を乾かす為に服を絞って屋外へ干さなければならない。
以前よりは楽になったけど、それでも追加は怒られるんだよね。

権力を楯に……って思ってたけど、やっぱり怖いから少しだけ扉を開けて中の様子を伺おう。
どのみち怒られるだろうけど、現状の忙しさによって怒られ方も変わるだろうし、そうなれば心の準備も必要だからね。ヘタレとか言うなよ!

(カチャ……)
扉を14.5センチだけ開け、中の様子を覗く……
すると、そこには上級メイドのジョディーが息を荒くして存在していた。

水浸しの衣類を絞ったりするのは結構な肉体労働で、息が荒くもなるよね。
うん。水浸しの衣類を絞ってればね……でもね、室内の女性は水浸しの衣類を絞ったりしてないんだよね。
え? 何をしてるのかって?

う~ん……説明しにくいなぁ。
何て言うの……女性用のパンツに頬摺りして、激しく身もだえてるんだよね。
コレって何? 如何説明すれば良いのかな?

え、何してんのコイツ!? マジで何しちゃってるの、このメイド!?
やべぇよ……洗濯物追加で怒られる時よりも声をかけ辛いよ。
扉の隙間から洗濯物を投げ入れてダッシュで逃げるかな……ダメだ、洗濯物で誰が投げ入れたのかバレる。問題の先送りでしかない。

あぁどうしよう……
一旦扉を閉めて、満足するのを廊下で待って、通常メイドに戻った時に追加を頼もうかな。
アイツ何時満足するんだろう? 結構な時間待たなきゃならなそうだよね。

「ナン?」
「え!?」「あっ!!」
ドン引き状態で扉の隅間から覗いたまま固まってると、状況の判ってないソロが先に室内に入り状況確認の一鳴きをしてしまった。

やばい……目が合っちゃった。どうする? どうしちゃう!?

ウルフSIDE END



 
 

 
後書き
何か重い話が続いちゃって……
馬鹿話にしたかったんです。 
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