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先恋

作者:マナ
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先恋〜やっぱり〜

静かな時間、みんなが黙る。陸太と七瀬を大袈裟に首を振り交互に見ている者もいる。何より、七瀬と陸太の間には長く、より深い沈黙。
「美男美女カップル!」
「ヒュ〜ヒュ〜!」
静かだと思うのも束の間、周りは一気に囃し立てる。
「…ちょ、誤解…」
「あんたも中々だね」
「…え?」
「突然そんなこと言うなんて、この学校初登校なのに、驚いたよ」
「ず、瑞木さん!ま…っ!」

「なー、なー!二人は付き合うんだろ⁉︎お似合いだもんな‼︎」
誤解を解こうとするも、周りのせいで言葉すら発せない。
「ちっ、ちょっと待って‼︎瑞木さんって言うのは……っ‼︎」
そこで気付く。此処で教師だとばらして仕舞えば、自分が教師と“そう言う関係”だった事がばれてしまう。そうなれば、必ず、少し位は問題になってしまうだろう。
「…い、いや、何でもない…」
何も言えなくなり、黙り込む陸太を、七瀬は静かに見つめていた______。




〜昼休憩〜

「…春先」
「え?」
顔を上げると、隣に七瀬が立っていた。
「…ちょっと…来てくんない?話あるから」
「……あ、うん…、」



二人は、人が殆ど来ない屋上に行く。
「……座んないの?」
「…あ、えっと、失礼します…」
七瀬が座っているベンチに、七瀬から少し距離をとり、座る。
「…………」
「…………」
長い沈黙が走る。言葉を発しても良いものか…、陸太は俯いたまま、微動だにしない。

「あんたさ…」
七瀬が喋る。
「え?」
「…何であんな嘘ついたの?」
「…何が?」
「分かるに決まってんじゃん、馬鹿なの?あんなボーッとした顔されて…、私が悪いみたいじゃん、」
「……??」
何も分かっていないと言わんばかりの顔をする陸太を見て、七瀬は溜息をつく。

「あんたは!他に!好きな人が!いるんでしょ⁉︎って聞いてんの‼︎」

耳元で叫ばれ、陸太は両眼見開く。
「え…、何でそんな事…」
「さっき、私が“瑞木”って名前だって知って、あんた…凄い驚いてたでしょ?それって、好きな人の名前と同じだったからじゃないの?まぁ、急に名前で呼ぶんだ…何て言った私にも非はあると思うけどさ…。」
頭を掻く七瀬を見て、陸太もゆっくりと口を開く。
「…実は…僕…」


「あぁぁっ‼︎陸太と瑞木が屋上でデートしてるぞー‼︎‼︎」
陸太は急いで声のほうを見る。七瀬も同じく、見る。
「おいおい!教室じゃ出来ないからってイチャイチャしてんなよー‼︎」
何人か、人が集まってくる。
「ちょっ、待って!」
陸太が黙らせようとするも、周りは黙らない。ふと、七瀬を見ると、怒っているのか何なのか、俯いて震えている。
「ず、瑞木さん…!」
陸太は、七瀬の手を握り、走り出した。
「あっ!待てよっ‼︎」
背後から声が聞こえるも、振り向かずその場から離れる。


「ちょ、ちょっと!春先…っ!」
「ごめん!場所移動しよう‼︎」
そう言い、七瀬の手を引き逃げる陸太。途中で突然七瀬が立ち止まる。
「ちょ、瑞木さん!」
「…話さなくていい」
「…え…?」
「教室戻ろっか」
「で、でも!」
七瀬は陸太の言葉は聞こうともせず、来た道を戻る。陸太は戸惑うも、七瀬の後を追う。

「あっ‼︎居た!おい!陸太!瑞木…」
「うるさい」
驚くほど冷たい声で言うと、周りの人間も黙り込む。
「ごめん、どいて…」
陸太は七瀬の様子がおかしいのに気付き、急いで七瀬を追う。
「瑞木さんっ!」
急いで七瀬の手を掴む。
「えっと…あの…」
「もう、関わんないで、あーやって、しつこくしてくるの、ほんと嫌なの‼︎」
「ご、めん…」
「何で⁉︎同じ名前で、あんたがその同じ名前の奴庇って、皆に私と感じ害されて!何でこんな嫌な事されなきゃ行けないの⁉︎寄ってたかって…、私…あーゆうのが苦手だから…嫌なの…っ!」
七瀬が俯く。
「本当に…、ごめん…」
陸太はどう謝れば良いか分からず、俯く。
「…皆に言っとくから、同じ名前の人違いだって、だからもう、私に変に関わらないでね…」



教室に戻るも、気まずく、誰も話しかけてこない。陸太は黙って席に着く。
(何でこうなるんだろう…)
隣に座る七瀬も、陸太の方は見ない。
(初日からこんなんじゃ…)
周りの人達の視線が痛い。誰かが悪口を言っているのではと不安になる。
(……くそ……)
その時ふと、一人の人の顔が浮かぶ。沙奈だ。沙奈の顔が浮かぶ。

「沙奈さん…」

心の中で呟いたはずが、声に出ていたらしい。七瀬が此方を見る。
「沙奈さん、って言うんだ…」
「…あ、うん、」
気まずく、顔が見れない。
「…その人って…どんな人なの?」
「…沙奈さんは…………僕の元恋人で…」
そこで黙ってしまう。
「…?何?」
恐怖は大きかったが、ゆっくりと、口を開いた。



「…………前の学校の…先生だった…」






 
 

 
後書き
前書き無し、失礼しました。
お久しぶりです!
これからどんどん面白くなるよう、頑張っていきますので、宜しくお願いします‼︎ 
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