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競泳水着

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第三章

「ビキニじゃないなら」
「もう一択じゃない」
「ビキニが嫌ならね」
「それじゃあワンピースから選べばいいわ」
「出来るだけウエストが目立たない水着ね」
「目立たないね」 
 この単語にだ、楓は強く反応した。そして友人達にこんなことを言った。
「私保護色でいくわ」
「保護色?」
「保護色ていうと?」
「だからウエストが気になっていても目立たないとね」
 そうした状況ならというのだ。
「見られないから」
「だから保護色なの」
「保護色でいくの」
「そうするの」
「そうした水着でいくわ、デザインも色合いもね」
 そうしたものはというのだ。
「大人しいね」
「そうした水着なの」
「それでいくの」
「そうするの」
「ええ、地味な水着でいくわ」
 こう言ってだ、楓はそうした水着を着ていくことにした。それで家で自分が持っている水着を出して選ぶのだった。
 本当はお気に入りのピンクのビキニを着たい、だが。
 そのビキニは駄目なのでだ、ワンピースの水着達を見るが。
 スクール水着はだ、自分自身で会議をしつつ言った。
「かえって目立つわね」
「スクール水着ってマニア多いでしょ」
「そうなのよね」
 楓は自分で自分に突っ込みを入れて言った。
「これがね」
「だからかえって注目されるから」
「保護色どころか危険色ね」
「サンゴヘビかヤドクガエル並に目立つわよ」
「そうなるわね」
 プールの中でもというのだ。
「だからアウト」
「もっと自然の水着じゃないと」
「そういうことね」
「目立たない」
「それじゃあ」
 ここでだ、楓は。
 ある水着を見付けた、そうしてだった。
 その水着を凝視してだ、また自分会議を行った。
「この水着よくない?」
「そうよね」
「これは何気にね」
「いい感じだわ」
 こう自分自身で話すのだった、そしてだった。 
 そのうえでだ、会心の笑みで言った。
「決まりね」
「そうね」
「これは神様の思し召しね」
「この水着を着てプールに行けって」
「それならね」
「これを着ないとね」
「いけないわ」
 会心の笑みのままその水着を手に取った、そうしてだった。
 楓はプールに行く用意をはじめた、それも嬉々として。そのうえで友人達と共にプールに行くがそこでだった。
 友人達は水着に着替えた楓を見てだ、引きながら言った。
「ちょっとあんた、幾ら何でも」
「その水着はないでしょ」
「目立たないつもりだったって」
「それ嘘だったの?」
「嘘じゃないわよ」 
 楓は引いている友人達にすぐに答えた。 
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