レーヴァティン
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第一話 夢幻の世界へその十三
「程々でいいさ」
「だったらよ」
「今より少し大きい位でか」
「それ位がいいわよ」
「そんなものか」
「そうよ、極端に大きいと困るの」
どうしてもというのだ。
「あんた今でも普通に背があるから」
「十センチはか」
「それ位高くなったらかえって不便よ」
「そんなものか」
「そうよ、程々の高さでいいのよ」
背もというのだ。
「わかったわね」
「ああ、そんなものか」
「そうよ、バスに乗っても大変よ」
「頭が天井についてか」
「そのこと覚えておいてね」
「わかったよ」
久志は母の言葉に頷いた、そしてだった。
食事の後は風呂に入りゲームをしてから寝た、そして夢を見たが。
その夢は不思議な夢だった。彼がいたのは森がすぐ傍にある村だった。村の家々や建物は全て木製で人々の服は中世の欧州のものだった。しかも彼等はコーカロイドだった。
その彼等を見てだ、久志は思った。
「何だここ」
まずはこう思った、そして。
あらためて周りを見回してだ、今度はこう思った。
「日本じゃないな、今の」
自分が日本にいることから思ったことだ。
「どう考えても」
「何だ?また来たのか」
「また来たんだな」
「今度は何だ?」
「何をする異邦人なんだ?」
「異邦人?」
久志はその言葉を聞いて言った、
「ってそれ俺のことか」
「おい、あんた」
村人の中から中年の髪の毛が少し薄い男が出て来て彼に声をかけてきた。
「他のところから来たな」
「ええと、ここは」
「ああ、コクネックの村だよ」
「コクネックですか」
「ああ、そうだよ」
「コクネックっていいますと」
そう聞いてだ、彼はあらためて言った。
「ここは日本じゃないですか」
「日本?違うからな」
男は久志にすぐに答えた。
「さっきの兄ちゃんも言ってたが」
「兄ちゃんですか」
「そうだよ。しかしあんたの服は」
男は今度は久志の服を見て言ってきた、水色のブラウスと紺色のズボンという青系統の色で統一された服装だ。
「さっきの兄ちゃんと全く違うな」
「あの、そのさっきの兄ちゃんっていうのは」
「ああ、さっきここで見掛けてな」
それでとだ、男は久志にその男のことも説明してきた。
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