Three Roses
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第三十六話 葬儀その十一
「次の婚姻の話もあった」
「左様ですか」
「そちらのお話もですか」
「皇帝は既にお考えですか」
「そうなのですね」
「そうだ、妃のことは残念だったが」
それでもというのだ。
「私は再びだ」
「結婚されてですね」
「そのうえで、ですね」
「帝国を治められる」
「そうされますか」
「また異教徒達が騒がしくなったとも書いてあった」
その文にはだ。
「だから余計にだ」
「帝国に帰れば」
「国政に専念されますか」
「異教徒のことも見据え」
「そうして」
「国内のこともある」
帝国のそれもというのだ。
「だからな」
「余計にですね」
「戻られたいのですね」
「その時はな、この国ですることがなくなったならば」
そのことが確かになった、だからだというのだ。
「去ってだ」
「そしてですか」
「そのうえで、ですか」
「頭を切り替えられて」
「帝国の政にあたられますか」
「そうする、教皇庁もまた動きを活発にさせているという」
同じ旧教であり擁護し権威を授けられているがだ、彼等とは政治的宗教的な軋轢が絶えない。それが為に教皇庁も王国と手を結んだりするのだ。
「だから余計にな」
「帝国に戻られれば」
「動かれますか、帝国の為に」
「しかも内外に」
「そうしなければならない。折角諸侯に対してかなり優位に立てたのだ」
帝国内の彼等にというのだ。
「より帝室の権威と力も高めてな」
「民達もですね」
「その心を帝室が掴む」
「そうしていきますね」
「今以上に」
「諸侯の領地の民達もだ」
その彼等もというのだ、帝室の領地も長年に渡る婚姻政策や政治の駆け引きで増やしていっていてその力もあるがだ。
「帝国の民にしていくのだ」
「諸侯の民ではなく」
「そうした立場にですね」
「変えていきますね」
「その様に」
「諸侯は国家の中の国家だ」
帝国その中のというのだ、領邦としての。
「しかし国家を一つにするのだ」
「帝国もまた」
「この国の様にですね」
「一つにしていく」
「その為にも」
「そうだ、諸侯の力もさらに弱めねばならない」
そして民達も手に入れていくというのだ。
「だからだ。いいな」
「帝国に戻れば」
「すぐにそうした政に取り掛かりますか」
「帝国の為に」
「そして帝室の為に」
「そうしていく、しかし妃のことは忘れない」
葬儀が終わり棺も収められた彼女のことはだ。
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