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提督はBarにいる。

作者:ごません
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山風のお悩み相談・その2

「あの、提督……次は、炒め物とか煮物をお願い、します」

「あいよ。前菜ばっかじゃ飯にはならんしな」

 とは言え、山風のリクエストは変わり種のタコ料理。普段は和食が多いらしいから、洋風なレシピをご所望だ。てなワケで洋風なタコの炒め物、いくつか作っていこう。


《タコとジャガイモのスペイン風炒め》

・茹でタコ:250g

・ジャガイモ:中1個

・にんにく:1片

・オリーブオイル:適量

・パプリカパウダー:適量

・塩:少々

・黒胡椒:少々

・イタリアンパセリやドライバジル:お好みで




 日本や中国、韓国や東南アジア諸国を除いて、ヨーロッパ等でタコを食べる地方は少ない。その数少ない地方がスペインやイタリアだ。そしてスペインではタコをジャガイモと合わせる事が多い。タコのコリコリとした食感と強い旨味に対して、イモのホクホクとした食感と淡白な味が相性がいい。今回の炒め物はそんな相性の良さを活かした一品だ。タコの旬である春先は、新じゃがの季節だしな。

 にんにくはみじん切り、タコは食べやすい大きさにカット。ジャガイモは少し芯が残る程度に固めに茹で、皮を剥いて一口大にカットしておく。

 フライパンにオリーブオイルを引き、にんにくを炒める。香りが立ってきたらジャガイモを炒め、少し焼き色が付く位まで炒めたら、タコを加えて更に炒める。

 塩、黒胡椒で味付けをしたら器に盛り、パプリカパウダーやパセリ等を散らせば完成だ。

「はいよ、『タコとジャガイモのスペイン風炒め』だ」

 フォークで食べるよりも、長い楊枝で突き刺して食べる方が仲間内でもシェアして食べやすいぞ。

「うん、美味しい。これならアヒージョ……?でも、いいかも」

「確かにな。タコは旨味が強いから、アヒージョにしても味がぼやけないだろうしな」

 実際、本場スペインの方にはタコのアヒージョは存在する。アンチョビなんかも入るから、臭いが苦手な人なんかにはちとキツいがな。お次もタコとジャガイモで一品。




《タコと新じゃがの醤油マスタード炒め》

・茹でタコ:150g

・新じゃが:2個

・オリーブオイル:大さじ2

・醤油:大さじ1

・粒マスタード:大さじ1

・水:大さじ1

・鶏ガラスープ顆粒:小さじ1/2

・小ねぎ:2本



 元々は牛の小間切れ肉でやるレシピなんだが、今回は代わりにタコでアレンジ。タコは一口大に薄切りにしておく。

 新じゃがは皮に付いた泥を綺麗に洗い落として、皮付きのまま12等分にくし切りにして水に曝して灰汁抜き。その後でザルにあけ、水気をキッチンペーパー等で拭き取っておく。小ねぎは斜め切りにしておき、調味料を混ぜ合わせておく。

 フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、水気を取ったじゃがいもを揚げ焼きにする。全体に薄く焼き色が付いた所でじゃがいもを端に寄せ、薄切りにしておいたタコを加えて炒める。肉の場合ならば火が通るようにしっかりと炒めないといけないが、タコは既に茹でて火を通してあるのでサッと炒めればOKだ。

 タコも炒まったら合わせ調味料を加えて全体に絡めたら、器に盛って小ねぎを散らしたら完成だ。


「はいよ、お次は『タコと新じゃがの醤油マスタード炒め』だよ」

「ん、ピリッとしててご飯にも合いそう……」

 揚げ焼きにしてカリカリホクホクのじゃがいもに、周りが少しカリッとしつつもコリコリのタコ。焦がし醤油の香ばしさにマスタードの辛味がアクセントを加える。ビールなんか最高にマッチするだろうが、勿論飯にも最高だろう。




さてさて、タコに相性の良い野菜としてはにんにく、生姜等の薬味系の野菜とも相性がいい。薬味の味と香りがタコの味を更に引き立てるからだ。お次はそんなタコと薬味を使った、中華風の炒め物。

《タコとチンゲン菜のオイスターソース炒め》

・茹でタコ:300g

・チンゲン菜:200g

・オイスターソース:大さじ1

・にんにく:1片

・醤油:小さじ1

・胡椒:少々

・ごま油:大さじ1



 さぁ、作っていこう。チンゲン菜は茎の部分と葉の部分とに切り分けておき、にんにくは芽を取り除いてスライス。タコは一口大の大きさに削ぎ切りにしておく。

 フライパンにごま油を熱し、スライスしたにんにくを先に炒める。香りが立ってきたらチンゲン菜の茎の部分を加えて炒め、後から葉の部分を加える。こうしないと火の通りにムラが出来てしまうからな。

 チンゲン菜に火が通ったらタコを加えて炒める。タコにも油が回ったらオイスターソースと醤油を合わせて回しかけ、仕上げに胡椒を振れば完成だ。


「さぁ出来たぞ。『タコのオイスターソース炒め』だ。お好みでラー油をかけても美味いぞ」

「うん、さっきの炒め物よりもご飯が欲しくなる、かも……」

 さてと、炒め物はこんなモンで良いだろう。お次は煮物や煮込み……和食以外の味付けで、だな。





 さっきはタコと相性のいい野菜の話をしてたっけな。大根とか里芋、ジャガイモなんかの煮込むと美味い野菜も良いが、酸味の強いトマトもタコとの相性がいいんだ。あの酸味がタコの旨味を引き立ててくれるし、何より柔らかく煮上がるからな。てなワケでまずはタコのトマト煮を作ろうと思う。

《圧力鍋で!タコの柔らかトマト煮込み》

・茹でタコ:300g

・玉ねぎ:1個

・オリーブ:10~15粒

・アンチョビ(フィレ):3枚

・にんにく:2片

・オリーブオイル:大さじ1~

・ホールトマト缶:1缶

・白ワイン:大さじ3

・ローリエ:1枚

・塩、黒胡椒:適量


 さてと、作っていこう。タコは食べ応えを重視してぶつ切り。玉ねぎは粗くみじん切りにしておき、にんにくは包丁の腹を使って潰しておく。今回はシンプルな材料で作ってるが、他にもナスやセロリなんかを追加して作っても美味しくなるぞ。ホールトマト缶は煮込みの汁のメインになるため、少し細かく潰しておく。

 圧力鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて火にかけ、香りが立ってきたらアンチョビを入れて木べら等で潰す。玉ねぎを加えて炒め、全体が透き通ってきたらタコを加えてサッとかき混ぜ、白ワインを振ってアルコールを飛ばす。

 ホールトマト、オリーブ、ローリエを加えたら蓋をして、加圧。メーカーや圧力鍋によって圧力の強さは変わるから時間は明言出来んが、大体圧が掛かるまでは強火、掛かったら弱火にして5分位は煮詰めよう。

 水をかけたりして圧を抜かずに自然に放圧して蓋が開けられるようになったら、蓋を取って中火で軽く煮詰める。味を見て、塩、胡椒で味を整えたら完成だ。

「特製タコのトマト煮込み。そのまんまでも美味いが、パンに乗せたりパスタを絡めても美味いぜ?」

 まぁ、パスタのレシピは別に用意してはあるんだが……。

「い、頂きます……!」

 大きくカットされたタコの足に、フォークを刺す。特に抵抗もなくスルリと突き刺さり、柔らかく煮上がっている事を証明してくれる。一口頬張ればタコの旨味とトマトの酸味、玉ねぎの甘味が一緒にやって来る。そこににんにくのガツンとしたアクセントが加わり、もっと寄越せと胃袋を刺激してくる。あぁ、白ワイン飲みてぇ。

「と、とっても美味しいです……!」

「そうかそうか、そりゃあ良かった。じゃあお次はタコのキムチ煮を……」

 そんな会話を交わしていると、店のドアベルがカランカラン、と音を立てた。

「あら?山風じゃない。貴女も飲みに来てたの?」

「い、五十鈴さん……こんばんわ」

 まさかのブッキング。山風を必要以上に構ってくるという一人、五十鈴が客としてやって来た。

「マスター、今日のオススメは?」

「今日は……タコの活きのいいのが入ってな。今からちょうどそいつをキムチ煮込みにする所だったんだ」

「あら、いいじゃない♪じゃあそれと……マッコリを貰うわ」

「……あいよ」

 やれやれ、変な事にならなきゃいいが。 
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