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Three Roses

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第三十四話 三つの薔薇その一

                 第三十四話  三つの薔薇
 マリーはセーラ、そしてマリアにそれぞれに宛てた文を送った。すると程なくしてだ。
 返事が来てだ、マリーは微笑んで言った。
「両方共吉報でした」
「では、ですね」
「お二方共ですね」
 側近達もマリーの笑顔での言葉に明るい顔で応えた。
「こちらに来られる」
「そうして頂けるのですか」
「はい、そのうえで」
 そしてというのだ。
「三人で、です」
「マリー様も含めて」
「そのうえで」
「お姉様にです」
 マイラ、彼女にというのだ。
「お会いします」
「マイラ様ですが」
 宮中の典医がマリーに暗い顔で言ってきた。
「ご病状の進行がかなり速く」
「そうですか」
「ですから」
 苦い顔で言っていくのだった、マリーに。
「間に合えばいいですが」
「二人が来るまで」
「はい、そうした状況です」
「そうですか」
「お二方がここに来られるのは」
「一週間後とです」
「文には書かれていましたか」
 典医はマリーに確認を取った。
「そうなのですね」
「はい、二人の返事にそれぞれ書いていました」
「一週間後ですか」
「間に合うでしょうか」
「おそらく」
 典医は安心出来るがいささか不確かな返事で返した。
「そうかと」
「そうですか」
「はい、ですが」
「おそらくですね」
「確かなことは言えません」
 このこともだ、典医はマリーに述べた。
「残念ですが」
「そうですか」
「マイラ様は元々お身体が強い方ではありませんでした」
 だからだというのだ。
「このことがあり」
「それで、ですね」
「病への抵抗も弱く」
「病の進行がですか」
「お早い様なので」
「それで、ですね」
「はい、十日は大丈夫だと思いますが」
 だがそれでもというのだ。
「あくまで私共の見立てです」
「そうですか」
「若しかするとです」
「その一週間もですね」
「どうなるか」
 そうした状況だというのだ。
「わかりません」
「そうなのですね」
「はい」
「ではです」
 マリーは典医の言葉をここまで聞いてだ、そしてだった。
 一旦目を閉じてだ、深く考える顔になりそのうえで典医に言った。
「祈りましょう」
「神にですね」
「間に合うことを」
「お二方が」
「いえ、三人がです」
「マリー様も入れて」
「そうです、私達三人で合わなければ」
 そうしなければというのだ。
「ならないのですから」
「お三方で」
「私達はお姉様を避けていました」
 マリーは悔恨と共にこのことを話した。 
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