転生とらぶる
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ガンダムW
1606話
「あら、お帰り。随分と早かったのね」
ルクセンブルク基地に戻ってきた俺を迎えたのは、何故か部屋の中で寛いでいる凛の声だった。
そちらに視線を向けると、綾子の姿もある。
「一応、ここは俺の部屋なんだけどな」
「ええ、そうね。だからこうして私と綾子がいるんでしょ?」
そう告げる凛に、俺はこれ以上何を言っても無駄だと判断して小さく肩を竦める。
そんな俺の様子を見て、凛は悪戯っぽい視線を向けながら口を開く。
「で、どうだったの? バルジは手に入れる事が出来たの?」
「ああ。そっちは問題なく。寧ろ、その後で戻ってくる方が面倒だったな」
シャトルか何かの装甲板に隠れながらバルジのあった宙域を脱出したのだが、その脱出するのが非常に大変……いや、面倒だった。
移動する方法がスラスターとかそういうのがなかったという事もあり、それなりに長い時間が掛かってしまったのだ。
まぁ、バルジのあった場所から離れてしまえば、後はニーズヘッグを使って転移すればいいだけなので、そうなれば問題はない。
「ふーん。……こっちの方では、かなり騒ぎになっていたみたいよ?」
「だろうな」
バルジ砲によって連合軍の基地やコロニーを攻撃すると脅されていたのが、ふと気が付けば、そのバルジからOZの兵士が脱出してるのだから。
「で、結果としてどうなったんだ?」
「連合軍の方でバルジに打って出るつもりだったみたいだけど……それが行われるよりも前にバルジが消滅してしまったから、今は物凄い騒ぎになってるみたいね」
当然か。
この世界には転移技術の類は存在しない。
その手の技術があればバルジが消えた理由も想像出来るかもしれないが、今のW世界でそれを考えるのは……いや、想像するのすら無理だろう。
小説とかアニメとかそっち系が好きな奴なら、もしかして? と思うかもしれないが。
ともあれ、バルジが消えたというのは連合軍にとっては不気味ではあっても、決してマイナスという訳ではない。
OZの宇宙における最大の拠点が消滅し、更には現在はバルジのいた宙域にOZの兵士やMS、MDといったものが無数に浮かんでいるのだ。
寧ろ、これ幸いと鹵獲に動くだろう。
もっとも、MDによって連合軍が被害を受けるのは間違いないだろうが。
それでもビルゴではない以上、数の差で圧倒は出来る筈だ。
……もしかして、MDで連合軍が拠点としているコロニーを占拠されたりはしないよな?
「OZにとって被害が大きかったのは事実なんだし、多少は連合軍に頑張って貰わないとな」
決して連合軍にとっては不利益って訳じゃないのだから、それくらいは頑張って欲しいところだ。
「さて、じゃあ俺はそろそろアリバイ作りのために食堂に顔を出してくるけど……凛と綾子はどうする? 一緒に来るか?」
「そうね、このままアクセルの部屋にいても暇だし……」
そう言った瞬間、扉がノックされる音が聞こえてくる。
覚えのある気配に、特に怪しむ事もなく扉を開く。
すると、部屋の前にいたのは予想通りに五飛とデュオの2人だった。
五飛の表情は厳しく引き締まっており、デュオの方は普段の軽い雰囲気は微塵もない。
まぁ、コロニーから来た五飛とデュオだ。バルジによってコロニーが狙われているというのは……それもシャドウミラーも含めてだが、ガンダムのせいでコロニーが狙われているというのは、とてもではないが我慢出来ないだろう。
ましてや……いきなりそのバルジが消えたとなれば、宇宙で起きた出来事だけに不安に思うのは当然だった。
「アクセル、バルジの事を聞いたか!?」
「ああ。何でも消えたんだって?」
慌てるデュオを落ち着かせるように告げると、自分が動揺していたという事に気が付いたのだろう。小さく息を吐く。
そんなデュオの様子を見ていた五飛が、こちらはそれ程動揺していない様子で話し掛けてきた。
「バルジの件で何か情報はないか?」
「何かと言われてもな……」
少し前まで俺はバルジにいたし、バルジそのものは普通に空間倉庫の中に入っているのだが……まさかそれを言う訳にはいかないだろう。
「あまり重要そうな情報は入っていないな。そういう重要な情報なら、サリィに聞いた方がいいんじゃないか? 連合軍との間を取り持つ為にいるんだから、色々と情報を教えてくれると思うが」
「それが、サリィは色々と忙しいらしくてな。さっきまで一緒にいたんだけど」
デュオが溜息を吐きながら呟く。
なるほど。だから、こうして俺に会いに来るのが遅くなった訳だ。
まぁ、その話は理解出来ないでもない。
五飛達も、最初に情報を入手するのであれば、やっぱりサリィに話を聞きに行くのは当然だろう。
ましてや、少し前まではレディ・アンがこっちに向かってきていたのだ。
そう言えばルクセンブルク基地に向かっていたレディ・アンはどうなった?
こっちに向かっていたのは分かっているが、その途中でバルジが狂人のテロリストに占領されてガスを撒かれるといった風にされたんだ。
そのまま大人しくこの基地に向かってくるとは思えないんだが。
そもそもの話、レディ・アンがこっちに向かっていたのは、あくまでもバルジという抑止力があったからこそだ。
だからこそ、とてもではないがルクセンブルク基地を攻略出来るとは思えない数のMSでこっちに向かっていたのだ。
それがバルジがこんな事になってしまえば……うん、レディ・アンを捕らえるのに絶好の機会じゃないか?
トレーズ教の狂信者のレディ・アンだが、それでもトレーズの側近であり、OZの中では幹部と呼ぶのに相応しい人物ではある。
敵にいれば、今回のように半ば暴走する危険があるだけに、出来ればここで捕らえておければ後々連合軍有利になるんだが……
「五飛、デュオ。サリィはどうした?」
「あん? サリィならさっき司令室に向かうって言ってたぜ? まぁ、こんな事態なんだから、少しでも多くの情報が欲しいんだろうけど」
「そうか。なら、俺達は司令室に行く。お前達はどうする?」
「……ま、アクセルが行くんなら、俺も行くさ。多分、何か事情があるんだろうし」
デュオが頷き、隣の五飛もそれに頷く。
こうして、俺達は司令室へと向かう。
……影のゲートを使えないというのは、かなり面倒だと、しみじみ思ってしまう。
だがまぁ、影のゲートを使えないというのは、それが普通なんだから仕方がないか。
「アクセル代表!」
ルクセンブルク基地の司令室がある建物の前にいた軍人が、俺の姿を見て敬礼をしてくる。
シャドウミラーというのは、既に連合軍にとってただの傭兵団とは言えないだけの力を持つ。
それを象徴する出来事だろう。
「入らせて貰うぞ。今回の騒動の件で色々と情報を共有したい」
「は!」
そうして軍人が俺達をスルーして中に入れ、建物の中を進み、司令室の前にいた護衛の軍人も俺達を中へと入れる。
そうして中に入った司令室の中では……ある意味予想通りではあったが、かなり混乱して騒々しい事になっていた。
「ふざけるな! バルジのような宇宙要塞が消えただと!? そんな事が有り得るか! レーダーの故障ではないのか!?」
「違う、肉眼でもしっかりとバルジが消えているのは確認されている! それより、バルジから脱出してきたOZの兵士達はどうする!? 敵だが、今のこの状況で見捨てるような事をすれば、世論が色々とうるさいぞ」
「だが、あれだけの人数を一気に捕虜にした場合、それこそこちらの基地がOZによって占拠される危険がある!」
「いや、それ以前にそもそもあれだけの人数を捕虜にしておけるような余裕はないぞ!」
「なら、どうするってんだ! さっきも誰かが言ったけど、ここで見捨てるような真似をすれば世論がうるさい。それに、あそこにいる兵士をそのままOZに向かって引き渡すような事をすれば、それこそOZの戦力を補充するだけになるぞ!」
「それより、バルジだ! どんな理由でバルジが消えたのかを確認しなければ、それこそ下手をすればコロニーそのものが消えてしまう可能性も考えなければならないんだぞ!」
「くそっ! 情報が足りない! 取りあえず情報を得る為でいいから、何人かだけでもOZの兵士を捕らえて尋問しろ!」
「待って下さい! ここで強引な尋問をしては……」
「だが、バルジが消えた理由が判明しない以上、どうしようもないではないか! それこそブラックホールにでも呑み込まれたとでも言うつもりか!?」
うわぁ……うん、まさにうわぁ……としか言えないような混乱振りだ。
その気持ちは分かる。分かるんだが……それでも、出来ればもう少し冷静になって欲しいところだ。
少なくても、今回の件はバルジというOZの宇宙要塞が消えたのだから、連合軍にとっては決して悪い訳じゃない筈なんだが。
……いや、だからこそこの程度で済んでるのか?
五飛とデュオの2人も、混乱している司令室の様子に驚いたようだったが、すぐに五飛は鼻を鳴らし、デュオは苦笑を浮かべる。
まぁ、前代未聞の出来事なんだ。しかも紛れもなく天変地異級の。
その辺りを考えれば、こんなに騒がしくなっても仕方がない……という事にしておこう。
そんな風に自分の中で整理しながら、改めて司令室の中を見回す。
すると、オペレーターと何かを話している様子のサリィの姿を見つける。
他の軍人のように半狂乱になっていないのは、褒めるべきか。
五飛とデュオに視線で合図をし、そのままサリィのいる方へと向かって歩き出す。
普段であれば、誰かが近付いてきているのをサリィも見逃したりはしなかっただろう。
だが、今の司令室はそこら中で皆が混乱して騒ぎ、意見を言い合っている。
そんな状況である以上、近付いてくる俺達に気が付かなかったとしても仕方がない。
「サリィ」
「っ!? アクセル代表。……どうしたんですか? と、聞くまでもないですよね」
「ああ。バルジが消えたってのは聞いた。それでこんな風に混乱しているのも分かっている。そっちはそっちでいい。俺が何かを言うべき事じゃないしな」
「では、何故?」
首を傾げて尋ねてくるサリィに、小さく肩を竦めてから口を開く。
「バルジ云々の前に、それをこっちに通告してきたレディ・アンはどうなったかと思ってな。まだ近くにいるのなら、今のうちに捕らえてしまった方がいいだろ。あいつはOZの中でも幹部だし」
「ああ、なるほど。……ですが、残念ながらバルジが消滅したという情報を入手したのでしょうね。既に撤退しています」
「……ちっ、そうか。素早いな」
ああ、でもバルジがなくなる云々の以前に狂人がバルジの動力炉のコントロールルームを占拠して、更にガスを撒いたというのを知ってから撤退したのか?
まぁ、バルジと直接通信出来る立場にあったんだから、そうなるのも不思議じゃないか。
何だかんだと、色々鋭い女ではあるしな。
自分が捕まればトレーズに対する人質として有効に使われるというのを心配しているんだろう。
「バルジでコロニーを撃つと言う奴だ。出来ればそんな危険人物は、ここで捕らえておきたかったんだけどな」
「そうですね。それは私も否定しません。ですが……あの映像はしっかりと保存してあるので、使えると思いますよ?」
「なるほど」
バルジでコロニーを撃つと、そうレディ・アンが宣言している映像だ。
それをコロニーの方に流してやれば、宇宙でOZ側に味方をする者は少なくなるだろう。
連合軍がコロニーとの間に宥和政策を取るといっても、今までが今までだけにすぐには信用されない。
つまり、コロニーの面々は連合軍とOZのどちらを支持するのか、迷っている奴もいた筈だ。
そんな者達に恫喝の映像を見せればどうなるのか……それは考えるまでもない。
いや、それだけではなくOZ寄りだった者ですら考え直す可能性は高い。
そう考えれば、今回の件はレディ・アンの大チョンボだろう。
まぁ、どこぞの頭がお花畑のコロニーの指導者であれば、自己暗示か何かを使ったレディ・アンの色仕掛けにコロッと騙される可能性はなきにしもあらずってところだが。
「レディ・アンも、その辺は馬鹿じゃなかったか」
「はい。出来れば捕らえたかったというのは分かるんですけどね。今回の件を発端として、何か過激な事をしないとも限りませんし」
残念そうなサリィだったが、この辺りはレディ・アンの判断の早さが勝ったというところか。
「分かった。俺の用事はそれだけだ。バルジの件も聞きたかったんだが、今の様子を見る限りだと、何の情報もないみたいだしな」
「……アクセル代表。一応聞きますが、何か今回の件で思い当たる事はありませんか?」
これは疑っている? ……いや、違うな。何でもいいから手掛かりらしい手掛かりを探しているといったところか。
「いや、残念ながら何でこんな事になったのかは、俺にも分からないな」
そう告げ、五飛とデュオを引き連れ、司令室を出るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1309
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