STARDUST∮FLAMEHAZE
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#47
FAREWELL CAUSATIONⅦ~Brave Phoenix~
【1】
狂気の詩人が掻き鳴らす七重奏が如く、
装甲で覆われた獅子と甲冑を纏った天使の交戦は続いていた。
戦闘的優位は明らかに前者のモノであったが後者は新たに目醒めた能力、
その循環作用の総合により両者の力は拮抗していた。
初合の余りにも一方的な展開、その後の搦手一方の顛末を鑑みれば、
少女がかの “千変” に匹敵する獣と互角に渡り合えているのは
興味深い事象である。
事実先刻までの奇手の連続も結果的にソラトへ致命的なダメージは与えていない。
瀬戸際に於けるティリエルの援護を鑑みても、
あのまま彼を仕留める事が出来たかどうかは甚だ疑問の残る所。
追い詰めれば追い詰める程、手負いになればなるほど、
より強暴に牙を剥くのが獣の本質だからだ。
加えて真正面からの小細工なき激突こそ最もソラトが得意とする戦形、
至近距離の乱打戦に於いては、
力が技を、勢いがスピードを、本能が理性を圧倒的に上回る。
『――ッ!』
ソラトは歓喜に奮えていた、己が勢力を存分に揮っても砕ける事のない存在を。
事実これまで真の姿を現した相手は、
それが一番の強者であっても数分持たずに原型のない残骸と化した。
相手が弱過ぎれば全力揮う事叶わず、
策を用いらば総力剥き出す事能わず、
つまりソラトは今まで本気で “戦えた” コトがなかった。
闘争本能は種族を問わず生物の中で最も強いもの、
“愛染自” の真名の許、その手段が有りながらブツける相手がいない、
これを皮肉と言わず何と云おう?
ソラトの存在はシャナの裡なる真力を引き出した、
だがソレは馘する軛 ではなく彼が最も望んだモノだったのだ。
『LUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――――――
――――――――――――――ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!』
鋼の鬣が嘶 き全身から咆哮を発するような構えで
繰り出された不可視の全拡吼斬波、
“B ・ S ・ B”
前方以外の射程にも放つのは回避と伏兵への本能 (備え) である、
前方、以前のシャナなら木偶のように喰らっていた所だろう、
だが今は!
ギィィィイイッッッッ!!!!
既に周囲へと振り撒いていた火の粉、先刻までの余塵も相まって
その僅かな変化から斬吼の軌道を算出、
ソラトの予備動作がやや大きいのは織り込み済み、
一度身を以て喰らっているため業の属性や強度は充分に明察出来ている。
通常の状態では直撃を避けるのが精々、しかし “真・灼眼” の在る今なら
防ぐ事は疎か “弾き返す” コトが出来るッ!
『銀 の 戦 車』 も蒼白となる剣技の冴え。
『GALUッ!』
意に反して主に牙を向いた無刃の群れを、
ソラトは感覚だけで正面跳び、躯を水平に伏せ飛び掛かるような体勢で避けた。
何と足場にしたのは弾き返された斬吼の第一刃である。
元より本気でないからこそ生まれる焦りや傲り、
今や全感覚が研ぎ澄まされ餓えに飢えているソラトに微塵の隙もない、
仮にあっても本能が勝手に反応する。
“真・灼眼” を備えたシャナは、一合で明確にその事実を認識した。
未曾有の潜在双號力を覚醒させたとはいえ油断はならない、
生身の力だけなら 『DIO』 にも匹敵する脅威を少女に感じさせた。
(出し惜しみは無し、よね? 承太郎ッ!)
何故か脳裏に浮かんだ、平穏の時。
ソレが何よりも掛け替えの無いものだと、
今の少女は何の隔意もなく受け止められた。
そして超絶技は、発動する。
刀身を迸った紅蓮の炎、それが一瞬で集束し灼紅のキラメキを宿す閃熱の劫刃と化す。
斬りつけた箇所を熔断するのみならず、再生機構も蒸発させ死に至らしめる
“贄殿遮那・煉獄ノ太刀”
本来ならそれだけで戦況の優位を決定づける絶刀、
しかし今の彼女に執ってコレは露払い。
双じて! 鳳煌の鎧翼が輝度を増しその姿を瞬失、
初動を置き去りにする速度と精密性で目まぐるしく周囲を旋回し
ソラトを幻惑の世界に引き擦り込む。
動きには緩急を、軌道には硬軟を、
相反する要素を同時に取り込み本能を攪乱、理性は攪拌、
手にした劫刃の閃熱に空間が歪み背の鎧翼が揺るがしその効果を倍増させる。
アノ “狩人” フリアグネが手も足も出せず地に屈し、
最愛の者の生命を以てしか止められなかった超絶技、
ソレに手にした閃熱を上乗せした双號技。
幻朧絶境。獄彩の覇蝕。
【贄殿遮那・煉 獄 魔 幻 鏡 ノ 太 刀】
遣い手-空条 シャナ
発動条件-真・灼眼+紅蓮の鎧翼
破壊力-AAA+ スピード-AAA+ 射程距離-最大半径150メートル
持続力-C 精密動作性-B 成長性-D
『GUGALUOッッ!? GALUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
AAAAA―――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!』
活性したソラトの感覚は、皮肉にも最悪の効果を彼に齎した。
超スピード下に於ける緩急目まぐるしい変遷により
視力の動体錯覚現象を引き起こし、
対象を分身以上増殖したかのように魅せる煉獄ノ魔幻鏡。
魔術師の業そのものとも云える夢幻の環牢は
嘆きの門が如き躰の列なりと化し、
ソラトの視覚は疎か五感全体に絡みつく。
実力の無い者ならただミエナイだけであろう、
だがソラトの場合 “視えてしまっている” からタチが悪い。
幻覚は 「現覚」 となり、存在しない鏡の中に呑み込まれたが如く、
己の全視界に総数数百人の少女が同時に飛び交っているように映った。
正に煉獄ノ魔幻鏡、囚われし者に脱出の術は無い。
『LUOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHH
HHHHH――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!』
けたたましい叫声と共に“B ・ S ・ B” の構えを執るソラト。
『魔幻鏡ノ太刀』 は対単多数、隠数までも殲滅する複合能力であるが
その 「枝」 の多さ故に弱点も存在する。
相手を幻惑するために常に超高速で動き回っていなければならず
業を解除しない限り防御も回避もまた出来ない。
しかも攻撃に異常特化した能力で在るが故に、
そのスピードに精密動作性がついてこれないのだ。
つまり攻撃を繰り出しているシャナ自身も
何処を斬っているのか正確には解らず、
(幻惑状態にあるとはいえ)相手の動向も把握出来ない。
だから単純な打撃ならまだしも、広範囲に及ぶ
炸裂系や爆破系の能力には著しく弱さを露呈する。
さながら玉砕すると解っていながら鋼鉄の壁に突っ込んでいくようなもの、
そのリスクを覚悟するがの超絶技。
現に敗北必至だったフリアグネの時も、
その従者マリアンヌの自己犠牲により敗れ去っている。
状況的に有り得ないが、アノ時フリアグネの感情の流れが逆だったなら、
間違いなく首を刎ね飛ばされていたのは彼女の方だ。
一の爆撃が数倍、数十倍にも膨れ上がる、
能力の 『相性』 とはいえ
コレは地上最強、風の闘神にすら起こり得たコト。
そして事態は更に最悪の一途を辿る。
『LUUUUUUUGUAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHH
――――――――――――――――――――ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!』
何とソラトは不可視の吼斬波を射出しない、
逆に溜め込んだ存在力を裡に開放、全身の猛気を漲らせた。
ソコから刳り出されるは、スタープラチナをも凌ぐと錯覚させる
凄爪の全方位多重乱撃。
『魎 血 鏖』
“B ・ S ・ B” でも充分な戦果は発揮し得た筈、
だが獅子の本能はそのような賢しい小細工を一蹴した。
相手が領域全域を飛び廻るなら
そこに罠を仕掛けておけば何れは掛かる、
だがそのように姑息で凡庸な “手” など
脆弱で矮小な塵芥が勝手にしたり顔でヤっていればイイ。
己は獅子の王、我惑わさんと綴れ立つ魔鏡の群れなど、
一枚残らず砕き尽くす!
グオォッッッッ!!!!
爆炎。
「弱点」 を熟知していたのはシャナも同じだった。
通常の魔幻鏡では当然カウンター攻撃に対し
致命的なダメージを被っていただろう。
故に絶技のパワーバランスをコントロールし
攻守3:7に振り分ける、等と凡手は打たない、
逆に反撃の覚悟すらも捨て去りより攻撃のみに力を凝集した。
技の生む摩擦熱、鎧の放つ赤熟熱、刀に宿る煉獄熱、
属性の違う三種の熱源を結合させ
ソレを全身から迸る闘気と剣気によって更に上昇させる。
結果としてカウンターで来る攻撃、
小規模の爆発程度なら身に纏った爆炎が消し飛ばす。
ただ二つの技を重ねるだけが “魔術師” の特性ではない、
異なる二つを組み合わせる事でより強大な威力を生み出すコトが
紅の魔術師足る所以なのだ。
その両名が己が真力を賭して真っ向から激突する瞬間、
戦闘者でなくとも血の滾る光景。
だが、明確なる熾烈はソコに存在しなかった。
音も無い、鬩ぎも無い、拮抗も、膠着も、斬擊と爪擊の相克すらない――
ただ、それこそ合わせ鏡のように互いの一撃がピタリと符合し
ソレが無尽に連なっているだけ、さながら平行世界の出来事が如く、
細かい部分は違っても至る結果は皆同じ。
やがて絶対真空、無から生ずる超エネルギーのように、
スベテの因果は基本世界へと集束される。
グワアアァァァッッッッ!!!!
高層ビルが内部の鉄筋ごと砂塵の如く弾けた、
大気は唸り空は揺らぎ、罅割れた大地は竜が這い擦り出したかのように引き裂かれた。
途轍もない、本当にトテツモナイ超パワー同士のブツかり合い、
余波ですらのこの災禍、爆心の中核にいた両者は砕けた空間の狭間から、
一瞬よりも遥かに短い随に異世界の己を垣間視た。
無限の神の法則、目の前の敵に専心し、尚且つ極僅かでもパワーがブレたなら、
間違いなく次元の歪みに引っ張り込まれ、或いは別世界の存在が引き擦り込まれ、
両者共に 『完全に』 如何なる次元からも消滅していただろう。
人の創れかし 『神』 に一切の慈悲はない、
ただ、淀み無い力や精神はその消去の法則から除外される。
スベテは世界の在るがまま、正義だろうが悪だろうが、
宇宙が歪まなければただ其処に在り続ける。
「ふ、ぅぅぅぅぅ……」
『GA、Luuu……』
畏るべき相克、流星と雷獣の例を出す迄もなく、
何れどころか互いが消滅していてもおかしくない
双號と狂渾のブツかり合いは何と奇蹟的に双方無傷という
信じられない結末を迎えた。
特筆すべきはシャナの真力も然りながらソラトの 『底力』
野生の獣宛らに追い詰められれば追い詰められるほど力を増す。
『GAAAAALUAAAAAAAAAAA――――――――
――ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!』
張り詰めた鋼鬣を尖らせて獅子が咆哮した、
対してシャナも剣越しに焔儀の構えを執る、
無論明白に撃ち出しても当たる筈がない、
本人でも不確定な意識の動きの中、
ギリギリまで焔儀か絶技かはたまたその両方か、
直感をも超えた精神の尖鋭が齎されるまで研ぎ澄ます心境。
能力の多寡で言えば既に全容が割れているソラトよりも
未曾有の潜在性を持つシャナの方が有利と想えるかも知れない、
だが波紋戦やスタンドバトルではその優位性こそが枷となり
精神の甘さや緩みを生み出す。
長所と短所は表裏一体、ソレを明確に認識し実践できなければ
高み の戦いでは勝利出来ない。
何の脈絡もなく大技を乱発し、周囲を爆発させれば
勝てるのなら誰も苦労などしない。
故に出した結論は転進、勇気と蛮勇は違う、
このまま真正面からブツかり合っていればいずれは決着がつくのだろう。
だが先刻のソラトの恐るべき底力、
ソレとまともにヤり合って鎧が無傷等とは到底想えない。
周囲に 『正 義』 の霧が漂っている以上
殲滅戦ではなく一合で決着がつく局地戦に切り替えるべき、
水の中に誘い込むとは言わないが遮蔽物の多い市街地戦なら、
獣を狩るには打って付けの場所だろう。
鉄塊の軋りというより鋼線の旋律を想わせる音を奏でて、紅蓮の鳳翼が空を流れた。
微塵の躊躇もない、潔さすら感じさせる撤退に獅子の王は猛りのみで追い縋る。
スピードの差は歴然、シャナの鳳翼も空前の機動力を有するが
ソラトの装甲は殺戮に特化しているため瞬間的な相対差は
近距離パワー型と密着型ほども違う。
ズームアップ所かコマ落としで迫る大地との接触を待たずに
ソラトの凄爪が薙ぎ落ろされた。
逃げる鳥を仕留めるのなら羽を捥いでやるのが一番てっとり早い、
そのまま剥き出しになった背の傷に齧りつき肺腑を貪ってやる。
獣が内臓から喰うのは、本来完全に絶命させるため。
だがシャナもそのコトは織り込み済み、スピードでは劣っても
“真・灼眼” で加速された演算能力は遥かに勝る、
故にソラトが凄爪を繰り出すより僅かに速くその身を翻していた、
転換による速度差がほぼ無いため空間に火の粉舞う残像が映った。
(GUッ!?)
反応したソラトの本能もまた驚嘆に値、
逃げると見せ掛けて反撃に転じる、
そんなハッタリのみで膠着状態を作り出すような
愚策に嵌るほど獅子の王は甘くない。
だが攻撃してくる 「部分」 が違った、
斬撃、炎撃を生み出す手ではない、相手の虚を突く脚でもない、
退避に用いている翼、しかも直接打撃ではなく 『羽根吹雪』 だ。
『GULUAAAAAAAAAAAッッッッ!!!!』
着弾の刹那突進を止め、カウンター効果を封 殺し
ダメージを最小限に抑えたのは流石と云った処だろう。
ハイクラスの攻防では一発の直撃が致命打になっても不思議はない、
だがソコまで計算して撃った少女の妙手と決断こそ真に称賛されるもの。
『蓮華・凛駆』 先刻彼らを翻弄した廻転飛剣陣は明確な形容を伴って具現化され、
少女の鳳翼一枚一枚を構成するモノと成っていた。
直前の超激突、その際にシャナの機動力を生み出していたのは背の鎧翼、
そして転進に於ける疾さ、存在を誇示する威容、以上を踏まえて
ソレが「隠し武器」である事を類推するのは難しい、
ソラトだからこそ直撃を免れたとも言えなくない。
何れにせよ反転反撃による逆噴射、
コレによりその場に縫い止められるソラトより
シャナとの射程距離は大きく開く。
空間を弦に旋律を奏でる鎧翼が地面スレスレで滑るように弧を描いた。
さぁ、ここからが局地戦、単純なパワーの差は余り関係なく
遠隔操作のスタンドバトルに同じく
相手の裏をかき思考で上回った者が勝利する。
大きく蛇行した軌道にみせかけ中途で躰を屈曲させ
少女は離れた承太郎のいるビルの近くに位置を取った。
困惑しているのか検策しているのか不明だがティリエルの姿は近くに無い、
だが発見されれば今の承太郎なら殺傷能力の無い彼女にも容易く屠れる。
それは無論ティリエルにとっても同じ事、
だから自分に近づいて来ないのだろうが
(本来は彼女から仕留めるのが定法で今の状況は
ソラトが壁になっているからに他ならない)
捨て鉢になって霧の能力を解除する事が、無いとは言い切れない。
「……」
無明の双眸で彼のいる場所に視線を走らせる己を少女は懸命に諌めた。
何がキッカケでバレるか解らないし己の意志で離脱させたのだから
一切の感傷は抱かず責務に殉ずるべき。
大切だから哀切に浸りたいというのはただの自己満足、
本当に大切なら、護りたいなら、凌辱の絶望の中泥水で口を漱ぎ、
絶対に勝てない者へも立ち向かい地に這わせる程の覚悟が必要。
愛のままにわがままに、己が恋情だけに酔ってはいけない。
大切だから片腕を失った、それでも大切だから帰ってきてくれた、
何も言わなかったけれど、その覚悟と行動でアイツはソレを証明してくれた。
だから私も証明する、この戦い、絶対に勝つ!
ヴァギャアアアッッッッ!!!!
愛する二人を割かつ空裂の眼驚が如く、少女の鎧、右肩甲が砕かれた。
白い素肌が露わになり、衝撃と破片で傷ついた肩から血が叨る。
意識は燃え盛る熱に合わせ研ぎ澄まし、
逆に存在の気配は真眼と鳳鎧とは裏腹に消し去った筈。
にも関わらず不意を撃たれたのは自分の方だ、
一体何の能力か、結果が出るまで予感すらしなかった。
いつの間にかソラトが忍び寄り死角からの(背は壁につけている)
一撃を喰らわせその影も捉えられないまま姿を眩ませた?
絶対に在り得ない。
砂漠の真ン中で灼熱を見落とさないのと同じく
奴が近くに来れば絶対にその存在を感じた筈、
近接の肉弾戦なら敵うものはいないかもしれないがそれ故に、
秘密裏に事を進める隠密行動は苦手な筈だ。
(ヤツは何処に!?)
剥き出しになった肩を手甲で押えながら少女は路地の陰から視線を這わす。
鎧の防御力の御蔭で肩の肉を抉られる事は無く、
甲冑全体が相互を補う形容で構成されているため
一部が砕けたからといって即『正 義』に支配されるわけではない。
だが相手の能力も解らずにこんな不意打ちを喰らいつづければあっというまに丸裸、
先刻以上の絶望が大挙して押し寄せる。
(!?)
果たして、目的の強者はあっさりと見つかった。
自分に幻撃を喰らった場所から殆ど変らず、
逆に宙に両腕を組んだまま街下を見下ろし
隠そうともしない獅子の猛気を全身から放っている。
だがあの場所からではビルや木々が死角になって
こっちの位置は視認出来ない筈、
野生の勘と言っても一発で必中させるには範囲が広過ぎる。
今現在自分が動いているのか潜んでいるのかも解らない筈だ。
(……それに解らない事がもう一つ、位置が特定出来たなら
どうして “奴自身が” 此処に向かってこないの?
今までなら間違いなく自制心のない莫迦な餓鬼みたいに飛び掛かってきた筈。
警戒してるの? それとも奴自身には位置が解ってないの?
でもそれならどうして?)
考えれば考えるほど思考のロジックが知恵の輪のように絡まりジレンマを引き起こす。
ティリエルが傍にいないかと考えたが流石にリスクが大き過ぎる方法を
アノ女が執る筈もない、ならばどうしてと歯噛みする矢先に躰が動いた。
ヴァガンッッ!! グャギンッッ!!
反射的に構えた騎士盾、そして法衣状の腰甲側面端が砕けた、
例によって正体は解らない、だがなんとか辛うじて直撃だけは免れた。
発見のリスクを負うが少女は場所を移動しない代わりに
気配を消したまま躰から立ち上る火の粉を通常よりやや広く撒いて留めた。
能力が解らなくてもその火の粉が揺らいだ瞬間が攻撃の来る時、
通常の状態ではその微細な変化を読み取るのが精々で
探査材料とするには茲許 な過ぎるが
無明の双眸を宿す今の超絶的反射神経なら何とか対応できる。
だがあくまでなんとか、辛うじてダメージを防いだだけで
鎧が砕ける事に変わりはない。
(今のは完全に視えなかった、防げたのは殆ど僥倖、でも待って、
視えない? みえない? ミエナイッ!)
払った代償への対価は相応に、 “視えない” という事実が
今の少女の直感を強撃した、そして導き出される結論、
解決策は彼女の能力により「加速」される。
未曽有の覚醒能力 “真・灼眼”
コレまで戦果も凄まじいモノだったが如何せん、
その「持続力」が短過ぎた。
故に幾ら凄まじい威力を敲き出そうともその潜在力を
十全に引き出せたとは到底言い難い。
少女の精神状態もあるだろうが、四度目の覚醒にてようやく
この能力は彼女に “なじみ” つつ在った。
ただパワーがUPするだけなら実戦向けとは言えない
(逆に利用されたら終わりだから)
あらゆる状況に対応出来る汎用性こそがこの能力の核心。
ソラトに見抜かれないよう少女はカフェの裏口から店内に滑り込み、
サインボードやオーニングで上空からでは中が見えない事も織り込んで
静止した人達に囲まれたフロアの中間から外を見る、ただ、みる。
研ぎ澄まされ更に深度を増した無明の双眸で。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
別段変化のない、本来起こりようが無い街並みの光景、
だが少女の瞳に映った景色は通常とはまるで別モノだった。
今の少女には “ミエナイモノ” が視えた、人が想いを感じ取るように、
通常では捉えられないモノを明確に認識した。
(視える……!)
驚愕は置き去りに、少女の脳裏は映したものをそのまま精密に解析、
推測に入った。
今の少女、練成しつつ在る “真・灼眼” の前には、
例え不可視であろうと “存在しているなら”
何人たりとも逃れるコトは出来ない。
「凄く良く、視得る……ッ!』
研ぎ澄まされた視覚野は、物体が有る事によって生ずる気流の変化、
動く事によって生ずる微小な痕跡、
何より存在する事によって発生する「温度」
ソレを一切見落とさず看破し得る。
当然ソレだけでは結果のみの後述なので実戦には使えない、
だがここで “真・灼眼” のもう一つの特性、
超速の演算能力を組み合わせるコトにより、
その僅かな 「差異」 は明確な形容を持って脳裏に再構成されるのだ。
電流の流れる雷速で行われるが故に実質的な時間差はゼロ、
物を見る、即ち光の反射はその存在の 『真の姿』 を映しているとは限らない。
眼球本来の能力、それをも無視して存在の本質を顕わにするのが
“真・灼眼”の能力。
ソレの前では漆黒の闇の中でも暗視スコープやサーモグラフィーを通して
視ているのと同じ、否、それ以上の精 度を発揮する。
万世不滅、北斗七星が下に安置された、聖なる遺骸の一部が如く。
故に!
少女が振り向くと同時既に斬刀は空を裂いていた。
鋼鉄を両断する感覚と共に重い音だけが床に落ちる。
能力は機能を失えば当然無効化、消え去る寸前に全容は明らかになる。
『Gu……Ga……Gu……Gi……』
小型のソラト、正確には宝具の一部が微かに蠢き消えていった。
群体型スタンド能力、全体が本体のその構成に酷似しているが
スタンドではないためパワーは十分、距離が離れても威力が落ちない、
宝具の特性を保持しているためその姿は視えない。
何より厄介なのが、
ザクッ! ザク――ッ!
得体の知れないまま、逼迫する脅威、
ズゥワアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!!
窓の外に、目測で300体以上居るコト。
コレがソラトの本能、シャナを追い詰めるためではなく、
既に少女は囲まれてしまってる、
決して逃げられないように、完全にハメられてしまっている!
『……』
ザワめく獅子の鬣、それを構成する刃の一本一本が次々に剥離し、
本体を離れた刃はすぐさまに彼の「分身」へと変貌を遂げる
(無論剥がれた分は後に再生される)
シャナの業を参考に、というより「格」の違いを
見せつけるためと云った方が良いだろう。
同じような能力でも、威力、重圧、持続性共に比較にならない。
王は潜む者を自ら索敵したりなどしない、
下僕が引きずり出した所をただ悠然と処するのみ。
似たような能力を有する存在同志の「引力」か、
精神的に成長していたのはシャナのみではない。
ソラトもまた持て余すほどの潜在力を機能的に奮えるようになっていた。
王の名を冠する者は数多いるが(通常の徒より数が多いのはどうだろう?)
何れも奇策を用いる輩が多い中でソラトは一切姦計を遣わない。
正統的、王道的に自らの力のみで敵を駆逐する。
余程力の差があるのでもない限り、 “数” の差はそのまま勝敗に直結する。
相手に抗するのが精一杯の状態で微力でも障害が加わればソレは致命的な損失となる。
ましてやソラト相手に1対300、戦いの趨勢を問う事自体莫迦げている。
『殲 血 跋』
戦う前から勝敗は決まっている、
あの数では、どこに潜んでもすぐバレる。
チェスや将棋で云う処の 『詰み』
甲冑を纏おうと策を巡らそうと関係のない処刑法。
(なんてコト……なんて戦形を、咄嗟に繰り出すの……!
このままココに居るとヤバイ、外に出るのはもっとヤバイ……!
一体や二体なら兎も角、あんな数! とても全部は斃し切れないッ!)
“真・灼眼” が目醒めてはいるがこれまでの戦闘、
この能力は「単体」にしか向いていなかった、
故に多数相手ではその威力を使い切れない(というよりヤったコトがない)
対複数用の焔儀もあるが、小型とはいえソラトの分身なので
燐子のように容易く屠れる筈もない。
第一姿を現した所でその300が一気に向かってくる事、
ソラトが最後まで待ってくれる保証など何処にもない。
戦形の組み合わせは無限大、そのスベテを読み切り同時に対処するなど
“真・灼眼” でも不可能だ(脳裏で解析出来ても躰がついてこれまい)
「なら――ッ!」
ガラス張りのウインドウを突き破って外に出る、
暴力的な破壊音、静寂を引き裂く存在を嗅覚だけでも
探知できる者達が見逃す筈はない。
紅蓮の鳳翼を煌めかせ、キリキリッと鋼鉄の羽音を靡かせながら
少女は旋回しつつ天空に立った。
背の鳳翼が意志を持ったように大きく展開する。
眼下からはソコに殺到する獣の群れ、
さながら血泥の地獄に天から垂らされた光の糸に群がる亡者の如く、
だが主力の大部分が強襲する光景の中、路上に佇み様子を覗う者、
第二波に備え布陣を組む者、不測の事態に備えソラトの壁になる者と
勢力はその数だけ分散する。
“数は力” エリザベスのように究極レベルの能力でも持っていない限り、
原初から続くこの単純な法則を覆すのは至難の累乗。
だがそんなコトは既に解りきっている、ヤる前から出来もしない、
言い訳ばかり考えて何もしないというのは一番楽な方法、
そして一番卑怯な方法。
現実は自分の都合通りに動いてはくれない、
準備が出来るまで待ってなどはくれない、
「ちょっと」や「じっくり」や「できるだけ」と言って
問題を先延ばしにするヤツは、一生先延ばしにする。
大事なものを傷つけて、そのコトに無自覚なまま。
アイツを視てみろ、何も言わなくたって気持ちは伝わる、
言い訳なんかする前に行動で示す、
頼みもしないのに、腕一本だって投げ捨ててくれる。
「――ッ!」
切迫した抜き差しならない状況だというのに、
無明の双眸にすら雫が滲んだ、甘美な奮えに胸が締め付けられた。
幾千の愛の言葉よりずっと強い、幾万の優しさなんかよりずっと深い。
でもそれに甘えられない、感謝されたくてやったわけじゃない、
今は嬉しい、よりもアイツの気持ちを裏切らない。
心を陶酔させる甘やかな想いとは裏腹の熱く強い感情が湧き起ってくる。
『共に在る者』 として、生きる者として。
(アイツにだけは負けられないのよ――ッ!)
この時、少女の能力が練度は、今までで最高レベルの数値を叩き出した。
著しく昂ぶった感情、それを完全に制禦出来る精神が在れば
人間の集中力は神が如き領域へと達する。
背の鎧翼が増殖し扇状に披いた、
その一羽一羽が例外なく煌めきに包まれ
明王の如き威光を宿す。
だが刮目するべきはその翼ではなく双眸、
視る範囲には限界が有りその精度が幾ら高くとも
映らないものは察知出来ない、だがそれも通常の思考形態ならばの話。
モノが存在する以上、如何なるモノでもその 「痕跡」 は残る、
それが幾ら微細なもので在ったとしても、
スベテは変化し続け時が流れる限り
同一のまま留まるモノは何一つとして存在し得ない。
ソレがこの宇宙、万物に於ける唯一の真理、
『無常』
スベテは常に動いている、停止した物体の周囲でも
極小の粒子は常に流動し続けている。
今の少女の “真・灼眼” 極限まで煉られたその洞察力は
万物の 『無常』 すらも正確に捉え、
その演算能力で幻像化、そこに因果と可能性を組み込めば
視界に入らない者の位置も後の行動も、
さながら「過去」を追想するがように視えている。
ソレを最大限に活かす為の戦陣、紅蓮の凰翼、全種一斉射撃。
【蓮華・真灼迦楼陀ノ焉】
遣い手-空条 シャナ
破壊力-AAA+ スピード-AAA+ 射程距離-最大半径-500メートル
持続力-D 精密動作性-S 成長性-C
「命中れえええええええええええええええええええええええ
ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――――――――――――ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!」
人智を超越したナニカと交感したように、
一瞬を遥かに凝縮した時の狭間で少女の深奥を閃きが劈いた。
同時に、吹き飛ばされた時空が加速するかの如く背の鎧翼が一斉烽火、
渦紋を描きそれぞれの標的へ爆裂機動、空間を穿つ勢いで駆逐の狂想を奏でる。
総数300を超える獅子の精鋭は成す術もなく臥籠に囚われた、
凄まじい廻転速度で突っ込んでくる鳳翼の翅焔が外殻諸共存在を穿った。
『自動追跡』等という次元ではない、
自動追跡ならば相手の速度が上回ったり
複雑な回避を執られた場合に追尾し切れない。
熱源探知せよレーザー操作にせよ全て
“後追い” の対処、動体相手に完全ではない。
何より小型とはいえソラトの分身、並のフレイムヘイズや徒なら
正体を知る間もなく喉元喰い破られるほどの戦闘力。
現に凄まじいまでのスピードと廻転圧力だったが分身はそれぞれに対応した、
ある者は被弾覚悟で特攻しある者は四肢を丸めての防御態勢に移行、
それを壁として反撃の機を覗った者もいる。
遮蔽物を利用しての回避、或いは戦略的逃走、
無論ソラトの護衛に身を挺した者もいる。
しかし鳳翼の翅焔が狙撃したのは “敵そのもの” ではない、
彼らが、 『動いた後の軌道地点』
云わば 『未来への軌跡』 を撃ちぬいたのだ。
ヴァグッッッッッッッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
アアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ―――――――――――
―――――――――――ッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!
その状景を如何に譬えるべきか。
天から降り注ぐ光の雨? 用済みの失敗作に御遣いが放った断罪の矢?
何れにせよ似て非なるモノと云わざるを得まい、
標的以外一切の破壊がない、路面にも壁面にも一発として
着弾、掠りすらしないのだから。
全 方 位攻撃。
アノ “蹂躙の爪牙” の超爆焔儀ですらも
ソラトの軍勢を全滅させるコトは敵わなかっただろう、
威力は上回るとしても精密性がソレに追いつかないからだ。
極大の光線、都市全土を呑み尽くす衛 星 兵 器でもない限り
“一瞬で” ソラトの戦陣を焼き尽くすのは不可能だ。
そう、スベテは一瞬の交錯だった。
主力のソラトが斃せない限り、
“一発で全滅させなければ”
確実にシャナの方が殺られていたのだ。
『LUUUUUUUUUUUUUUUUUUGUAAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAA―――――――――――――――――――
――ッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!』
次々と、己が何故殺られるのかも解らず屠られていく
下僕の亡骸を踏み越えながら、
獅子の王は天に佇むシャナへと強襲した。
無論放った鳳翼はソラトにも向かったが下僕は屠れても王は屠れない。
何より壁となった者達が残骸と化しめられても尚動き、
ソラトの分まで粉微塵と成っても受け切ったのだ。
獣にも情愛は在る、ソレは言葉を介さぬ分人間より純粋と云えるかもしれない、
故にソラトの本能は殲滅を認識するより速く動いていた。
幾ら能力で甦るからといって己が下僕、
その関係は術というよりスタンドに近いのかもしれない、
故にその犠牲を汲み取るのも無為に終わらせないのもその「本体」のみ。
夥しい忠身の骸を掻き分け王は進撃する、
己が威力を虚仮にしてくれた甲冑の天使が喉笛を喰い千切るために。
当初の目論見とは大分ズレたがそれでも隙は出来た、
撃ってしまった鎧翼が元に戻るには時間が掛かる、
アノ業は連発出来ない、ましてや能力が削がれている今の状況で
万全の自分と至近距離で討ち合おうなどと愚の骨頂。
羽を捥がれた鷹が獅子に勝てるか? 問う事すら莫迦げている。
「――ッ!」
言葉にならない感覚のみのソラトの本能を、
“真・灼眼” を保持したシャナも同時に感得していた、
そしてソレは “業を発動させるより前に”
既に予見し時間を消し飛ばしたがの如く
現在在るモノとして過去に潜在させている。
能力とはいえ今のシャナの洞察は承太郎を上回る、
或いはアノ男にすら匹敵するかもしれない。
故に――!
『輪 流 式ッッ!!』
危局に於ける至適の戦形を構築し終えていた。
フレイムヘイズや紅世の徒であっても、
存在力の多寡とは別に生まれ持っていなければ
修得出来ない至極の能力。
其の者の力量次第で、焔儀レベルに関係なく
輪 のように術を繋げて発動できる天賦の才。
先刻の翅焔と同時進行し、少女は己の裡に第二の矢を行使していた。
下僕を全て屠ってもソラトが無傷なら
その間隙を突かれるのは莫迦でも解り、
そして解っていても喰らってしまうもの。
故に先刻の業は露払い、文字通り己が全身全霊を賭けるこの焔儀こそが本命。
鎧は守りの為に在らず、強者に立ち向かって討ち斃す為にこそ存在する。
グァギャンッッッッ!!!!
少女の躰を覆っていた紅蓮の甲冑が
意志を持ったように各部バラバラになって外れた。
フレイムヘイズ・装 甲 紅 煉 煌 殻 抜 鎧。
ソラトの動きに対抗するため重荷を取り去ったとか
死中に活を見出す等という甘い考えではない、
その外れた各装具は煌めきながら前方へと疾駆し集結する。
兜が焼嘴に、胸甲が炎軀に、手甲が焔爪に、腰甲が焦尾に、背甲が灼翼に、
込められた存在力に応じて欠損部が自己修復しソレが形容造る存在そのままに
火の中から甦る。
【鳳・鎧・真・象ッッッッッッ!!!!!!】
そう、これが、コレこそがフレイムヘイズの甲冑その真ノ姿!
甲冑の形態はその者を庇護する為に特化した姿、
だが本来はスタンドのように傍に立ち、
共に戦う事こそが能力の本質なのだ。
少女が自らの法儀でスタンドを生み出そうとしていた事と
この本質は無関係ではあるまい、
或いはソレを 『核』 として発現した能力なのかもしれない。
何れにせよコレはソラトの本能でも察知できない、
船が二隻あるように “敵は最初から二体”
眼に見える形でそこにいた、“気づけなかった”
鳳翼煉翔。万象ノ必滅ガ第弐迅。
【鳳 神 覇 導 烈 吼 破ッッッッッッッ!!!!!!!】
行使者名-空条 シャナ
破壊力-AAA++ スピード-AAA++ 射程距離-最大5000メートル
持続力-S 精密動作性-C 成長性-B
終焉は、始源の詩。
『運命』さえも貫くように、交叉した少女の両掌から
スベテの初まりを暗示する炎の化身が未来への航路に向かい
羽撃いた神鳥と成って天翔けた。
←TOBE CONTINUED……
後書き
はいどうもこんにちは。
どこぞで聴いたようなタイトルですが
えぇ~えぇ~そのまんま拝借したんですよ・・・・('A`)
(まぁ中の人はしってますがアニメの方は視たコトないです。
まぁあーゆーのは最初から「戦いごっこ」と割り切って作ってあるので
別にクサすつもりはありませんが)
それと歌詞がこの作品の承太郎とシャナの関係に
近いなと想ったのも理由の一つです。
(だから○タレが主人公だとどんなに曲がよくても作品が曲に負け、
その違和感から不快感しか残らない。まぁ○○○の分身に合う
カッコイイ曲なんて存在しませんガ)
荒木先生が殺人鬼を美化したくないという考えから
吉良吉影を悲劇的に描かなかったのと「逆」で、
情けなくて中途半端で優柔不断で男らしくないキャラを作中で
過剰に持ち上げるのは、荒木先生が厭忌した「偽善」と「欺瞞」そのもので
ぶっちゃけ汚いものを綺麗と見せかける(そのように騙す)
気持ち悪さと悍ましさがあるからだと想われます。
一応ワタシもただ気に入らないからではなく理論立てて嫌っているのですよ^^;
自分の正体黙ったまま今まで通り学校行ってるのは、
バレなきゃ盗撮しても良いだろうという考えと同じじゃないかとか
(少なくとも「騙している」コトに変わりはない)
そのツケが回って吉田サンに逃げられたのに、
カムシンにキレるのは違うだろうとか。
(「騙していた」のがバレたから逃げられたのであって、
そのキッカケを与えた者を恨むのは
お門違いである以前の単なる『逆ギレ』)
ライトノベルではありませんが宮部某という方の「クロスファイア」という作品で
超能力者の主人公が、法で裁けない悪人を殺していく過程で最終的には
自分が殺人鬼になってしまう話がありますが、そういう意味では「リアル」だと
言えるかもしれません。
まぁ誰も得しないリアリティーではありますがネ・・・・('A`)
(子供しか狙わない殺人鬼がいるのと同じで、
悪人殺す事に興奮してるだけですから)
ソレでは。ノシ
ページ上へ戻る