転生とらぶる
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ガンダムW
1604話
「博士!」
床に倒れた老人を見て、そんな声がコントロールルームに響く。
責任者だと思ったら、どうやら博士だったらしい。
……もしかして、実はこいつもハワード達みたいに元トールギスの開発者の1人だった、なんて事はないだろうな?
「安心しろ、別に死んでない。意識を失っただけだ。……さて、これからどうしたものだと思う?」
通信装置の向こう側にいる人物へと声を掛けると、それに対して戻ってきたのは怒りを堪えているような声だった。
『貴様、こんな真似をしてただで済むと思ってるのか!』
「どうだろうな。それはこれからのそっちの行動次第だろ。下手をすれば、バルジはさっき言ったように動力炉に異常を起こして爆発する……なんて事になるかもな」
『……貴様、連合軍の軍人か? いや、こんな真似を正規軍がするとは思えん。だとすれば、連合軍に雇われた傭兵?』
へぇ。予想外に鋭いらしい。
いや、でもバルジの現状を考えれば、そのくらいのことは直ぐに考えつくか。
そもそもの話、現在OZによってピンチになっているのはあくまでも連合軍なのだから。
ああ、でもコロニーも危機なんだし、ガンダムのパイロットが来てもおかしくはないのか?
「さて、な。俺の正体がどうこうというのは関係ないだろう? 要求はただ1つ。すぐにOZの人員は全員このバルジから撤退しろ」
『ふざけるな、そんな要望を聞けると思うのか?』
「まぁ、聞かないなら聞かないでもいいさ。その時はこのバルジで俺と一緒に宇宙の花火になって貰うだけだしなぁっ! ケヒヒヒヒ!」
狂気っぽい笑い声を出したつもりだが、上手く嵌まったか?
幸いだったのは、この通信が映像のない音声だけのものだった事か。
おかげで、俺の下手な演技が見破られる心配がない。
『なっ! き、貴様本気か!? そんな真似をすれば、バルジだけではなく貴様も死ぬんだぞ!』
お? 乗ってきたか?
通信装置の向こう側から聞こえてくる声は、切羽詰まったものになっている。
「ケヒヒヒ。そんな事は承知の上だよ。俺は、ただこのバルジってでかい花火を上げてやりたいだけだからなぁっ! それで邪魔になるお前等を外に放り出そうとしたら、さっきの爺さんが邪魔をしやがって」
『……狂ってやがる……』
「ケヒ? どうだろうな? まぁ、お前達が俺と一緒に死にたいって言うのなら、それはそれで構わねえよ。俺と一緒に宇宙の花火として一世一代の大舞台といこうぜぇっ!」
……口調が安定しないな。
狂ってる……狂ってるか。アーチボルトみたいな感じに出来れば最善なんだがな。
だが、あそこまでナチュラルに狂っている様子を見せるのは、俺にはちょっと無理だ。
「さぁ、時間はないぞ? 後1時間くらいでこの動力炉は爆発するだろう。勿論それを邪魔する為にやって来てもいいが、その場合はそいつらも一緒になって死ぬ事になるだろうなぁあぁぁぁっ!」
『貴様……』
「まぁ、俺と一緒に自爆をするつもりなら、好きにすればいいさ。派手な花火を上げる事が出来るのは、俺にとっても悪い事じゃないし。じゃあ、そろそろ自爆する為の準備をするから、お前の相手はしていられなくなる。じゃあな」
『待っ』
ブツリ、と。向こうが話している途中で通信のスイッチを切る。
「……さて、と」
そうして改めて周囲を見回すと、部屋の中にいる者が全員俺を狂人でも見るような視線でみていた。いや、さっき撃たれた奴はまだ悲鳴を上げて床を転げ回っているが。
まぁ、今の通信内容を聞いていれば、そうなるのは当然か。
あの行為は演技だったんだが、それを言う訳にもいかないしな。
だが、こいつらを人質に……なんて事は全く考えていない。
そもそも俺の目的は、あくまでもこのバルジだ。
バルジを空間倉庫に入れるには、当然のようにこの中に人が……いや、生き物がいると不可能なのだ。
「……行け。ここで死ぬのは俺だけで十分だ。お前等まで俺に付き合う必要はない」
その言葉が俺の口から発せられたというのが信じられなかったのだろう。俺の話を聞いていた連中は、大きく目を見開いて俺の方へと視線を向けていた。
「いいのか? 私達を人質には……」
「しない」
一人の男がそう尋ねてくるのに、あっさりとそう告げる。
だが、先程のやり取りを聞いていた為だろう。大人しく俺の言葉を信用は出来ないらしい。
「いいから、さっさと行け。そいつも、放っておけば死ぬぞ」
手を撃たれて騒いでいる男を一瞥して告げると、やがて恐る恐るとだが何人かが立ち上がる。
そして扉へと向かい……やがて、部屋から出る事に成功した。
そうなれば、他の連中も俺が口にした出ていけというのが冗談でも何でもないと理解したのだろう。
すぐに皆が揃って部屋から出ていく。
気絶した初老の男も、右手を撃たれた男も、他の連中に連れられて去っていく。
そうして数分が経つと、この部屋に残っているのは俺だけとなっていた。
「後は、と」
一応スライムを使って部屋の中を隅々まで調べ、自爆装置やら隠れているような奴、もしくは隠しカメラや盗聴器の類がないのかを探す。……どうやら問題はないらしい。
レディ・アンなら念には念を入れて色々と隠しておくような気がしたが……どうやら、ここまではその手が及んでいなかったらしい。
もしくはそれをしようとしてトレーズに止められたか。
……何だか、後者の方が普通にありそうな気がしてくるのは、俺の気のせいか?
ともあれ、部屋の外へと出る為の出入り口も1つしか存在しないのはスライムで確認出来た。
であれば、ここで何があっても誰にも知られる事はないという訳だ。
空間倉庫の中にある適当なガラクタ……何かの拍子に入手したまますっかり忘れていた金属の塊を扉の前へと置く。
数tもの重量を持つ金属が置かれているのだから、もし扉を強引に開けても中に入ってくる事は出来ないだろう。
それこそ、この金属塊をどうにかするには、MSなりなんなりを使わなければならない。
だが、そんな真似をすれば当然俺に……OZにとっては狂人と思われている俺がどんな行動に出るのかというのは、向こうも理解しているだろう。
ましてや、下手にMSをここに突入させようものなら、俺が何かをやる前にその衝撃で動力炉がどうにかなってしまう可能性すらある。
……ああ、でもこのまま俺にバルジを破壊させられたというよりは、自分達で自爆させた方がいいと考える可能性はあるか?
問題は、誰がそう判断するかだな。
もし普通のOZの人間なら、MSを突入させるにしても念の為に全員を避難させてからにするだろう。
だが……今回に限ってはその辺の指揮系統がどうなっているのかが分からない。
何しろ、現在進行形で地球ではレディ・アンがルクセンブルク基地に対して降伏とシャドウミラーの引き渡しを要求しているのだから。
この作戦の指揮をレディ・アンが執っている以上、バルジにOZの人間が残っていてもあっさりとそれを犠牲にしかねない。
ただ、その場合OZにとってはかなり大きな被害になるのは間違いなかった。
少数精鋭のOZだけに、当然のようにその数はそれ程多くない。
ただでさえ少ないその数を、このバルジと共に自爆させるような事になれば……OZの士気を維持するのは難しいだろう。
うん?
そんな風に考えていると、やがてこちらに近付いてくる人の気配を感じ取った。
時間的に見て、恐らく先程ここから出ていった者達から俺についての情報を聞き、それで奪還部隊を派遣したのだろう。
「まぁ、中に入れないけどな」
向こう側からは扉を開けたとしても、金属の塊が置いてあるので中に入るのはまず不可能。
つまり、どうしても向こうからこの部屋の中に入りたければ、扉が無理な以上、壁を破壊して中に入るしかない。
だが、ここは動力炉のコントロールルームだけあって、当然のように壁は厚い。
それこそ動力炉の爆発があってもある程度は防げるくらいには。
生半可な爆弾ではどうしようもない。
……さて、この状況下でどうするだろうな。
唯一心配なのは、地球ではバルジがこんな事になっているというのを知らない事だろう。
勿論バルジから何人も脱出していくような事になれば、どこかしらがそれを見つけるだろうが。
その辺は、賭けだな。
ともあれ、今の俺は特にやるべき事もない。
大人しくバルジにいる者達が脱出しようとしているのかどうかを確認すべく、いつものようにスライムで様子を探る。
0.0001mm程度の細さになったスライムが、隙間を通って部屋の外へ向かい、そこから全てを聞かせてくる。
『おい、急いで脱出しろってどういう事だよ! 今はこれから連合軍の基地を攻撃するんだろ!』
『馬鹿、聞いてないのか!? 動力炉をテロリストに……それも完全に頭がおかしい狂人に乗っ取られたらしい。そいつがバルジの動力炉を爆発させようとしているって話だ』
『マジか!? いや、もしかしてその立て籠もってる奴って、もしかして連合軍の人間じゃないか? このままバルジで攻撃されるよりはって』
『どうだろうな。とにかく、俺達にはバルジから脱出するように命令が出ている。ったく、どうやってバルジの中に……それも動力炉のコントロールルームなんて警備が厳しい場所に入り込んだのやら』
『コントロールルームの扉が開かない!? どうなっている!』
『いえ、正確には扉は開きます。ですが、その……扉の向こう側に出入り口を塞ぐようにして巨大な金属の塊が置かれており、とてもではないですが人間ではどうにも出来ません。それこそ、どうにかするのならMSかMDを持ってくる必要があるかと』
『馬鹿か! そんな真似をすれば、それこそ動力炉に被害を与えて、爆発するだろ! それに、MSやMDで動力炉に被害がなくても、閉じ籠もっているテロリストがそれを黙って見ている筈がない!』
……へぇ、やっぱりというか、既にMDは実用化されてるのか。
ただ、MDが最初に導入されのはトーラスだったから、地球上ではまだ運用されていない……ってところか。
だが、この様子を見る限りだと、それも時間の問題だろう。
そうなると、地上でもこっちが一方的に有利な戦いに……という風に持っていくのは難しいだろう。
寧ろ、連合軍の戦力ではそう簡単にMDには対抗出来ない。
回避の隙間がない程に密集して攻撃すれば何とかなるんだが……それを効率的に出来るかどうかだな。
『コントロールルームにも、排気ダクトはあるのだろう? そこからガスを流し込んでやればどうだ?』
『ガス、ですか。コロニーやこのバルジのような場所でガスの類を使うのは避けたいのですが……』
『馬鹿者! トレーズ様にこの件を何と報告するつもりだ! バルジの心臓部までテロリストの侵入を許し、その上自爆させられたと言うのか!?』
お、この声はレディ・アンだな。
当然その声は生身の声という訳ではなく、通信を通しての声だ。
にしても、ガスか。相変わらず手段を選ばないな。
……まぁ、レディ・アンにとって、今回の作戦は絶対の勝算で行った作戦の筈だ。
それがこんな風になっているんだから、頭にくるのは当然か。
「結果として、レディ・アンにとっては最悪の展開と言えるだろうな。連合軍にとっては、降って湧いた幸運といったところだろうけど」
ともあれ、ガスは使われても問題はないのだが、それが原因でバルジの中にガスが広がるような事になってしまったら色々と大変だな。
仕方がない。少し手を出すか。
そっとスライムを伸ばしていき、レディ・アンと会話をしている男の首へと巻き付け……一気に絞める。
殺しはしないが、その力は意識を奪うには十分だった。
『なっ!? お、おい! どうした!?』
レディ・アンの動揺する声を聞きながら、スライムはそのままに向こうの出方を見る。……いや、スライム越しだし、この場合は聞くか。
すると他の場所へと連絡を入れたのだろう。数分と掛からず、誰かが部屋の中に入って来た。
『どうしました! ……な!? これは一体!?』
『分からん。話している途中で急に倒れたのだが。その男は、何か持病のようなものはあったのか?』
『いえ、そのようなことはなかったと思います』
『では、何故? ……まぁ、いい。今はその男には構っていられん。今やるべきなのは、動力炉のコントロールルームを乗っ取ったテロリストを早急にどうにかする事だ。お前でいい、ただちにコントロールルームにガスを……』
『くきゃ』
レディ・アンが最後まで言う前に、男の身体を伝って首へと到着したスライムが先程の男同様に一気に意識を絶つ。
『な、何だ!? 何が起こっている!?』
聞こえてくるのは、レディ・アンの混乱した声のみだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1309
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