シークレットガーデン~小さな箱庭~
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-シレーナの封じた過去編-2
前書き
廊下を歩いていると
「ねぇーねぇーちょっとー」
「えっ?ランファ?」
今シレーナが寝ている、彼女の部屋から顔を覗き出したランファが、こっちこっちと手招きしている。
よくわからないが呼ばれたので取り敢えず行く。ルシアが部屋に入るとランファは他に誰もいないかを確認した後、ゆっくりドアを閉めて鍵もかけた。
部屋に入ると自然と、ベットの上で静かに眠るシレーナに視線がいく。元々色白で美しい肌だったが今は少し青白く死んでいるのではないかと呼吸を確かめたくなるほどだ。
「ん~、これは相当ヤバイですなぁ………」
「……そうだね」
顎に手を添えて腕を組み難しそうな顔で言うランファに、ルシアは悲しそうな 寂しそうな声であいずちする。
「このままだと、穢れになっちゃいますなぁ……」
「そうだね………ってえ?……けがれ??」
そうだねと受け流そうとしたが、聞きなれない単語に躓く。慌てて聞き返したルシアだったのだが
「うん。穢れ。これは…デスピル病の第一段階ってヤツですなぁ……」
「…ですぴる病? ……闇病じゃなくて…?」
「……闇病? なにそれ?」
質問に質問で答えられた。そんなことをされたらどう返せばいいのかわからなくなる。
ランファは質問した後「ああっ!」と思い出したかのように声をあげた。
「そうかっ!まだこの時代は、ハッキリとした病状とかわかってなかったから、闇が突然すべてを奪い去る病。闇病って呼んでたんだっけ」
「………??」
ポカーンとクエスチョンを頭に浮かべたような顔をしているルシアを放置し一人でそうかそうかと納得したランファは何を思ったか突然怒りだした。
「でもっあたしはデスピル病の方が言い慣れてるから、今日からはデスピル病って呼ぶことっ!いいねっ!!」
「あっ…うん」
迫力の押しに負けうなずく。
「それで…あのさっき言ってた、けがれって?」
「あぁっそうだった! こんなとこでのんきにおしゃべりしてる場合じゃないんだった!!」
また一人でパニックになり頭を抱えてどうしようどうしようと考えはじめ…
「あれだよっ! あたしと貴方が初めて会った時にヨナちゃんを襲っていたあいつっ!」
「あいつ…?」
ルシアはランファと初めて会った時のことを思い出す。
あの時はたしかいつものように隣町で仕事を分けて貰い、近くの森でイノシシ狩りをして帰り道、パジャマ姿でふらふらと歩いてるヨナを見つけて……声をかけて気が付かなかったから駆け寄ろうとしたら……そう、空から突然降ってきた化け物だった。
「あの化け物がどうかしたの?」
「どうもなにもっ!このままほっといたら、シレーナさんはあんなバケモノになっちゃうつーのー!?」
「えーーーー!? じゃぁ……もしかしてヨナもいずれ…。ど、どうすればいいのっ! ランファ!?」
どうにか治す方法はないのかとルシアはランファの肩を掴み激しく問うが、ランファはというとそんなこお気にもせずに、なにやらポンチョの下から肩にかけて下げていたショルダーバッグをガサゴソとあさりだしはじめ
「あれ~~? どこにしまったっけな~? あれ~?」
「ねぇ…ランファ…」
「ちょっと待って…あっ!あったー」
「それは…?」
ご機嫌に取り出したのは綺麗な薄水色のただの石ころだった。大丈夫かなこの子と思いながらルシアはランファを見つめる。
「パラパラッパラ~~~ 精霊石~~~」
「……せいれいせき?」
何故か何処かの猫型ロボットのような声で精霊石を取り出した。
心配そうな顔で自分を見るルシアにランファは、これまた何故か偉そうな態度で
「まぁあれだ。習うより慣れろって奴だっ。行ってらぁ~~」
「へっ?わっわわわぁ~~~」
急に精霊石をルシアの方へ向けたかと思うと、突如 精霊石が光だしてルシアは光に包まれ精霊石の中に体が吸い込まれて行ったのだ。
精霊石に吸い込まれていったルシアを見送った後、ランファは精霊石をシレーナの胸元へ持っていき
「まぁ、後はパピコが上手いぐわいにやってくれるよね? シレーナさん、後もう少しだけの我慢ですよ」
と言うと精霊石をシレーナの心臓めがけて差し込んだ。精霊石は溶けるようにシレーナの中へと入っていった…。
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