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IS《インフィニット・ストラトス》~鉄と血と華と~

作者:白さん
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第八話 止められない


三日月がクラス代表となった次の日授業、グラウンドでは本格的なISの実習が始まろうとしていた。


「これより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。そうだな、手本として……オルコット、オーガス、前へ出ろ」

「はい!」


セシリアは元気よく返事をしたのだが、三日月は


「え、なんで」

「なんで、ではない。お前も専用機持ちだろう、クラスの為に手本になれ」

「……まあいいけど」


渋々立ち上がると同時に、その流れでバルバトスを展開しながらセシリアの横に立つのを確認すると


「よし、飛べ!」


千冬の合図と共にバルバトスとブルーティアーズは上空へと行く。スラスターを一定の出力で維持し空中を飛び回る三日月とその側でやや遅れて飛ぶセシリア。


「やはり三日月さんのバルバトスは凄いですわね、ブルーティアーズが遅れを取るなんて」

「ありがと、そう言って貰えるとこいつも喜ぶ」

「ふふっ、愛着を持っていますのね、バルバトスに」

「付き合いながいからね。そうだ、放課後暇?」

「え?ええ、特に予定は御座いませんが……」


フルフェイスの為よくわからないが、三日月は視線をセシリアに向けて


「じゃあさ、勉強付き合ってよ。前の授業わかんないところあったからさ」

「そ、それは二人きりでですか?」

「二人だと嫌かな」


彼の言葉に首を横に振るセシリア。


「いえ!寧ろ好都合というか、望むところといいますか……」

「?」

『オーガス、オルコット、急降下と完全停止をやってみせろ』


インカムを通して二人に千冬から指示が来る。


「ではお先に、三日月さん」


セシリアは一礼した後に下方に進行を変え加速、地面との距離が迫るとバーニアを吹かしピタッと停止する。地表から約6cm、千冬はまあまあだなと頷き


『オーガス、お前も早く降りてこい』

「俺そういう細かい動作苦手なんだけど」

『つべこべ言わずに来い』

「……」


不満そうであるが、言われたからには仕方ないと言わんばかりに三日月は地面目掛け体勢を変え、スラスターの勢い強める。


「……あ」


地面が目前と迫ってから気づいた。

これ止められないや

と。地表と最早目と鼻の先まで来た三日月は、あろうことか右手を振りかぶり


「よっ」


地面を思いきりぶん殴り身体をバウンドさせ空中で一回転、砂埃を巻き上げて四点着地で地上へとたどり着いた。


「ふぅ、あぶね」

「馬鹿者、殴って勢いを殺して着地する奴が何処にいる。おまけにグラウンドに穴まで空けて」


千冬が呆れたように三日月に言い放つ。


「ミカ!大丈夫か!」

「三日月さん!」


砂埃が晴れると箒、セシリアが彼の元に駆け寄ってくる。彼はゆっくりと立ち、バルバトスを待機状態にさせながら


「俺は平気」

「よかった……」

「心配しましたわ……」


箒とセシリアがそれぞれ言うと顔を見合わせる。


「オルコット、何故お前がミカを心配する」

「あら、私が三日月さんを心配してはダメなのですか?篠ノ之さん?」

「……そもそもミカに態度を変えすぎだ、猫かぶりめ」

「嫌ですわ、私は本当に三日月さんの事を心配しているだけなのに」

「ぐぬぬ……」


にらみ合う二人。三日月はそんな彼女達を放っておき千冬の側に近づく。


「あれどうするの」

「……止めるしかないだろう」


セシリアと箒のケンカは千冬からの出席簿制裁という形で場は収まったという。







時間は過ぎ放課後、三日月が代表になったということで軽いパーティーが開かれ、彼は終始何かを食べていたのは別の話だ。そしてそれは終え、自室に戻る三日月と箒……と


「……オルコットが何故私達に付いてくる」


笑顔で三日月の横にいるセシリアだ。


「三日月さんに勉強を教えてくれと頼まれましたの、だからこうして付いてきてるのですわ。本当は二人きりが良かったのですが……」


最後の方が良く聞き取れなかったが、箒は本当か!と三日月に向く。


「うん、前に頼んだんだ」

「な、なら私に頼れば良いだろう!」

「箒、頭良いの?」

「そ、それなりにはな!」


それなりってなんだよ、と三日月は呟く。何だかんだあって部屋にたどり着いた三日月達。先に三日月、その後に箒、セシリアの順に部屋へと入る。


「ここが三日月さんのお部屋……」

「私の部屋でもあるがな」

「……」


一言余計だと言わんばかりに箒を睨むセシリア、そんな彼女達を尻目に三日月は鞄をベッドに投げ捨てると


「……あ、シャンプーって残ってたっけ」


思い出したかのように三日月は言う。


「む、そういえばきれてたな……」

「まだ購買やってるだろうし買ってくる、セシリアは適当に寛いでて」

「はい!」


直ぐ戻ると言い残し三日月はシャンプーを購入するために部屋を後にする。残された箒とセシリア、暫しの間無言の時間が続き


「所で篠ノ之さん?お尋ねしたいことがあるのですが」


静寂を破ったのはセシリアだ。箒は彼女の方に向き


「何だ」

「前々から思っていたのですが、三日月さんと篠ノ之さんはどのようなご関係で?」

「何故そのようなことを聞く」

「三日月さんと篠ノ之さん、他の方々と違い何処か親しげだったので」


箒は俯いた後、直ぐに顔をあげ


「……幼馴染みだ、一応な」


“一応”その単語に何処か引っ掛かりを覚えるセシリアは


「何か事情があるようですね」

「……ああ、私ではどうしようもない事情がな」







「買えて良かった」


購買からの帰り、何時も使っているシャンプーが最後の一つだった為ラッキーだった、と三日月は少し気分良く歩いていた。


「あ!」

「?」


何処からか声が耳に入り、そちらを向くとツインテールに両肩を露出した制服を着た女子が。三日月は不思議そうに彼女を見ているとこちらに向かって走ってきて


「久しぶり、三夏!」


ぎゅっと彼に抱きついてきた。


「……は?」

 
 

 
後書き
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