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ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)

作者:あちゃ
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第1章:メルキド編
  26:平和は手に入れるよりも維持する事の方が難しい。

(メルキド)
ロロンドSIDE

寝室で寝ていると何やら外が騒がしく、思わず目を開けて半身を起こす。
隣では我が輩と同じ様にロッシやショーターが起きていた。
「こ、これは何の音だろうか?」

「………」
我が輩の問いに誰も答えない。
いや、答える事が出来ないのだろう。

何故なら何となく解っているから……
ロッシが危惧していて、我が輩が軽視していた事が現実になったのだろう。
そして皆を守る為に、リュカが一人で戦っている……その音が聞こえてきてるのだろう。

我が輩等もリュカと共に戦うべく、部屋を飛び出すのが当然なのだろう。
だがしかし、あまりにも激しく聞こえてくる激戦の音に恐怖心が勝り、部屋を出る勇気が出てこない。
こんな事ではいけないのだ……リュカは我らの為に危険を顧みず戦っているのに、安全な場所で脅えてるなんて許される訳が無い。

そんな葛藤を心の中でしてると、突然怨嗟の雄叫びが聞こえ、その後に静かになった。
リュカが勝利をしたのか……もしくは敗北をしたのか……
どちらとも判らぬ静けさに不安が掻き立てられ、我等は一斉に部屋から飛び出した。

勢いよく飛び出したは良いが、目の前には青い顔のケッパーが剣を構えて振るえている。
少し離れた場所に建てられた女性等の部屋からは、ピリンとチェリコが各々顔を出して様子を覗っている。
誰も自体を把握してないと思われた。

そんな時だった……
(どんどんどん! カチャカチャカチャ!)
鋼の守りに設置された鋼の大扉が外側から揺すられ開けられそうになっている。

よく見ると鋼の大扉の内側には、太い木材で閂がしてあり外からは開かないようになっている。
きっとケッパーが我等を守る為に封鎖しておいたのだろう。
なかなか気が利く男である。

(ガンガンガン!)
だが外に居る者には意味がなく、鋼の大扉を壊しそうな勢いで叩き続けている。
やはりリュカは敗北してしまったのだろうか……?

「こらー! いい加減に開けろボケェ! 何時までイケメンを閉め出しておく気だ馬鹿者!」
絶望的状況を想像した時……外に居たリュカが大声で開門を告げた!
リュカは勝利したのだ! 我等を滅ぼそうとするゴーレムに、勝利をしていたのだ!!

「い、今開けますぅ!」
雷に打たれたかのように飛び跳ねたケッパーが、大慌てで鋼の大扉にかけた閂を外すと、凄い勢いでリュカが鋼の大扉を蹴破り、ケッパーの後頭部にゲンコツを落とした。

「あ痛ぁ!!!」
「痛いが何だ馬鹿者! こっちは死にかけたんだぞコラ! 何で逃げ道を塞ぐんだよ阿呆!」
リュカの台詞と格好から、かなりの激戦だった事が窺える……身だしなみを気にしているリュカの服がボロボロになっているのだから。

だが勝利は勝利だ。
リュカは手に持ったメダルらしき物を眺めながら、我が輩の方へと歩いてくる。
そしてそのメダルらしき物を我が輩の鼻っ面に押し当てると……

「ねぇゴーレム倒したら、これを手に入れたんだけど、何だと思う?」
「こ、これは……」
リュカの手を掴み少し離れてブツを確認する。

『………………』
「え、これを直すの? 何か重要なアイテムなの!?」
「わ、我が輩は何も言ってないぞ!?」

「あぁ……もう……ちょっとお前黙ってろ! おいルビス、もうちょっと詳しく説明しろよ。如何すんの? 如何やって直すの?」
『………………・』

「本当に? 神鉄炉と金床で直せるの? 大丈夫、壊れたりしない?」
『……………………』
「そりゃそうだろ。お前等みたいな間抜けな神の言う事なんか鵜呑みに出来ねぇっつの!」
『……………………………』

「“ですぅ!”じゃねーよ貧乳女神。壊れてもお前の所為だからね。お前が何とかしろよ」
どうやらルビス様と会話をしてたらしく、我が輩等を無視して事が進んで行く。
……にしてもリュカとルビス様は、一体どんな関係なのだ?

無礼にもルビス様の事を“貧乳女神”と形容した。
と言う事は、リュカはルビス様のお姿を拝見した事があると言う事だろうか?
もう一つ気になったのは、先程リュカは“お前等みたいな間抜けな神”と言った……

ルビス様以外にも神と呼ばれる存在が居るのだろうか?
居るとして、そんなお方ともリュカは気さくに会話できるのだろうか?
あの男……本当に何者なのだ?

ロロンドSIDE END



(メルキド)
リュカSIDE

おお……
本当に錆びたメダルから“いにしえのメダル”を作る事が出来た。
ルビスが『多少乱暴にしても壊れません』って言うから、ものっそい乱暴にしたんだけど作る事が出来た。

このいにしえのメダルを希望の旗の側で空に掲げると、とっても凄い事が起きるとルビスが言った。
何が起きるのかを問うたら『それは掲げてからのお楽しみ♥』って可愛く言われた。
ここまで教えといて、そこをサプライズにして如何するんだよ?
どうせ空が晴れるだけなんだろうに……

でも驚いてあげよ……泣いちゃうから。
そんな事を考えながら、俺は希望の旗の側で直したての“いにしえのメダル”を空に掲げた。
すると突然一条の光が空へと上り、厚く覆われた灰色の雲を四散させた。

(すげ)ー! 空が晴れたよー! やったー!」
急にメダルが光った事に少しだけ吃驚したが、それ以外は予想通りだったので、事前の計画通り驚いて見せた。
これで満足だろ……ルビス?

「本当に凄いわリュカ! 私、こんなに晴れた空を見た事がないわ!」
「うん。ボクもだよピリン。そらってこんなにもキレイだったんだね」
あぁそうか。俺が驚いて見せなくても、他の連中がガチで驚いてくれるから、ルビスも満足なんだね。

だが肝心のルビスからは感謝の言葉もなく、見られてるのか見られてないのか……話しかけても来ないから判らない。
一言有って然るべきじゃねぇ? って思うのは、俺の傲慢だろうか?
ちょっとイラッとしちゃってるが、ピリン達が凄く嬉しそうにしてるから空気を読んで黙ってる事にする。

「ねぇリュカ。今日は皆でお祝いしましょうよ!」
「おお、それは良い提案だなピリン。我が輩も賛成だぞ」
「わーい。お祝いだ、お祝いだぁ! でもお祝いって何?」

「スラタン……お祝いってのはね、嬉しい事があった時に皆で一緒に喜ぶ事よ。美味しいご馳走を食べながらね」
「教えてくれてありがとうチェリコ♥ ぼくお祝い大好き! ぼくもご馳走作るの手伝うよピリン!」

「そうねスラタン。一緒にご馳走作りましょうね」
「「「「君達は料理しちゃダメー!!!」」」」
ピリンとスラタン以外、全員の意見が一致した瞬間だった。







ピリンとスラタン以外で楽しく食事を作って祝賀会を催した。
だが二人が隠れて料理をしており、その危険物を誤ってヒゲ(ロロンド)が食べてしまい、鼻からミミズを垂らしながら悶絶するというハプニングに見舞われた。

まぁ楽しかったから良しとする。
被害に遭ったのがヒゲ(ロロンド)だったし、心底楽しかったから良しとする!
そんなこんなで夜が明けてきた。

昨日までの夜明けは、曇り空から滲んでくる日の光だけだったが、今日からは美しい太陽の光がこの土地を照らしてくれる。
隣で寝ている裸のピリンを起こさぬように、ソッとベッドから抜け出して服を着る。

そう言えば結局昨晩も寝る事はなかったなぁ……
チェリコと良い感じになって、そのまま彼女の部屋へランデヴー……夜半にピリンの事も気になって部屋を覗いたら、色っぽい瞳でこちらを見てたから、そのまま彼女のベッドにパイルダーオンだった。

ヤバ目の敵も倒したし、この土地で俺のやる事は終わったと思ってる。
その証拠に、チェリコの部屋からピリンの部屋へ移動する際、山の向こう側で光の柱を確認した。多分あの光は次の土地へ行く為の装置的な何かだろう。

ここまで復興の手伝いをしたメルキドが居心地良いからって、長居してると貧乳女神から泣きながら次へ行くように催促されるだろうから、ゴチャゴチャ言われる前に旅立とうと思う。
ピリンやチェリコ……スラタン達に別れを告げるのは忍びない。(他の連中は如何でも良い)

きっと何となく察してるだろうから、黙って町を出て行こう。
夜が明けきって誰かに見つかる前に……

リュカSIDE END



 
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