Blue Rose
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第三十九話 認識その十三
「そうなっていました」
「そうでしたか」
「いい決断をされました」
微笑んでだ、優子に言った。
「だからこそ妹さんの今があります」
「そうですか」
「はい、ですが」
「安心は出来ないですね」
「何かあれば私もです」
「あの娘をですね」
「助けさせてもらいます」
こう優子に申し出た、あらためて。
「是非」
「そうして頂けますか」
「はい、どうしようもない時は」
「そうなのですね」
「そうならないことを祈りますが」
「私は公立の学校のことは知らないのですが」
八条学園に通っていたからだ、私立の。
「そうした先生もいるのですね」
「はい、流石にそうした先生ばかりではないですが」
「稀にですか」
「あくまで。ですが」
「そうした先生が実際にいて」
「問題になっています」
そうだというのだ、現実として。
「ですが中々です」
「この問題は解決していないのですね」
「日教組という組織は今も隠然たる力を持っています」
ソ連崩壊後急激に力を失っていることは事実だ、だがそれでも学校の中では今もそうした力を持っているのだ。
「そしてそうした教師が存在しているのです」
「処分もされずに」
「そうしてです」
「残っています」
そうだというのだ。
「関西に広島、長崎は」
「そうした地域はですか」
「依然大きな力を持っています」
「そういえば広島も」
「原爆の関係で、そして地域的な事情で福岡もだとか」
「日教組の力が強く」
「そうした学校の先生が多いのです」
長崎も含めてというのだ。
「ですから」
「何かあった時は、ですね」
「神戸から遠くとも」
「はい、その時は駆け付けます」
優花のところにとだ、優子は真剣な顔で院長に答えた。
「そうします」
「その時の手配もさせてもらいますので」
「すいません」
「いえ、これは私がしたいからするだけなので」
「このこともですか」
「構いません」
院長はここでもにこにことして優子に話し合った。
「お気になさらずに」
「そうなのですか」
「はい、では」
「その時は行ってきます」
長崎の優花のところにとだ、優子は院長に言った。優子はここでもまた決心した。何があろうとも優花を守ることを。
第三十九話 完
2016・9・24
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