バトルスピリッツドライブ ~集いし七人の戦姫~
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蛇龍の恐怖
移動船の中で、清衣はなのはと翼に説教していた。
「何これ。甲竜デッキなのに光翼之太刀と白晶防壁、リミテッドバリアがなんで入っていないの?こっちの武龍もそう。ヒョウジンと陀武龍は常識。これで勝てると本気で思っているの?」
「それは…」
清衣の考察になのはは口ごもり、
「元プレーヤーの高町はともかく、初心者の私に言われても何を言っているか解らないのだが。」
翼は清衣の説明に腹を立てていた。
「勝負の世界に初心者もプロも無いわ。あなたも、なんらかの戦いを行っているなら解るはず。」
「それはその通りだが…そう言う水嶋はどうなんだ?」
「私も、バトルスピリッツに関しては初心者よ。」
「では何故、あそこまで上手くデッキを扱え、カードに詳しい?」
「簡単な話よ。覚えないと出来ないから覚えた。ただそれだけよ?」
しかし、翼の言葉に清衣は理論立てて話す。
「ところで、清衣ちゃんの世界は、どんな世界だったの?」
「…知らない方がいいわ。時には、知る事で苦しむ時もある。」
「それでも、知らないで平気な顔をしているよりも、知って後悔する方が、私はいい。」
「そう…なら話すわ。私達の世界では、バトルスピリッツでは無くてWIXOSSってカードが流行っていた。仕方ないわ。有名財閥が支援していたもの。話を戻すわ。WIXOSSのカードの中には、稀に意思を持つカードがあって、それを引き当てた少女は、セレクターと呼ばれ、願いを賭けたWIXOSSのバトルに参加出来るようになるわ。」
清衣は淡々と語ってゆく。
「そして、見事勝ち抜いて条件を満たせばありとあらゆる願いを叶えられる存在、夢限少女に昇華する。」
「それのどこに知らない方がいい事があるの?」
「当然、バトルをするのだから勝者と敗者が生まれる。もしこの勝負に3回負けた場合、自分が賭けた願いはマイナスにまで叩き落とされる。例えば、脚が速く成りたいと願って負ければ、たとえどんな医術を用いても脚が動かなくなり、友達を望んで負ければ、友達との思い出を全て失い、友達になり得る可能性のある人と触れた場合に心身共にダメージを受ける体質になるわ。」
「そんな、非道すぎるよ!」
「でも、それが現実よ。」
「ならば、勝ち抜いて夢限少女になれば、構わないだろう。」
「そう、普通はそう思うわ。でも考えて頂戴。普通、意思のあるカードなんてあると思う?」
「そんなもの、普通はあり得ないな。」
「その通り。もし勝ち抜いて、夢限少女になった場合、セレクターの身体はそのカードに奪われ、セレクターの精神は、別のセレクターのカードに飛ばされる。」
「それじゃあ!?」
「ええ、勝って願いを叶えるのは、セレクター自身では無く、セレクターの身体を奪ったカード。そして、カードは再び人間社会に戻る為にセレクターを騙してその身体を奪う。それが私達の世界よ。」
「そんな…どうして!」
「すべてはあいつの下らない遊びの為。私達は所詮あいつの玩具でしかなかった。」
「あいつって?」
「こんな下らない遊びを考えた少女の事。あいつは私の事を友達だと思っていたみたいだけど、私にとっては憎む相手の一人でしかなかったわ。」
「しかし、そこまで言うのならば、そんな戦いに参加しなければよかっただけだろう。」
「貴方は……自分の大切な人が生死を彷徨っていても……同じ事が言えるのかしら?」
「……それはっ!」
「私だって、好きであんなのに参加したわけじゃないわ。私は、私を助ける替わりに事故にあった娘を救う為に参加した。」
「でも、それならその娘は助かったんだよね!?」
清衣の話になのはは質問した。
「本気でそう思うの?私の身体を奪ったあいつは、その娘の事を殺したわ。今でも覚えている。あいつの言った、『ゆっくり休んでくださいね』って言葉。」
「どうして!だってその娘を救うんじゃ!」
「その通りよ。でも、あいつらはあらかじめ口裏を合わせていた。死が一番の救いだって。そして、私はあいつへの憎しみと復讐心を抱えてカードになった。」
清衣はコード・ピルルクのカードを見せる。
「私は何人ものセレクターの手に渡り、負け続けた。」
「それだけの願いが、無残に引き裂かれたのか─」
「ええ。そして、私は最後に最高のセレクターと、友達と出会えた。その娘は、バトルの才能はなかった。それでも、母親を助けたい一心戦い続けた。」
「でも、そのルールじゃ助けられないんじゃ!」
「ええ。でも、奇跡が最後に起きた。私の本当の力、セレクターの願いを書き換える力。その願いを私は反転させて、わざと負けた。プラスがマイナスに変わるなら、マイナスにマイナスを掛ける。そうする事で、私はセレクターの願いを叶えた。そして、その罰を受けて、カードから解放された。」
「─そうだったんだ。ごめんね、清衣ちゃん。何も知らないで聴いちゃって。」
「気にしないで。もう慣れたわ。」
清衣が話していると、
「皆さん、そろそろ町に着きます。買いたいものがあったら言って下さい。」
タルクの言葉が聞こえ、話を切りあげた。
町に着くと、町はお祭り騒ぎを起こしていた。
「すごい賑わい!」
なのはは驚く。
「それもそのはずです。ここはスピリッツワールド一の貿易の町ですから。」
タルクは説明する。
「とりあえず、ここなら欲しいカードは手に入りそうね。とりあえず、グリサン三枚と島々一枚頂戴。」
清衣が買い物をしていると、楽しい祭りは投げ込まれた火種で一変した。
「誰の仕業!?」
なのはは驚いて火種の飛んできた方角を見ると、モガが立っていた。
「貴方は!?」
トワレは驚く。
「エトシンモリ!そいつらがお前の呼んだ勇者か?弱そうだな。」
モガはトワレに言う。
「トワレさん、あの子は?」
「彼女は邪神皇の子孫です。でも、なんでここへ?」
「まあいい。私はこの地にある十二神皇を探しに来た!」
モガが高らかに言うと、
「そんなことの為に、こんなことをしたんですか!」
何者かがモガに言った。
「お前は何者だ!」
「私は天海春香!なんか知らないうちにここにいたアイドルです!とにかく、こんなことは辞めて下さい!」
「ならば、決闘だ!バトルアーマー、オン!」
モガはバトルアーマーを纏う。
「それなら私も、バトルアーマー、オン!」
春香もステージ衣装に変わる。
「「ゲートオープン!解放!」」
「私の先攻!クリスタニードルを2体召喚!ターンエンド!」
「私のターン!ラビィ・ダーリン2体とラン・ブレイセアを召喚して、アタックステップ!オンステージ!ラビィ・ダーリンをデッキの下に戻してプリティーガールにオンステージ!効果でドロー!」
ラビィの衣装はぼさっとした私服から若干小悪魔チックなアイドル衣装に変わる。
「更に、もう一体のラビィもオンステージ!効果でドローして、最初にオンステージしたラビィの効果発揮!今オンステージしたラビィにコアを追加!更に、ラン・ブレイセアもオンステージ発揮!ラン・ブレイセアをデッキの下に戻してオレンジスマイルへオンステージ!ラビィ2体の効果で合計2個のコアをランへ!」
「小型スピリットがいきなり強くなっただと!?」
翼は驚く。
「行きますよ!ランでアタック!マイユニット、発揮!ランの右隣にラビィを置いてクリスタニードルを破壊!」
ランとラビィの元気な歌声が起爆剤となり、クリスタニードルは破壊される。
「ライフでもらう!」
モガのライフは4になる。
「更にラビィでアタック!」
「それもライフで受ける。」
モガのライフは3になる。
「ターンエンド!」
「私のターン。バーストをセット!クリスタニードルを召喚。そして、出て来い!虚皇帝 ネザードバァラル!」
モガのフィールドにネザードバァラルが出現すると、最初に召喚されたラビィは消滅した。
「いきなりスピリットが消滅しただと!?」
翼は驚く。
「ネザードバァラルの効果、それは相手のスピリット全てのレベルのコストを一つ、増やす事。この効果でコアが2個乗っていないスピリットは、維持出来ずに消滅する。これで私はターンエンドだ。」
「私のターン!ランとラビィのレベルを上げてターンエンド!」
「私のターン。幻龍シェイロンを召喚。効果で相手のスピリット全てのコアを一つになるように除去!」
ラビィとランはコアが一つになり、ネザードバァラルの効果でレベルが0となり消滅する。
「今はターンエンドだ。」
「私のターン!良し、これなら!レイ・オーバを召喚!」
「その程度か?それで何が出来る?」
「まだ、これからです!レイの召喚に成功したことでこのカードをコストを支払わずに召喚します!召喚![聖剣乙女]ジャンヌ・ドラニエス!」
春香は更にスピリットをノーコストで召喚した。
「ジャンヌの効果発揮!レイとジャンヌ以外が私のフィールドに居ないとき、相手を全て手札へ戻します!」
「その程度か。バースト発動!デッキからカードを二枚ドローし、黒骸龍シャドルガーを召喚!」
「あんなカードまであったなんて。ターンエンド!」
「だろうと思った。私のターン。ふむ、これは面白い。来るんだ!骸を束ねし龍王。生ある者を骨の髄まで砕け!召喚、辰の十二神皇ウロヴォリアス!」
モガは、ついにキースピリットを召喚した。
「召喚時効果発揮!封印!ソウルコアを私のライフへ!」
ソウルコアがライフへ行き、モガのライフは4になる。
「今はターンエンドだ。」
「よかった。それなら私のターン!」
「ウロヴォリアスの封印時効果、呪縛!」
モガの宣言によってレイとジャンヌに紫の龍が巻き付く。
「相手の各ステップ開始時にコアを一つトラッシュに消し去る。まずはスタートステップ!レイのコアを除去!コアステップに再びレイのコアを除去!」
ウロヴォリアスの効果によってレイは消滅する。
「ドローステップにジャンヌのコアを除去!リフレッシュステップにジャンヌのコアを除去!メインステップ!ジャンヌを消滅させる!」
春香のフィールドは、ウロヴォリアス一体の効果によって、壊滅してしまった。
「そんな…私のスピリットが…」
「どうした!この町を守るんじゃなかったのか?」
「そうだよ。私はまだ諦めない!ラン・ブレイセアを2体召喚!更にポロン・サジータを召喚してアタックステップにオンステージ発揮!ポロンをクリムゾンシューターへオンステージ!そしてポロンでアタック!マイユニット発揮!ラン2体をポロンの両隣に並べてウロヴォリアスとシャドルガーを破壊!」
ポロンの持つ弓型のビーム砲から放たれた攻撃でウロヴォリアスとシャドルガーは破壊される。
「すごい!十二神皇を倒した!」
なのはは喜ぶ。
「ソウルコアで受けよう。」
モガのライフは3になる。
「2体のランでアタック!」
「片方はライフで受けよう。」
モガのライフは2になる。
「だが!アクセル発揮!戊の四騎龍ブラックライダー!効果でトラッシュのウロヴォリアスを復活!」
「そんな!」
「そしてウロヴォリアスの効果でソウルコアをライフに!」
モガのライフは再び3になる。
「今回もライフで受けよう。」
モガのライフは2に戻る。
「呪縛!エンドステップにランを一体消滅させる!」
「ターンエンド!」
「私のターン!クリスタニードルを召喚!そして、水晶龍アメジスト・ドラゴンを召喚!」
モガはアメジスト・ドラゴンを召喚し、クリスタニードルを消滅させる。
「召喚時効果発揮!出て来い!異魔神ブレイヴ、悪龍魔神!」
モガは特殊なブレイヴ、異魔神ブレイヴを召喚する。
「ウロヴォリアスとアメジスト・ドラゴンを、悪龍魔神に合体!」
悪龍魔神の両手からエネルギーの鎖が現れ、ウロヴォリアスとアメジスト・ドラゴンに合体する。
「アメジスト・ドラゴンでアタック!悪龍魔神の追撃!ランのコアをリザーブにシュートしてドロー!」
合体スピリットの効果でランは消滅する。
「更に、アメジスト・ドラゴンのレベル2の効果!ブレイヴの効果で相手のスピリットを消滅させたことでライフを一つ砕く!」
アメジスト、ドラゴンの効果によって春香のライフは4になる。
「そんな!マジック、ディーバシンフォニー!アメジスト・ドラゴンと悪龍魔神の合体を解除して、アメジスト・ドラゴンのBPをマイナス7000!」
「だが、それでも1000は残る!」
「でもライフで受けます!」
春香のライフは3になる。
「でも、これでウロヴォリアスのアタックでもライフはゼロにならないです!」
「ウロヴォリアスのアタックでは、な。ウロヴォリアスでアタック!悪龍魔神の追撃!手札からコスト4以下のスピリット、ミーアバットを召喚!」
「そんな!」
ウロヴォリアスのアタックで春香のライフは1となり、
「トドメだ。ミーアバット!」
ミーアバットのアタックで春香のライフはゼロになる。
「さて、探すとするか。」
モガは去って行く。しかし、立ち止まり、
「見つけた!この地に居たのはお前だったのか。エグゼシード!」
モガは午の十二神皇を拾い上げる。
「この地にもう用は無い。さらばだ。」
モガは砂嵐の中に消えていった。
次回予告
春香ちゃんも仲間にした私達。十二神皇の手がかりを探している時にあるものを見つけて…次回『ソウルスポットの試練』ドライブ・イグニッション!
今回のキーカード
トワレ「タルク、今日は辰の十二神皇ウロヴォリアスについて説明します。」
タルク「はい、トワレ様。」
トワレ「ウロヴォリアスは十二神皇が持つ封印を召喚時に使ってリザーブのソウルコアをライフに置きます。」
タルク「それでは、紫でありながらライフを回復出来るのですね!」
トワレ「ええ。更に、相手のターンに特殊なキーワード効果、呪縛を発揮。各ステップごとに相手のスピリットかリザーブからコアを一つ、トラッシュに送ります。」
タルク「では、事実上コアステップでコアがトラッシュに置かれるようなものですね。」
トワレ「その通りです。ウロヴォリアスの効果はこれだけではありません。レベルが上がりますと、自分のターンに破壊された神皇か十冠一体につき、相手のライフをボイドに送ります。」
タルク「では、相手のターンでスピリットを、自分のターンでライフを消すのがウロヴォリアスの戦い方なのですね!」
トワレ「その通りです!それでは、次回もよろしくお願いします。」
後書き
春香のデッキ紹介
ラン・ブレイセア ×3
ラビィ・ダーリン ×3
ノア・フルール ×3
ポロン・サジータ ×2
レイ・オーバ ×2
オレンジスマイル ×3
プリティーガール ×3
クリムゾンシューター×2
輝き天女 ×2
エターナルアイドル ×3
聖剣の乙女 ジャンヌ ×1
簪 ×3
トワイライト・ファンタジア×3
ディーバシンフォニー×2
戦乱魂歌 ×3
シンフォニックバースト×2
モガのデッキ紹介
アグラヴェイン ×1
シェイロン ×2
クリスタニードル ×3
サードアイズスネーク×2
ネザードバァラル ×3
シャドルガー ×2
アメジストドラゴン ×2
ルインイール ×1
ミーアバット ×2
ムルシエラ ×2
ホワイトライダー ×3
ウロドラ ×2
ブラックライダー ×3
ジェットザリッパー ×2
悪龍魔神 ×3
マークオブゾロ ×2
封臨禍斬 ×2
インフェクション ×3
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