赤ちゃんが欲しい
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第五章
「そこまで努力をすればな」
「授かるものですか」
「アッラーはいつも見ておられるのだ」
ここは強く言ったムワッヒドだった。
「全てはアッラーが定められるな」
「だからですか」
「アッラーは自ら動くものを助けられるのだ」
「だからシャハラザードの様にして、ですね」
「努力すればな」
「アッラーが恩恵を下されるのですね」
「そういうことだと思う、それではだ」
ここまで話してだ、そしてだった。
ムワッヒドはハムディにだ、こうも言ったのだった。
「これからもだ」
「二人目も三人目もだ」
「努力をし続ける」
「アッラーの恩恵を受けるのだ」
「子供は恩恵だからこそ」
「わしは百人もの恩恵を授かったのだ、いや」
己の言葉をだ、ムラッヒドは訂正した。そのうえであらためて言う言葉はというと。
「百一、そしてだ」
「百二人目のですね」
「懐妊の話があったな」
「そのお二人もですね」
「アッラーの恩恵だ」
満面の笑顔でだ、ムワッヒドはハムディに話した。
「そうなるな」
「そうですか」
「ではだ」
「これからもですか」
「アッラーの恩恵を頂こう」
自ら励みそのうえでというのだ。
「是非な」
「何かそう聞きましても」
「女を楽しんでいる様に見えるか」
「実際に否定しませんね」
「十五で子をもうけたのだぞ」
ハムディに顔を向けて笑っての返事だ。
「その誕生日に生まれたのだ」
「つまり十四の時にですね」
「懐妊の話を聞いた、正妻からな」
「よく結婚出来たものですね」
その歳でtだ、ハムディはそこに突っ込みを入れた。
「色々とあったそうですが」
「ははは、子供は作れる様になれば作りだ」
そしてというのだった。
「作れる限りはだ」
「作っていく」
「アッラーの恩恵を受けるべきなのだ」
まさにそれをというのだ。
「女が好きなのは恩恵を受ける為にはいいことだ」
「では今宵も」
「百二人目で満足はせぬ」
そして楽しみを捨てることはしないというのだ。
「今夜もだ」
「では私も」
「二人目を授かるのだ、いいな」
「わかりました」
ハムディも頷き二人目を授かる為に励むことにした、子供が欲しかった彼だが主の話を聞いて二人目も欲しくなった。
そしてだ、主にこう言ったのだった。
「私も子供は幾らでも欲しくなりました」
「そうあれ、アッラーの僕ならばな」
今夜のことを楽しみにつつムワッヒドも言う、彼もまた執事長と同じ気持ちであった。
赤ちゃんが欲しい 完
2016・6・16
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