聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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738部分:第百十一話 鮮血の嵐その四
第百十一話 鮮血の嵐その四
「それを受け止められるならば」
「強いですか」
「そういうことだ。ましてだ」
ミシェイルは言葉を出していく。彼は最後の力をそれに注いでいた。まるでそれこそが己の最後の責務であるかのようにである。
「貴様等の運命は戦いの中にある」
「はい、確かに」
「それ以上に過酷な運命はない」
ミシェイルはさらに述べる。
「それを受け入れるか」
「喜んで。それもまた」
「やはり強い」
今度は一言であった。
「果てしない戦いを受け入れるというのならばだ」
「私もまた多くの戦いを経てきました」
それは今の命だけの言葉ではなかった。
「しかし。それを辛いと思ったこともありません」
「何度も戦い命を落としていってもか」
「アテナの為、人々の為」
返した言葉は聖闘士の言葉であった。
「だからこそです」
「そう言い切るか。だからこそのなのかもな」
「だからこそですか」
「運命の神はそれに相応しい者を選ぶ」
ミシェイルはまたしても言った。
「相応しい者をだ」
「私はそれに相応しいというのですね」
「そういうことになる。貴様はその果てしない戦いを繰り広げる運命に相応しいのだ。貴様だけでなく他の黄金聖闘士達もまただ」
「そして教皇もまたですね」
「他の者かもそうかも知れない」
彼等だけではない可能性についても示唆した。
「我々もまた全て何度も蘇りアーレス様の下に集うのだから」
「それと同じですか」
「その通りだ。同じなのかもな」
こう言うのである。
「貴様等聖闘士もだ」
「左様ですか。我等全てはですか」
「我等八大公が戦うのは黄金聖闘士」
これはもう決まっていることだった。運命においてだけではない。それを決めているのは実力もあった。八大公と黄金聖闘士はまさに互角であるからだ。
「そうだな」
「はい、それはその通りです」
「では。そういうことになる」
また言う彼であった。
「貴様等は全て運命の中にあるのかも知れぬ」
「成程」
「では私はまた」
アフロディーテはここまで聞いてだ。再び足を前に動かした。そうしてそのうえでだ。前を見据えそのうえで玄室の向こうの廊下に向かっていた。
だがミシェイルはその彼にもだ。さらに言うのであった。
「ピスケスよ」
「はい」
また足を止めたアフロディーテであった。
「何でしょうか」
「次に戦う時はこうはいかん」
「そうですね。今は私が勝利を収めましたが」
「私は必ず貴様に勝つ」
それは確固たる信念に基づく言葉だった。例え今は死が迫っていようともだ。
「楽しみにしておくことだ」
「また。闘いましょう」
アフロディーテもそれに応えて述べた。
「それでは」
「うむ」
最後に頷いてだった。ミシェイルはもう一方の膝もつきがくりと頭を垂れた。それで全ては終わりだった。彼は遂に倒れたのであった。
アフロディーテはそれを見届けてからまた先に進むのだった。そして次の戦いに向かう。彼の戦いはこれで終わりではなかった。
その闘いを見ていたのはである。彼等だった。彼等はアフロディーテとミシェイルの闘いも見てだ。そのうえでそれぞれ言うのであった。
「今度は戦いは聖闘士が強いな」
「勝利を収め続けているわね」
「思った以上にやる」
水面に映るその戦いを黄金の酒や林檎を傍に置いたうえでのやり取りだった。戦いを見ながらくつろいだものすらそこにはあった。
「そう言うべきだろうか」
「そうだな。そう言うべきだな」
「確かにな」
「危ういと思っていても」
それでもだというのだ。
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