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第二章

「大阪にね」
「大阪ね、それだったら」
「大阪だったら?」
「貴方には丁度いいんじゃないの?」 
 少し悪戯っぽく笑って彼に言った。
「あそこなら」
「僕東京生まれで東京育ちだけれど」
「そういうことじゃないの、だって貴方ストライプ大好きでしょ」
「その模様が?」
「だからよ、その模様はね」
「ああ、阪神だね」
 彼もここで気付いた。
「虎は黒と黄色のストライプだから」
「丁度いいじゃない」
 ユニフォームも縦縞だからだ。
「だったら」
「いや、僕阪神ファンじゃないから」
「ロッテよね」
「昔東京スタジアムが本拠地だったし」
 彼も私もアンチ巨人だ、東京にいるからといって巨人ファンとは限らない。彼より私の方がアンチで応援している横浜が負けていつも悔しい思いをしている。
「だからね」
「それ何時よ」
「大毎オリオンズの時代だよ」
「そんなのもうね」
「大昔だね」
「そうよ」
 私も彼も子供の頃だ、今はロッテオリオンズだ。
「それこそ」
「そうだね、けれどね」
「それでもなのね」
「その頃のことがあるから」
「貴方はロッテファンね」
「阪神は嫌いじゃないけれど」
 そfれでもというのだ。
「セ・リーグはあまりね」
「興味ないって言ってるわね」
「関西かあ」
「行きたくないの?」
「あまりね、関西には馴染みないし。それに」
「それに?」
「別れ別れになるから」
 私を見て言ってきた。
「だからね」
「そのことは解決案があるじゃない」
「ああ、そういうことだね」
「結婚する?」
「いいの?」
「そろそろって思ってたから」
 だからとだ、私は彼に言葉を返した。
「いいわよ」
「一番心配していたことが消えたよ」
「それは何よりね」
「じゃあ」
「入籍位は出来る時間あるでしょ」
「一ヶ月後だから」
「それならよ」
 その一ヶ月の間にとだ、私は彼に言った。
「転勤の用意にね」
「入籍して」
「私は退社するから」
 私の勤めている会社をだ。
「一緒に大阪に行くわ」
「ついてきてくれるんだ」
「当たり前でしょ、単身赴任をするにしても」 
 これも現実としてあるけれどそれでもだった。 
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