垢舐め
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第二章
「私から」
「あれっ、そうだったんだ」
「そうよ、そういえば何か扉の郵便入れ新聞とかチラシが詰まってたけれど」
「最近取るの忘れてたよ」
「忘れてたって」
「いや、忙しいから」
また左手で頭を掻きつつ言う、見れば掻いたそこからフケが出て髪の毛は脂べでべったりとしている、そして伸び放題の為目が完全に隠れていている。身体から臭い匂いもしている。
「そうしたことは」
「忘れてたの?」
「最近ね」
「そういえばさっきから思ってたけれど」
ここで妹は目を怒らせて兄に言った。
「このお部屋もお兄ちゃんも何?」
「何って?」
「お掃除してる?お風呂入ってる?」
「いや、忙しいから」
またこう答えた兄だった。
「仕事が」
「だからっていうの?」
「今日は休日だったけれど」
それでもというのだ。
「朝早くから夜まで働いて寝てだから」
「それでっていうの」
「掃除とかはね」
「お風呂も?」
「二週間に一回位かな」
「はい、何よそれ」
兄の話を聞いてだ、妹はいよいよ怒って言葉を返した。
「お風呂二週間に一回って」
「まだ寒いしね」
三月である、卒業式が終わった頃だ。
「だからね」
「それだけしか入ってないの」
「そうだよ」
「それで会社行ってるの」
「会社で時々シャワー浴びたりしてるけれどあっちでも研究室に箱詰めなんだよね」
「そういう問題じゃないでしょ、お掃除はちゃんとして」
彩加は兄に完全に怒って言った。
「お風呂も毎日入る」
「えっ、毎日って」
「そういえばお兄ちゃん家にいた時からずっとお掃除しないしお風呂も一週間に一回だけだったけれど」
「それ位でいいんじゃないかな」
「駄目よ、あと最近何食べてるの?」
「コンビニ弁当とかカップ麺とか」
兄は怒る妹にたじたじとなりつつ答えた。
「菓子パンとか」
「そういうのだけ?」
「お料理出来ないから」
「それも駄目よ、あと相変わらずビールと煙草もよね」
「最近煙草の量が増えて」
兄はさらに言った。
「一日三箱は」
「死にたいの?」
ここまで聞いてだ、妹の目は完全に汚物を見る目になった。
「お掃除しない、お風呂に入らない、身体に悪いものばかり食べてビールに煙草って」
「そこまで言う?死にたいって」
「不潔なのも健康に悪いし」
それにというのだ。
「そんな食生活と煙草ばかりとか」
「死ぬとか」
「早死にするわよ」
こう兄に言うのだった。
「まずはお掃除、そしてお風呂も毎日入って」
「お風呂もなんだ」
「清潔第一、それに身体にいいものをしっかりと食べて」
「お料理出来ないよ、僕」
何とか抵抗して言う。
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