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ハイスクールD×D ~赤と紅と緋~

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第2章
戦闘校舎のフェニックス
  第13話 悪魔、やってます!

 
前書き
ずいぶんと更新が遅くなりました。  

 
 チャリン。チャリン。

 早朝、走り込みをしていた俺の耳に自転車のベルの音が入ってきた。

「ほら、だらしなく走らないの」
「は、はい・・・・・・! ハーレム王に俺はなる・・・・・・!」

 俺の少し後ろには、息を切らせながら走るイッセーがおり、そのイッセーに、チャリに乗った部長が気合を入れていた。
 イッセーに「鍛えてくれ!」と言われてから、俺はイッセーに合わせたメニューを作り、イッセーは体力向上に励んでいた。
 アーシアの一件以来、己の弱さを痛感したイッセーは、強くなるため、さらに特訓に取り組むようになった。
 そこへ部長もイッセーを鍛えると言い出してきたので、現在のような状況になった。

「ぜーはーぜーはー・・・・・・悪魔って、意外に体育会系・・・・・・」
「ぼやかない。私の下僕が弱いなんて許されないわ」
「・・・・・・が、がんばります・・・・・・!」

 ただ、部長は俺以上にスパルタらしく、イッセーは早くも虫の息だ。
 そもそも、現在の時刻は朝五時前、とくに鍛えてきていなかったイッセーにとっては、キツいものがあり、悪魔としての特性がさらに拍車をかけていた。
 それでも、最初のころに比べれば、だいぶよくなっている。
 で、元々、早朝特訓を日課にしていた俺と千秋もついでに付き合っていた。
 そんな感じで、俺たちは二十キロ近く走り込むのだった。


―○●○―


「いい。悪魔の世界は圧倒的に腕力がものを言うの。イッセー。あなたの場合はとくにね」
「は、はい・・・・・・!」

 ゴールである公園に着き、ダッシュを百近くやった俺たちは、今度は筋トレに取り組んでいた。

「・・・・・・ぐっ・・・・・・ぐぅぅ・・・・・・」

 部長に背中を押されて前屈をやっているイッセーはかなりキツそうだった。
 かくいう俺は、それなりに体が柔らかいので、問題なかった──のだが、そろそろキツくなってきた。

「・・・・・・千秋・・・・・・気持ちは察するが、いまそれを行動に表さないでくれ・・・・・・」

 俺は千秋に背中を押してもらっているのだが、その千秋が不機嫌になっているのだ。それが行動に表れて押す力が強まり、限界を超えて背中を押されてしまって、体が悲鳴をあげていた。
 なぜ不機嫌なのかというと、イッセーがさっきから、背中を押している部長の胸が背中に当たるたびにいやらしそうに反応するからだ。

「・・・・・・そんなにいやなら、おまえが押すのを変わればいいだろ・・・・・・」

 俺がそう言うと、千秋は顔を赤くしながら、首を横に勢いよく振る。
 イッセーと体が密着するのが恥ずかしい──からではない。そのぐらいのスキンシップなら、千秋も流石に大丈夫だ。
 千秋が気にしているのは別のことで、それは汗の臭いだ──イッセーのではなく、自身の。
 だから、千秋はいつも、以前までは早朝特訓を終えると同時に長い時間をかけてシャワーを浴びるようにしていた。
 イッセーの早朝特訓に付き合うようになってからも、なるべくイッセーから距離を置くようにしていた。

「さて、次は腕立て伏せね」
「は、はいぃぃ・・・・・・」

 前屈が終わり、ヘトヘトなイッセーに俺はある提案をする。

「なあ、イッセー。千秋の前屈を手伝ってやってくれないか?」
「ちょっ、明日夏兄っ!?」
「ああ、いいけど」
「ええっ!?」

 俺の提案に千秋は顔を真っ赤にして慌て始め、イッセーがとくに気にすることなく了承すると、さらに慌てふためく。

「どうしたんだ、千秋・・・・・・あっ、そっか。いま俺、結構汗かいてたから、汗臭いかもしれないもんな・・・・・・」

 千秋の反応から、イッセーが自分の体臭を気にしだすと、千秋は慌てて否定する。

「だ、大丈夫だよ! そんなの全然気にしないから!」
「そ、そうか・・・・・・?」
「こいつもこう言ってんだから、おまえも気にするな」

 ということで、イッセーが押す形で千秋は前屈を始める。
 そして終始、千秋は自身の汗の臭いを気にして、顔を真っ赤にしていた。
 その光景を眺めながら腕立てをする俺に部長が言う。

「あんまり妹をいじめるものじゃないわよ」

 ちょっとした仕返しですよ。


―○●○―


「いいこと? あなたの能力は基礎体力が高ければ高いほど意味があるのよ」

 そう言う部長は、腕立て伏せに臨む俺の背中に容赦なく座っていた。
 マラソンやダッシュでヘトヘトであった俺は、正直言うと、腕が悲鳴をあげていた。
 でも──背中から伝わる部長のお尻の感触が最高だ!
 それにさっき、千秋の前屈の手伝いで背中を押してるときに、チラッと千秋のうなじが目に入ったんだ。少し汗で濡れていて、なかなかの色香を放っていたので、思わず凝視してしまった。

 べしっ!

「あうっ!?」

 突然、部長にお尻を叩かれてしまい、その場に突っ伏してしまう。

「邪念が入っているわ。腰の動きがやらしいわよ」
「・・・・・・そ、そんな・・・・・・この状況では、俺に潜むお馬さん根性がマックスになりますよ・・・・・・」

 ふと、部長が何かを探して周囲をキョロキョロと見渡す。

「そろそろ来るころなんだけど・・・・・・」
「へ? 誰か来るんですか?」
「あっ」
「すみませーん」

 聞き覚えのある声が聞こえ、そちらを見ると、バスケットを抱えたアーシアが走ってきていた。

「イッセーさーん、皆さーん! 遅れてしまって、本当に──あぅっ!?」

 アーシアは、初めて会ったときと同じように、盛大に転んでしまった。

「・・・・・・大丈夫かよ?」

 すでにノルマを終えていた明日夏が、苦笑いを浮かべながらアーシアに駆け寄って、手を差し出す。

「うぅぅぅ・・・・・・なんで転んでしまうんでしょうか······」

 そう嘆きながら、明日夏に手を引かれて立ち上がるアーシアの姿に、俺たちも苦笑いを浮かべてしまうのだった。


―○●○―


「どうぞ」
「ああ、どうも」

 ベンチに座りながら、アーシアが持ってきてくれたお茶をもらって一息つく。

「アーシア、どうしてここに?」
「部長さんに来るように、と」
「え? 部長。どうしてアーシアを?」

 アーシアのことで部長に声をかけるけど、部長はなぜかあさっての方向を眺めながら、何かを考え込んでいる様子で、俺の声に気づいていなかった。

「部長?」
「えっ? あっ、ええ」

 もう一度声をかけて、ようやく部長が気づいた。

「どうしたんです、部長?」

 気になって訊いてみるけど、部長は「なんでもない」と言うだけだった。

「それじゃあ、アーシアと一緒に行きましょうか」
「どこへ?」
「イッセーのお家よ」

 へ? なんで俺の(うち)へ?
 わけもわからず、俺たちは特訓を切り上げ、俺の(うち)へ向かうのだった。


―○●○―


「こ、これは一体・・・・・・?」
「・・・・・・段ボール箱だな」

 イッセーの家に着いた俺たちの視界に入ったのは、積み重ねられた段ボール箱だった。

「・・・・・・私の私物です」
「「えっ!?」」

 アーシアの一言に反応するイッセーと千秋。
 俺はすぐさま、どういうことなのかをだいたい察した。

「・・・・・・意外に多くなってしまって・・・・・・」
「アーシアのって!? 部長!?」
「そうよ。今日からアーシアはあなたの家に住むの」
「はいぃぃっ!?」
「ええぇぇっ!?」

 驚くイッセーと千秋をよそに、アーシアはイッセーに頭を下げる。

「よろしくお願いします」


―○●○―


 兵藤家のリビングにて、おじさんとおばさん──イッセーの両親と対面する部長。その両隣には、アーシアとイッセーがいる。
 俗に言う、家族会議が行われようとしていた。
 ちなみに俺と千秋は少し離れた場所で、目の前で繰り広げられる家族会議を見守っていた。
 緊張した空気の中、おじさんが口を開く。

「ア、アア、アーシアちゃ・・・・・・アーシアさんだったね?」
「はい。お父さま」
「ホホ、ホームステイをするにしても、うちより、他のうちのほうがいいんじゃないかねぇ・・・・・・?」

 話をまとめると、アーシアはいままで、旧校舎の一室で寝泊まりしていたのだが、流石にそのままなのもアレなので、部長がアーシアにどこかに下宿したいかと尋ねた結果、アーシアはイッセーのところへの下宿を希望し、部長がそのことで、いまおじさんとおばさんと交渉しているわけだ。

「イッセーさんは、私の恩人なんです」
「恩人?」
「はい。海外から一人でやってきて、一番お世話になった方なんです。そんなイッセーさんのお宅なら、私も安心して暮らせると・・・・・・でも、ご迷惑なら、諦めます・・・・・・」
「ああっ! ダメって言ってるわけじゃないのよ!? 部屋も空きがないわけじゃないし・・・・・・ただぁ・・・・・・」

 おじさんとおばさんの視線が、イッセーへと向けられる。

「うちには、性欲の権化とでもいうような息子がいるからなぁ・・・・・・」
「そうそう!」
「なぁっ!? 息子に向かってなんて言い草だ!?」

 実の両親からのあんまりな言い分に、イッセーが声を荒らげる。
 まぁ、実際、イッセーのようなスケベな男がいる家に、年頃の女の子をホームステイさせるのは、間違いが起きるかもしれないといろいろ危惧するのは当然ではある。
 けどまぁ、大丈夫だとは思うがな。流石のイッセーも、そこまでじゃない。もし、イッセーがそんな奴だったら、いまごろ、千秋とそうなってるはずだからな。

「では、今回のホームステイは、花嫁修業もかねて、というのはどうでしょうか?」
「「「「は、花嫁!?」」」」

 部長が口にした「花嫁」という単語に、俺とアーシア以外の全員が反応する。
 すると、途端におじさんとおばさんが涙を流しながら手を取り合う。

「か、母さん、こんな息子だから、一生孫の顔なんぞ拝めないと思っていたよ!」
「父さん、私もよ! こんなダメ息子によくもまあ!」

 すごい言われようだな。
 仮にイッセーと千秋が結ばれたときも、こんな反応をされたんだろうか?

「お父さま、お母さま。イッセーさんはダメな方ではありません」

 感無量になっている二人に、アーシアは最後のトドメを加えた。

「「ッ!」」
「な、なんていい子なんでしょう!」
「あ、ああ! リアスさん、アーシアさんをお預かりします! いえ、預からせてくださいぃぃ!?」
「ありがとうございます。お父さま、お母さま」

 ということで、アーシアの兵藤宅へのホームステイが決まったのであった。
 ふと、隣にいる千秋を見る。

「・・・・・・・・・・・・」

 なんか、真っ白になって固まっていた。

「ま、随分と差をつけられはしたが、まだ、チャンスはあるはずだ・・・・・・たぶん」

 曖昧なフォローに怒って打ち込まれた肘打ちを避けながら、未だに困惑しているイッセーを連れて、アーシアの荷物の取り入れに取り掛かるのだった。


―○●○―


「アーシア・アルジェントと申します。慣れないことも多いですが、よろしくお願いします」

 兵藤家へのアーシアのホームステイが決まった次は、アーシアが俺たちのクラスに転入してきた。

『おおおおおおおおおおっ!』
「金髪美少女ッ!」
(バスト)82、(ウエスト)55、(ヒップ)81! グッッッド!」
『グッッッッッド・・・・・・!』

 アーシアが自己紹介を終えるなり、俺とイッセー以外の男子たちが一斉に叫び声をあげた。
 女子たちも、男子たちほどではないが、アーシアに興味津々な様子だった。

「私はいま、兵藤一誠さんのお宅にホームステイしています」
『何っ!?』

 アーシアの言葉を聞き、男子たちが一斉にイッセーの方を睨む。
 これはイッセーの奴、あとで尋問まがいの問い詰めを受けそうだな。

「えー、実はもう一人転校生がいるのですが、本人の都合で明日(あす)、このクラスに転入することになります」

 そんな中、担任の先生がそんな追加事項を告げる。
 もう一人?

「先生、女子ですか!?」

 男子の誰かが訊く。

「はい、女子です」
『おおっ!』

 そのことに、男子たちは歓喜の声をあげた。


―○●○―


 で、ホームルームが終わると、案の定、イッセーは松田と元浜を中心に男子たちに問い詰められていた。
 元浜が羽交い締めにし、松田が締め上げながらイッセーを問い詰める。

「どういうことだっ!? なんで金髪美少女とおまえがひとつ屋根の下にっ!?」
「なぜ貴様の鼻筋ばかりに、フラグが建つような状況がっ!?」
「俺が決めたんじゃねぇし!」
「じゃあ、誰が決めたんだよ!?」
『そうだそうだ!』

 他の男子たちも、いまにもイッセーに掴みかかりそうな勢いだった。

「落ち着けよ、おまえら。誰が誰の家に下宿しようが、それは当事者たちの勝手だろうが」

 俺がそう言っても、男子たち──とくに松田と元浜は、怒りの矛を収めない。

「そんなことで納得できるか!?」
「そうだ! なんであんな金髪美少女がイッセーなんかのところに!?」

 それはアーシアがイッセーに想いを寄せてるからだ──なんて正直に言ったら、怒りで我を忘れて、弾みでイッセーを殺りかねないな。
 まぁ、本人のプライバシーもかねて言わないがな。
 松田と元浜の怒声に、他の男子たちもヒートアップする。

「そうだそうだ!」
「あんな奴のところでもいいのなら、俺のところでもいいだろうが!?」
「そうだ! あんな奴でもいいのなら、俺でも!?」

 これは、おさまりそうにねえな。
 それとおまえら、そこで都合よく「イッセー《《でも》》」なんて言ってるが、「イッセー《《だから》》」って考えつかないもんかねぇ・・・・・・無理か。
 件のアーシアは、女子たちに囲まれて質問を受けていた。
 中には──。

「ねえねえ、アーシアさんの部屋って鍵付いてる?」
「? はい」
「お風呂やトイレは厳重にチェックするのよ」
「チェックですか?」
「そうそう。カメラとか仕掛けられてるかもしれないから」
「カメラ?」

 なんて注意を促している者もいた。
 イッセーも流石にそこまでしねぇよ──ていっても、日頃の行いでそう思われても仕方ねえか。

「クッソー! 明日(あした)来る転校生は、イッセーとはなんの関係もありませんように! ありませんように!?」

 松田がそんなことを祈り始めた。

「まぁ、流石にそれはないだろう。これ以上、イッセーの周りに美少女が増えることはあるまい。だが、それはさておき、あの金髪美少女とひとつ屋根の下になったことについて、詳しく話してもらおうか!?」

 この問い詰めは、休み時間にも行われ、結局、イッセーが解放されたのは、オカ研に向かう放課後になってからだった。


―○●○―


 今日の部活で、俺は木場に今日あった出来事を話す。
 あのあと、男子たちによる問い詰めは、次第に学年全体にまで広がり、ついには俺にまで矛先が向けられた。

「随分と大変だったみたいだね?」

 それを聞いて、木場は苦笑しながら言う。
 まったくだ。おかげで、休まる時間さえ全然なかった。
 その件のイッセーとアーシアはいま、外出している。
 イッセーのときもやったチラシ配りを新人眷属であるアーシアもやることになり、イッセーはその手伝いで、自転車に乗れないアーシアのために、自分が運転を担当して後ろにアーシアを乗せているわけだ。
 で、ふと、隣を見てみると、千秋が気が気じゃないといった様子で、落ち着きがなかった。
 堕天使たちがいなくなり、イッセーの身にもう危険はないだろうってことで、千秋の護衛は解任になったんだが、それでも、千秋は護衛を続けようとした──まぁ、気になっているのは別のことなんだが。

「ただいま戻りました!」

 イッセーとアーシアが、チラシ配りを終えて戻ってきた。

「やあ、お帰り。夜のデートはどうだった?」

 木場が出迎えて、冗談めかしくイッセーに訊く。

「最高だったに決まってんだろ!」

 親指を立てて答えるイッセーを見て、千秋はうなだれてしまう。

「・・・・・・深夜の不純異性交遊」

 塔城の厳しい一言に苦笑しながら、イッセーは部長のもとへ足を向ける。

「部長。ただいま帰還しました」

 イッセーは部長に帰還報告をするが、部長はボーっとしているのか反応がない。

「あのう、部長?」
「ッ!? ごめんなさい、少しボーっとしてたわ。二人ともご苦労様」

 またか。
 ここ最近、部長がいまみたいにボーっとしていることが多い。
 何か悩みでもあるのだろうか?
 そんなことを考えていると、部長がアーシアに言う。

「アーシア」
「はい」
「今夜はアーシアにデビューしてもらおうと思っているの」

 へぇ、もうか。ずいぶん早いな。

「デビュー?」

 きょとんとしているアーシアにイッセーが説明する。

「魔方陣から契約者のもとへジャンプして、契約してくるんだ──って、だいぶ早くないっスか!? アーシアはまだ悪魔になって数日しか経ってないのに」
「大丈夫ですわ。私が調べたかぎり、アーシアちゃんは眷属悪魔としては私に次ぐ魔力の持ち主ですもの」
「なっ!? マジで!?」

 副部長の言葉にイッセーは驚く。
 確かに、アーシアのあの回復能力の高さはなかなかのものだった。魔力の高さは頷けるものだ。
 アーシアは能力も含めて、『僧侶(ビショップ)』向きだったようだ。

「『僧侶(ビショップ)』としての器が存分に活かせるわね」
「すごいじゃないか、アーシアさん!」
「そ、そんな!」

 アーシアの能力の高さに、(みな)、アーシアを賞賛する。
 イッセーも誇らしげだったが、若干、複雑そうな顔をしていた。
 アーシアが優秀なのは素直に嬉しいが、先輩悪魔として複雑といった心境なんだろう。

「どうしたの、アーシア?」
「い、いえ。なんでもありません」

 だが、アーシアは自信がないのか、不安そうな顔をしていた。

「・・・・・・仰せつかったからには──」
「部長!」
「何?」

 アーシアの言葉を遮り、イッセーは部長に言う。

「今回は俺に行かせてください!」
「イ、イッセーさん?」
「ほら、アーシアはこの国に来て日が浅いだろ? もう少し生活に慣れてからのほうがいいんじゃないかな?」

 確かにそうかもな。
 アーシアは日本の生活に慣れてないうえに、教会出身で現代知識に欠けるところがある。もう少し、自信が出るようになってからのほうがいいかもしれない。
 過保護かもしれないが、自信がないうちに、もし失敗でもしたら、ますます自信を持てなくなってしまいそうだからな。

「そうね。あまり急過ぎるのもあれだし。わかったわ。イッセーに任せるわ」
「はい、部長!」

 部長に言われ、イッセーは気合いを入れ、部室から飛び出していった。 
 

 
後書き
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