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真田十勇士

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巻ノ六十七 関白秀次その十二

「人たらしでも太閤様程機転が利く訳でも動きが速くもないが」
「それでもですか」
「あの方はですな」
「そうした派手さはないですが」
「程よく様々な資質を持たれている」
「そうした方ですな」
「太閤様は創業の方でじゃ」 
 そしてというのだ。
「関白様は守成の方なのじゃ」
「むしろですな」
「あの方はそうした資質の方なのですな」
「だからですな」
「天下人としていい」
「そうなのですな」
「そうじゃ、あの方ならばじゃ」
 秀次だからこそというのだ。
「そう思う、是非天下人になってもらいたい」
「治部様、刑部様もおられますし」
「そのこともあってですな」
「是非、ですな」
「あの方が次の天下人ですな」
「そうなってもらいたい、先はわからぬが」
 それでもと言う幸村だった、そしてだった。
 幸村は十勇士達にだ、あらためてこう言ったのだった。」
「さて、都にも慣れて落ち着いてきたしな」
「だからですか」
「これからですか」
「御主達に頼むことがある」
 こう彼等に言うのだった。
「よいか」
「はい、何なりと」
「殿のご命令ならばです」
「我等火の中水の中です」
「何処へなりとも行きます」
「西国、ひいては天下の動きを見てもらいたい」
 こう言うのだった。
「行ってもらいたい場所は言うからな」
「天下の動きを見てですな」
「その動きを常に的確に把握し」
「上田の大殿、若殿にお知らせする」
「そうするのですな」
「そうじゃ、拙者がこの都にいる訳はじゃ」
 このことについても言うのだった。
「都で仕事をしてな」
「そして、ですな」
「天下の動きを調べ大殿、若殿にお知らせする」
「それだからこそですな」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「その為にな」
「わかり申した」
「それではです」
「我等天下を巡っていきます」
「そしてその動きを見てきます」
「そのうえで殿にお知らせします」
「その様にな、この都はな」
 ここはというと。
「拙者が受け持つ」
「殿がですか」
「そうされますか」
「ご自身が巡られ」
「調べられますか」
「うむ」
 そうするというのだった。
「是非な」
「この都の動きは激しいです」
「人の往来も多いですし」
「多くの大名の方々のお屋敷もあります」
「まさに都ですな」
「だからこそじゃ」
 そうした場所だからというのだ。
「拙者がそうしてな」
「調べられ」
「そしてですか」
「大殿、若殿にお知らせする」
「そうされますか」
「そうする、父上兄上にな」
 その二人にというのだ。
「お知らせするのじゃ」
「では我等は天下を」
「そして殿は都を」
「調べていきましょう」
「頼むぞ」
 確かな声で告げた、そしてだった。
 十勇士達はすぐに天下に散り調べていった、そのうえで。
 上田の昌幸、信之に知らせた。忍としても無事に動いていた。


巻ノ六十七   完


                    2016・7・30 
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