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干物女

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第七章

「ありのままの君でいいって言ってくれたのよ」
「それで素に戻った」
「そういうこと?」
「そうしたら凄く気に入ってくれて」
 それでというのだ。
「もういいかなってね」
「干物に戻ったの」
「そうなの」
「そう、私としてもこっちの方が楽だし」
 このこともあってというのだ。
「それでなのよ」
「干物モードに逆戻り」
「そういうことなの」
「勇斗さん自分で何でもしてくれて主夫タイプなのよ」
「それであんたは何でもしてもらって」
「干物に戻ったのね」
「そうなの」 
 つまりそういうことだというのだ。
「勇斗さんがいいっていうから」
「やれやれね」
「折角お洒落してたのに」
「雑誌だって随分読んで研究したのに」
「それが全部消えて」
「逆戻りなんてね」
「それでもいいじゃない」
 気力もあまり感じられない返事であった。
「勇斗さんがいいっていうのなら」
「それはそうだけれどね」
「あの亜衣実は何処に行ったんか」
「もう元に戻って」
「そのままでいるつもりなの」
「そうよ」
 まさにという返事だった。
「もうこれでずっといくわ、楽だし」
「最後の言葉は本音で」
「あんた的にも楽だからいい」
「だからもう干物でいく」
「そうするのね」
「そう、じゃあ授業までこうしているから」
 机の上にだらりと寝そべっているというのだ。
「寝るわ」
「本当に干物ね」
「干物女再び」
「全く、折角お洒落になったのに」
 それでもというのだった、そして。
 亜衣実はありのままの彼女に戻った、そのうえで勇斗とも幸せに過ごした。力を抜いて素のままでそうしたのだった。


干物女   完


                                 2016・7・22 
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