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STARDUST∮FLAMEHAZE

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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#29
  ETERNAL PUNISHMENT~PHANTOM BLOOD NIGTMAREⅩⅣ~



【1】


 同一の時間軸にて、繰り返される壮絶な死闘。
 絶える事のない轟音、大気の鳴動、大地の揺らぎ。
 シンガポールの首都全域を覆い尽くした封絶の中、
その破壊率は地図上に罅が入る程に増大し、
尚浸蝕を速め続けている。
 そんな苛烈と凄烈が螺旋のように絡み合う戦場で、
その一画は他と違う様相を呈していた。
 静寂、極めて静寂、無論他所からの残響は聞こえるが、
それ以外この区画で音を発するものはない、否、者はいない。 
 近代的なビルが立ち並ぶ都市の街並みがゴーストタウン、
或いは陸の孤島さながらに沈黙を保つ。
 忘れがちだが本来在る日常を喪失した異様、
それを更に捲りあげた異邦がこの空間に錯綜していた。
 ヴァジュンッ!
 突如、何の脈絡もなくレンガ造りの壁面が弾ける、
飛散する破片と残った穿孔。
 個人経営の事務所が入居したテナント、
自動ドア左脇から硝煙が立ち上った。
 その周囲に動く者はいない、否、
“いなかった” と表現するのが適当だろう。
 死の煙を上げる凶弾が狙っていた者、
優れた動体視力にも影としか映らない存在が
右方120メートル、ビルとビルの隙間に入り込んだ。
「……チッ、流石に狙いは正確のようね。
遠隔焔儀への対応は得意とする所だけど、
消音器(サイレンサー)付きのライフルなんか相手にした事ないから、
どうも勝手が違うわ」
「だぁ~から、せせこましいやり方で狭ッ苦しい場所なんか隠れず
真正面から突っ込グゲオァ!!」
 銅鑼声をあげる 『本』 の革表紙に、
それを肩にかける人物からのツッコミ、
もとい鉄拳が撃ち落とされた。
「シィ~、声で位置がバレたら何のために潜んでるか解らないでしょ……!
通常有り得ないけど 「真上」 や 「真下」 からも飛んでくるって
ノリアキが言ってたじゃない……ッ!」
 子供っぽい仕草だがそれすらも艶めいて、
長い栗色の髪を流す美女が小声で囁く。
「だから、鉛玉如きにビビる必要ねぇっての……! 
トーガ遣うか守備系焔儀展開させりゃ済む話だろ……!
どこぞの人形ヤローの “トリガー・ハッピー” じゃねーんだからよ……ッ!」
「 “ソレが” 飛んで来たらどうするの?」
 小声で話す魔狼を、美女の冷たい声が遮った。 
「ノリアキの話だと、「アノ銃」 は白と黒で
“二丁” 有ったらしいわ……
でも日本で消滅したのは一つだけ……
今回の敵は銃を使う……
ただの偶然だったら良いけどね……」
 美女に合わせて小声になっていた 『本』 が黙り、
ゴクリと固唾を飲む音が聞こえた。
 先述の銃が持つ 『能力』
王は無傷で済むがその契約者(フレイムヘイズ)、は……
「私が死んだら、ノリアキと「契約」して仇取ってくれる?」
「縁起でもねぇコト言ってんじゃあねぇ……! 
あんな酔い潰れて轟沈してる女にも手ぇ出さねぇような
クソ真面目ヤローと契約したら、好き勝手に暴れる事も出来ねーぜ……!」
 あくまで小声だが、強い感情を込めて 『本』 は言った。
 自分に向けられた死なら、それは却って狂猛な殺意を燃え滾らせるが
自分ではない “彼女” の死には、純粋に脅威を覚えた。
 でもその愛しき酒盃(ゴブレット)は澄ました顔で一言。
「あら? そうだったの? 起きたら裸だったからてっきり……」
「そりゃオメーが勝手に脱いだんだ……! 
ってか “イイ” のかよ!? それで……ッ!」
「別に……夢見がちな生娘じゃあるまいし、
ノリアキだったら別にイイわよ……
っていうか、殆ど私をそういう眼で見ないのよね、アイツ。
いつもニコニコしてるし……」
「だから戦場の直中で色惚けンなッ! 
っつか何でオレがそのツッコミ役ンなってんだよ!!」
 バギンッ!
 突如、頭上から重量一トンを超える、
大型のエアコン室外機が落ちてきた。
 強固に固められたボルトが精密に撃ち抜かれ、
傾いだ鉄塊がそのまま急速落下してくる。
 だがそれはマージョリーに影にすら触れる事なく、
路面へ衝突しグシャグシャに砕けてスクラップと化した。
「誰が、色惚けてるって? 
公私のけじめはきっちり付けるわよ。
私を誰だと想ってるの?」
「お、おう」
 不覚にも一点のみに意識が集中していたマルコシアスとは裏腹に、
マージョリーは狙撃がボルトへ着弾するより前に飛翔していた。
 さながら投石後の白鳥、射的前の白狼、
感知するモノが視力ではなく 「気配」 である故に、
先読みの如き身体運用を可能とする。
 スタンド能力を介しているとはいえ銃弾は銃弾、
裂ける気流、硝煙の匂い、微かな飛来音、
諸々を予備動作(モーション)として読みとるコトは、
一流のフレイムヘイズならさほど難しい芸当ではない。
「ほらほらッ! もっとしっかり狙いなさいよッ!
この私を堕としたければ、当てるならココよ! ココッ!」
 空を翔る紫眼の美女が、挑発するように示した場所はその眉間。
 此処より距離1200、高度88メートルの位置に潜む、
まだ視ぬ敵に告げる煽 動(アジテーション)
 この露骨な振る舞いに、スコープ越しに狭まる猛禽の瞳。
「今なら特別サービス! 
この “グリモア” の真ん中に当てたら、
30秒間止まってあげるわッ!」
「ギャーッ! 止めろ我が放逸の戯女マージョリー・ドー!!
意識だけでもイテーもんはイテーんだよッッ!!」
 女学生のような振る舞いで、快活に 『本』 を掲げる美女に
「チッ……!」
猛禽の瞳を持つ男、 『スタンド使い』 ジョンガリ・Aは吐き捨てた。
 美女の振る舞いにではなく、その 「意図」 に対して。
(露骨な陽動だが、それなりに効果は発揮している……
アノ女のスピード、身のこなし、歴戦の勘、
まるで射程距離のない『星 の 白 金(スター・プラチナ)』 だ……
闇 蒼 の 月(ダークブルー・ムーン)” とはよく云ったものよ……)  
 一度照準器から眼を離し、体勢を整えて別の 「標的」 に向ける。
 遠間からでも、鮮明に映る中性的な美男子。
 対照的にこちらは無言、気配も静かに建物の影へ身を潜ませ、
こちらの動向を窺っている。
 共通しているのは、どちらにも一切の隙なし。
 遮蔽物、死角の多い都市の街中では、目標の捕捉は困難を極める。
 一迅の戦風が、その中間を流れた。
 ジョンガリ・Aは、ソレを(つぶさ) に掴み取った、正確に 『感知』 した。
 そして今、互いの相対距離は1000、
ここから先は、その 「距離」 の取り合い。
 照準の射程をゼロにした者、或いは保ち得た者、
何れかが最終的な勝者となる。
 尚この場合、マージョリーが極大焔儀で付近一帯を
焼き払うという選択肢は除外される。
 相手のジョンガリ・Aはスタンド使いである以前に
超一流の狙撃者(スナイパー)
故に自分が 「狙撃」 されるのは本末転倒もいいところ。
 折角特定した位置から相手が「逃げる」のは
マージョリーにとっても大きな損失。
 確実に殺す為には、今の場所に “居てもらわなければ” 困るのだ。
 無論ジョンガリ・Aもその事は承知の上、
マージョリーが妙な素振りを見せれば
すかさず銃弾一斉掃射後の「転進」のため緊張感を研ぎ澄ませるも、
あくまで任務完遂のため、己の 『切り札』 に手を伸ばす。
「フン……空条 承太郎を始末するまで温存しておきたかったが、
仕方あるまい。“使う” か……」
 意識を窓の外に置きながら、
ジョンガリ・Aは背後に並ぶ無数の重兵器を見回した。
 殺戮の狂気で磨き抜かれた表面を一瞥した後、
倒錯に打ち震えた残虐な笑みを浮かべる。
 本当に優れた 『兵士』 とは、
万を越える一個師団を 「単独」 で壊滅出来ると云う。
 また、如何なる死地に於いても必ず生還し、
寧ろ戦場の凄惨さに比例してその潜在力を
発揮するとも()われる。
 嘗て軍の特殊部隊に属していたジョンガリ・A(名も無き者)は、
まさしくその地獄から生還を果たした真の兵 士(ソルジャー)
 一対二の状況、スタンド使いとフレイムヘイズの異能混成、
地の利の不完、以上を差し引いても、彼には “いつもの事” だった。






【2】


「銃声 (正確には着弾による反響音) が、しなくなった……
ボク達の接近を怖れてどこかに逃げたのか? イヤ、違う」
 他の場所で行われている激戦を鑑みれば
寧ろこちらが平穏と想える異邦の静寂。
 その中、花京院 典明は随時スタンドを出せる態勢を保って停止した。
 常人では気づかない、気づきようがない、空気の変化。
 得体の知れない危機が差し迫る、
冷水に濡れた手が直接神経を撫ぜ廻しているような、
異質な感覚。
 複数在る異能者の系統でも、
『スタンド使い』 にしか身に付かない特性では有るが、
幼き頃より幾多の死線を潜ってきた花京院の感覚は卓越したモノがあった。
 というより、この感覚がなければ今日彼は生きて此処に居ない。
 スタンドバトルは、第 一 撃(ファースト・ヒット)がスベテ。
『能力』 の解らない相手なら尚更、第三者の援護でもない限り、
一度極まってしまえば大抵はそのまま異能の喰いモノにされる。
 一見女性と見紛うような、中性優美な風貌を持つ彼だが、
歴戦の経験は戦場の猛者にも劣らない。
 惨苦叫喚相食む 「修羅場」 には似つかしくない姿だが、
裡に宿るその精神は(まさ)しく 『男』 で在った。
「――ッ!」
 突如前方から迫る、明確な殺意。
 常人では過程も結果も認識出来ずただソレに巻き込まれ絶命するのみだが、
花京院は意識よりも速く、躰に染み着いた動きで瞬時に背後、
射程安全圏内へと飛び去る。
 爆音。
 ただし “後方で”
 完全に回避したと想えた花京院の動作は、
逆にそのまま爆風への交差撃(カウンター)となり、
華奢な躰は飛び散る瓦礫に撃たれながら路上へと叩きつけられた。
 近距離での着弾音による聴覚へのダメージ、爆風による火傷裂傷、
受け身も取れずコンクリートに打ち付けた左肩は完全に関節が外れている。
「本体」 のダメージ=スタンドのダメージ、
相手の能力が解らない状態で厳しい先手を打たれた。
“ハメても” この戦闘中、左腕は使い物にならないだろう。
「……う……ぐぅ……バズーカ砲でも、撃ち込んできたのか?
でも 「気配」 は前方から来た……なのに何故 「後ろ」 が爆発する?
まるで全く 『逆方向』 から、もう一人の(スナイパー) が
狙撃したようだ……」
 無惨に損壊した、オフィスビルの2階。
 その破壊形状、散乱する瓦礫の模様から、
砲弾は前方から着弾したのではない、
明らかに “後方から” 貫通したものだ。
 しかし、そんな事は物体の 「慣性上」 有り得ない、
最新鋭の誘導機器を使っても、高速直線軌道を直角に捻じ曲げるような
追尾は出来ない筈だ。
 第一、 “遠隔操作能力” の熟練者(エキスパート)である自分が
同じ遠隔攻撃の軌道を見誤る筈がない。
 明らかに砲撃は前方から来た、
自分の周囲では着弾せず弾道は逸れたから
「測定射撃」 だと想った。
にも関わらず逆方向から爆風が来た。
 ブレる視界の中、改めて考察すると詳細は以上、
ならばコレが敵の 『スタンド能力』
“射撃の弾道を変えられる” 能力か?
速度と威力を落とさず、否、増幅させて。
 ならば、厄介以上に狡猾な能力だ。
戦闘に()けた者ならば、相手の攻撃予備動作に反応する、
“イヤでも反応してしまう”
しかし実際に攻撃が来るのは予測と逆方向、
意識の間隙を縫って裏をかかれると言い換えてもイイ。
 ならばコレは、“相手が強ければ強いほど” 有効な能力。
 初弾に対する「反応」が速ければ速いほど、
屈曲した弾道に意識は追いつかない、追いつけない。
「うぅ……ぐ……ッ! あぁ! うっ!」
 ゴグリと外れた肩を強引に嵌め込んで、
苦痛に神経を(さいなま) れながらも花京院は立ち上がった。
 自分はまだ戦闘の序盤、牽制を挟みつつ相手の動向を窺う段階だと
想っていたがとんでもない。状況は既にして最終段階(クライマックス)
敵は速攻で自分達を始末するつもりらしい。
(やはり “測定射撃” だ。 敵は、ジョンガリ・Aは、
“ボクで” 砲撃の着弾精度を 「計算」していたんだ……! 
“まだ知らない者を” 確実に葬るため……!)
 想定外の状況でも一部を(かす)めていた己の「理」
 しかし冷たい焦慮が心中を毟る。
(先刻からのライフルの狙撃。
明らかにミス・マージョリーの方に向けた数が多過ぎる……! 
接近に焦っていると見せ掛けて……
ライフル弾を簡単に躱せていたなら、
次は砲弾が 『逆方向』 から直撃する……ッ!)
「ミス・マージョリーッ!」
「なぁにッ! ノリアキッッ!!」 
 理由も解らず湧き上がった強い気持ちに、
あっさりとその対象が応えた。
 トン、と、ヒールの爪先、遙か頭上から舞い降りてきたとは
想えない軽やかな音を立て、蒼炎の美女が眼前に立つ。
 その表情は、体力の消耗とは全く別の焦燥に駆られていた。
 そして負傷した花京院の姿を認めると同時に、
世紀の美貌がみるみる凶悪に変貌していく。
「あンのクソヤロー……ッ! 
私に当たらないからってノリアキの方を……!
まださっきの傷が治ってないのに……!」
 黄金比のプロポーション、その全身から蒼い炎気が
バチバチと火花を伴って爆ぜる。
 裂ける寸前まで散大した瞳孔が貫くは遙か先、
その狂暴な視線を、猛禽の瞳がニヤリと(すが)める。
(ダメだ……! ミス・マージョリー……! 
その “怒り” こそが相手の 『狙い』 なんだ……! 
冷静さを失っては勝ち目がない……! 二人とも殺される……!)
 先の状況と違い羽交い締めにしても無駄、砲弾は意識の外から襲来する。
「本体」 剥き出しの近距離から、単純に弾道を曲げるだけの
皇 帝(エンペラー)』 等とはレベルが違う。
遙か遠距離から、弾の種類を選ばす、“二重の狙撃” を行うコトが可能なのだ。
 幾ら威力の在る焔儀(ほのお)でも、この 『スタンド能力』 の前には空回り。
熱くなればなるほど、その隙を突かれ発動前にあらゆる角度から狙撃される。
蒼 蓮 拾 参 式(ダーク・フェルメール)……」
 漏らした吐息にさえ蒼火が混じる激高の中、
嵐の前の静けさ、交差した美女の両腕が高々と天空に掲げられる。
 遠方より砲音、しかしソレがどの方角から跳ね返ってくるのかは
花京院にも解らず、美女はそのコトに気づいてさえいない。
“アルムブラスト・R”
ドイツ語でクロスボウを意味する対戦車擲弾発射器。
口径87㎜、発射速度410m/秒。
閉所でも機能的に運用可能なその砲身から射出された成形炸薬弾 (HEAT) が、
唸りをあげて迫る秒速の(まにま)に、花京院は乾坤一擲の想いで叫ぶ。
「トーガッッ!!」
「――ッ!?」
 既に練成完了、発動の体勢に入っていた閃熱焔儀が両手から消えた。
 即座に解けて、使える要素は残したまま再構成される存在力。
 アスファルトの上に浮かぶ蒼き法陣、鏤む火の粉に絡まる翡翠燐光。
 二つの存在が融け合って輝きに成ると同時に、
頭上右斜角から物理慣性を捻じ曲げて加速した砲弾が
力 積(インパルス)と共に爆裂した。





 ヴァッッッッッッグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ
ォォォォォ―――――――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!




 猛禽の王、鷹の嘴の如く歪む口唇。
 スコープ越し、第 一 任 務(ファースト・ミッション)完了を確信した狙撃者は、
次なる獲物を狩るため陶酔を醒ます。
 束の間とも言えぬ微かな休息、
アノ御方の姿を一瞬だけ脳裡に過ぎらせた刹那、
完全無欠の兵士は想わず我が眼を疑った。
 鋼鉄の理性を介さずズームアップされる照準、
立ちこめる黒煙、裡に孕む炎、
視界越しでも焦げた匂いが鼻腔に焼きつく破滅の光景。
 ソレを背景(バック)に、無数の獣が爆心から飛び出してきた。
 先刻視た、獰猛と諧謔を折り合わせた異形の獣。
総数13体それぞれが砕けた翡翠の破片で彩られ、
神秘と酔狂が入り交じった風采を醸し出している。
 爆轟波で大きく飛び上がった獣の貌が、
絞った照準を埋め尽くすほどに迫った。
 ノコギリのような牙、刻印のような瞳、刃のように尖った毛皮、
無欠の兵士はスコープから眼を離さず照準のみを換える。
 再度俯瞰、飛び出した13体の獣は
それぞれ2匹ずつの 「組」 になり路面に着地。
姿形も全く同一の6組はそのままバラバラの方向へ駆け出し
路上の隙間や建物の中に消える。
 最後にあぶれた一匹が、しきりにキョロキョロと周囲を見回した後
頬まで裂けた口を大きく開いて笑い、多量の火の粉を撒き散らして消えた。
 爆破衝撃による跳躍、驚愕の虚を突かれた疾走により縮まった距離200。
これで残り800。窮地を逆手に取った花京院の機転、
やはり侮れないのはこの男だとジョンガリ・Aは口中を軋らせる。
 先刻、完全予測不可能な方向から迫る砲弾に花京院が放ったのは
周囲を円環(リング)状に回転する翡翠流弾、
サークリング()エメラルド()スプラッシュ()
 片手しか使えないので威力も精度も通常より劣るが、
襲い来る砲弾を「誘爆」させる位は充分に可能。
コレによりマージョリーへの直撃を避け、
残った爆熱と衝撃はトーガに拠って和らげる。
 更に花京院の巧みな処はこの着弾の瞬間、
ジョンガリ・Aからすれば「暗幕」となる一時、
下方に向けて『E・S (エメラルド・スプラッシュ) 』を放ち、
その反動を爆風のエネルギーと組み合わせてトーガごと上昇(ゲイン)した点だ。
 このコトにより互いの射程を縮めるのみならず、
立ち込めた黒煙によりトーガの “シャッフル” が
ジョンガリ・Aには解らない。
 並外れた動体視力を持つスタンド・スナイパーと云えど、
目視できないモノは判別出来ない。
 故に、花京院とマージョリーを仕留める確率は六分の一、否、
二人一組と言ってもバラバラに動いている可能性があるので
確率は更に落ちる。
 数え切れない地獄の中で練磨した暗殺技術、
それが逆に自分の首を絞める結果になってしまったコトに、
ジョンガリ・Aは無言で屈辱に打ち震える。
 最早、後先の事を考えている余裕は無くなった。
 空条 承太郎は確実に殺すが、今は全力を以てこの二人を始末する。
 略奪、強姦、隷属、蹂躙、果ては無差別な大量殺戮。
人類未曾有の 『禁忌』 が当たり前の 「日常」 であった兵士の瞳が、
ソノ時と寸分違わぬ色彩(いろ)に変貌した。
 その様相は正に、地獄の淵で悪鬼の臓腑を抉り啄む、
“闇の鷹” そのものだった。


←TOBE CONTINUED… 

 
 

 
後書き


はいどうもこんにちは。
気になる人もいると想うので書いときますが、
「彼」は『3部のジョンガリ・A』なのでまだ眼が「見えて」います。
だからスタンドではなく『兵器主体』の攻撃を仕掛けてくるのです。
基本「ジョジョ原作」となるべく違えないように描いてるので
(まぁラバーソウルが○されちゃったりしてますが・・・・('A`))
『並行世界』のように細かい部分は違っても「全体としては」
大体同じ『運命』になるようにしています。
故に約20年後、彼が生きているとして
戦う相手は徐倫ではないかも知れませんが、
彼が「失明」していて「復讐」に燃えているという運命は
変わらないと想います。
しかし「誰」と戦うコトになるのか、ソレは今は存在しませんが
もしかしたら『アノ娘』かもしれませんねぇ~・・・・('A`)
ソレでは。ノシ 
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