仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~
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序章~全ての始まり、守護者の刃~
第1章誕生!最強ライダー編
第16話『シャープ♯守護者イン・ザ・ワールド』
『みんな、儚いって漢字は、人に夢って書くんだぜ。人の夢は儚いだなんて、皮肉が効いているよな。俺達が今から出会うこいつの旅も、虚しく儚いモノだな。』
「なるほどな、状況は解った。」
新たな世界を映した絵巻を読み、雅はそう言った。
「雅さん、次の世界はどんな仮面ライダーが居るんですか?」
圭一は雅に聴く。
「仮面ライダーキバの世界。どうやら戦いが全て終わった後の事のようだ。この世界のライダーは3人。まずはこの世界の主人公、紅渡さんが変身する仮面ライダーキバ。渡さんは、一晩で何億もの大金を稼ぐバイオリニストの父親と、この世界の怪人ファンガイアの女王の間の産まれた人で、2つの種族の掛け橋になった人なんだ。それから、悪人退治をする傍らで機械の鎧を纏って戦う仮面ライダーイクサ。そして、渡さんのお兄さんが変身するダークキバ。最初はファンガイアは人間の事を家畜としか思っていなかった。でも、渡さんがイクサに変身する名護さんと、ファンガイアの王である大牙さんを説得して、二つの種族の争いは終わったんだ。でも、この絵巻を読んでみたところ、人を襲うファンガイアが再び現れたらしい。僕とフェイトで今から渡さん達に合いに行く。圭一達には買い出しを頼みたい。そろそろガストコンロを替えた方がいいかもしれない。よろしく頼む。」
雅はフェイトをマシンディローダーの後部に乗せ、カフェ・マルダムールに向かう。
「多分、渡さん達はここに居るはず。」
「雅、どうして解るの?」
「基本的に、イクサのシステムを作った組織、素晴らしき青空の会は作戦会議をする時にここに集まっているんだ。さて、入るか。」
二人は店に入る。
「嶋さん、それは本当ですか!?」
店内に入ると、一人の青年が壮年の男性にそう言った。
「名護君、落ち着くんだ。大牙も、状況を説明してくれ。」
「その話、僕達にも詳しく聴かせて下さい。」
その男、素晴らしき青空の会の会長、嶋護の話を聞いた雅はすぐ飛びつき、テーブルの近くに立っていた。
「君達は何者だ。私達の話を聴く必要は無い。」
先程嶋に話していた青年、名護敬介が雅にそう言うと、
「そう頭ごなしに言わないで下さい。僕達も、聴く必要の無い話に割って入る気はありません。」
雅は名護にそう言う。
「そんな事はありえない。君達のような子供はこんな所で大人の話に口を出す必要は無い。」
「それは、僕が仮面ライダーでも、ですか?名護さん?」
話を聞こうとしない名護を相手に雅はディロードライバーを取り出した。
「仮面ライダー?何の話だ。そんな玩具には騙されない。」
名護はディロードライバーを取り上げようとするが、雅は軽やかなステップで避ける。
「何をする気ですか。あなたが触れれば、ここ一帯が焼け野原になる所だったのですが。」
「なら何故、そんな危険な物を持っている!早く捨てなさい!」
「出来れば苦労しません。それに、こんな風に怪物退治をする必要もありません。それが出来ないから、これを失う為に戦っているのですから。」
「何の話だ。」
「漸く話を聴いて貰えました。僕達も、渡さんや名護さん、大牙さんと同様に人々の平和の為に、世界を旅しながら悪と戦っている身で、今は人を襲うファンガイアを追っているのです。それで、キバとファンガイアの王、そして素晴らしき青空の会が集まっている今を狙って話をしようと思ったのです。」
「なるほど。嶋さん、どうしましょう?」
「話に混ぜなくても、彼らは独自で調べるだろう。そうなれば大牙にも迷惑がかかる。話にいれよう。君達、名前は?」
「僕は凪風雅、またの名は仮面ライダーディロード。隣にいるのは僕のサポーターの」
「フェイト・テスタロッサです。私達がここにいる間、ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。」
雅とフェイトは自己紹介をし、椅子に座る。
「さて、話が大分逸れた。大牙、改めて説明してくれ。」
「ああ。あれから3ヶ月、俺達ファンガイアは人を襲わず我が社で開発した人工エネルギーを採ることで人間社会に溶け込んでいった。だが、半月ほど前から、俺達の計画から離反したファンガイアがいる。最初は奴一人の戯言だったが、段々と賛同者が増え、今では五千人に増えている。」
「大牙さん、その主犯は?」
「既に調べは済んでいる。ビーストクラスに所属している『球体が催す、狂喜と酒池肉林の宴』、ウルフファンガイア。奴は人間体の姿として、神谷 露と名乗っている。神谷は、我々ファンガイアに取って害悪を及ぼしていた。だから俺達の世界から追放したが、こちらで犯罪に手を染めていたらしい。とにかく、今回の件は俺達ファンガイアに責任がある。頼めた義理では無いが、協力して欲しい。今の奴は、俺一人では解決出来ない。」
「大丈夫です大牙さん。僕達もそのつもりで来ました。」
「雅は、これまで三つの悪と戦って来ました。安心して下さい。」
大牙の頼みに雅とフェイトは応える。
「ありがとう。まだ幼い君達を戦いに巻き込んでしまい、済まない。」
「こちらこそ、こんな見ず知らずの子供を信用していただき、ありがとうございます。」
雅と大牙は互いに握手する。
「それで、これからの動きだが、神谷露が動くまでこちらは下手な動きをしない方がいいだろう。凪風君も、自分が戦士として戦っている以上解るだろう。」
「相手の挑発に載った方が負け──というわけですね。ですが、もし先に相手が仕掛けて来た時は、いかがいたせば?」
「その時は、殺す事無く自警してほしい。」
嶋は渡達に伝える。
「解りました。僕達は、これから家に居る子達の様子を見るために一度帰らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、問題無い。」
「ありがとうございます。マスター、ご馳走様。」
雅は自身の会計を済ませて出て行った。
「さて、彼のことはどう思う?」
「僕は、真面目な人だと思います。」
「私も、渡君に同じだ。」
「俺は、少し危ないと思う。」
「大牙、どうしてだ?」
「何故、あそこまで他人の事に気を使えるのか気になった。」
「まあ、それはおいおい聞くとして、戦力の上昇は大きな一歩だ。」
嶋は、雅達が去った後で渡達に質問していた。
「とりあえず、まずはいい出だしだ。」
雅は、マシンディローダーを押しながら歩いて進む。
「そうだね。でも、なんだか気味が悪い。」
フェイトはそう言う。それもそのはず。街には、『ファンガイアに人権を!』『人に裁かれるファンガイアに愛を!』『ファンガイアを差別する人間は危険な民族』などのプラカードを持ったファンガイアによるデモ活動が至る所で行われていた。
「だと思う。僕も嫌な気持ちだ。でも、これは仕方のないことだ。異なる種族が同じ土地に生きることは、出来ないんだ。」
雅がフェイトと話していると、いつの間にかファンガイアに囲まれていた。
「雅、どうするの?」
「ディロードの力じゃファンガイアを倒してしまう。それなら!」
【CHANGE RIDE-ACCEL DRIVER-】
雅はディロードライバーをアクセルドライバーに変化させる。
<トライアル!>
「変身!」
雅はトライアルメモリを使い、仮面ライダーアクセルトライアルに変身。
「全力で振り切らせてもらう。」
高速で動き、その軽いダメージで近づくファンガイアを気絶させていった。
「フェイト、もう大丈夫だ。」
雅は変身を解除し、フェイトと供にその場を去る。
翌日、フェイトはカフェ・マルダムールで驚いていた。何故なら、全ての新聞が昨日のファンガイアによる襲撃事件を捏造し、『人間によるファンガイアへの無差別暴行傷害発生!協定決裂まであとわずかか?』と大きな見出しで載せていたからだ。
「やはりそうなったか。」
「雅、なんで落ち着いているの!?」
「考えみるんだ。別の種族と共存しようとすれば、まず相手はマスメディアに入り込んで、捏造記事を載せる。長い間信頼されてきたそれらを国民は疑わず、いずれそのせいで肩身が狭くなり、国は乗っ取られる。僕の住んでいた世界でもそれはあって、おかげで僕の民族はそいつ等に根絶やしにされる寸前まで追い込まれたんだ。」
「待って、雅の住んでいた世界には、怪人みたいな敵はいないって──」
「僕がいつ、怪人がやったって言った?その主犯は僕達の国の隣国の奴らだ。解るか、フェイト?同じ人間でもこれだけ争うんだ。人間とファンガイアが共存しようとすればいずれこういう事件は起きるものだ。」
「でも、雅が本当の被害者なのに、雅が悪者にされて襲って来たファンガイアが絶対的な被害者になっている。」
「本当、手口がかの国のやり方と一緒だな。フェイト、今は怒りを抑えるんだ。そうしないと、奴らの思うツボだ。」
「──解った。」
フェイトはしぶしぶ頷いた。
「雅君、迷惑をかけて済まない。やはり、俺のやり方は甘かったのだろうか。」
大牙は、雅に謝った後にそう言う。
「そう言わないで下さい。大丈夫です。こういう事にはもう慣れましたから。」
「そうか。」
「それでは、今日はこの辺で。」
「気をつけるんだ。多分雅君達は狙われている。」
「解っていますよ。」
雅とフェイトは、転移魔法ですぐ帰っていった。
更に翌日、新聞の一面は『ファンガイアによる被害者、半月で3000に』となっていた。
「やられた!これは悠長な事は言っていられない。行こう、フェイト!」
雅は、フェイトと二人で出て行った。
to be continued
次回、仮面ライダーディロード
ついに始まる人とファンガイアの抗争。果たして、治める術はあるのか!?
次回『フォルテッシモ♬過去からのメッセージ』ウェイク、アップ!運命の鎖を解き放て!
後書き
新カード紹介
アクセルドライバー:ディロードライバーをアクセルドライバーに変化させることで、雅を仮面ライダーアクセルに変身させるためのカード
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