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Fate/Night raid Akame ga kill !!

作者:☆刹那☆
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プロローグ
  ➖前夜➖ ココロの起源

 
前書き
もう一つのタイトルは『終わりの夢と始まるの夢』です。 

 
そこは暗く、冷たく騒騒しい程の土砂降りの中。
そんな中に傘もささず立ち尽くす女が一人。
その女の後ろに傘を差す男の姿。
誰かがこの光景を見たら眉間に皺を寄せどうしたのかと声を掛けてくる者もいたことだろう。
だが、この場にあるのは男と女の二人だけ。

より詳しく言えば、女の腕に抱かれている小さな赤ん坊が泣くこともせずじっと女を見ている。

女の後ろから声がする。

ーーーはやくしろ。

冷淡なまでの機械的な声の正体は言わずとも男。
女は無表情な顔で膝をつき赤ん坊を地面に置いた。
赤ん坊の体に冷たい雫が無数に落ちる。
女は早足で男のもとに向かいもう片方の腕にある傘を奪い取り、赤ん坊の元へ戻り傘を差す。

ーーー意味があるのか?

そんな男の質問に答えはなく、女はゆっくりと傘を赤ん坊に雨が当たらないように地面に置き男の元へ。

ーーー無駄だと思うな。

そんな言葉を残し、男は女を連れ夜の闇に消えて行く。
赤ん坊は終始泣く事をせずじっと二人の背中を闇に消える瞬間まで眺めるだけだった。




















♯♯

♯♯♯






そこは星々の明かり、月光が照らす縁側。
そこに一人の少年が、もう春だというのに異様な寒さに上着を羽織った彼はじっと星を眺めてた。

「どうした?」

そこに侵入者が来た。静寂に包まれた夜の世界を切り裂く老齢の声。見ているこっちが思わずおぉと口にしてしまうほど見事な白髪、彫りの深い皺がよく目立つどこにでもいる高齢者。
その人物を目にした少年はげぇとした顔を顰め、再び夜空を眺める。
よっこいしょと態とらしい声を出しながら少年の隣に腰を降ろす老人。

「また喧嘩したな」

その言葉に顔を背ける。

「今度の理由はなんだ?」

「・・・・・・」

何も言わない。

「言えないのか?」

「・・・・・・アイツらが僕のこと変な奴って言うから」

「たしかにお前は変かもしれない。 妙に器用で大人びている。同年代の子達と比べれば変に思われてしまうのも仕方ないかも知れない」


「・・・・・・」

「でも、喧嘩は良くない。 お前は嫌な気持ちになったかもしれないが、お前が手を出した子達もきっと痛かっただろう」

「・・・でも」

「だからと言ってお前が悪いと言えるかと聞かれればそうでもない。 お前のことを悪く言った子達は私が言っておこう」

「・・・・・・」

「そして、お前も手を出した事を謝りなさい。 それで解決さ」

そう言いガシガシと少年の頭を雑に撫でつける。
煩わしいと思いながらも暫く大人しくしておく。
老人の手が頭から離れ、腕を組みウンウンと唸りながら夜空を見上げる。

「・・・・・・」

そんな老人の横側を見て少年は無性に聴きたくなった。

「じいさん、夢とかないの?」

「──────」

なぜそんなことを聞いたのか、なぜ今なのか、今になって思い返せばわからない。
ただ、この老人がいつも幸せ顔の浮かべながら、その瞳の奥でどこか寂しいような悲しいような、そんな風に思ってしまっていたからだ。

「夢、か・・・」

あるには“あったよ”とそれ以上は答えなかった。老人は子供達が質問すればなんでも答えてくれた。それが今この質問に対してはなぜか答えてくれない。
渋る老人に無言の圧をかけ続ける少年にとうとう老人は折れ、ぽつぽつと語り始めた。

「私はね、ーーーーーーになりたかったんだ」

聞こえない、何故ここだけが聞き取れないのか。一番大事なことだろう。

「諦めたのか?」

「うん、私にはこの孤児院という小さな箱庭しか守れなかった」

「・・・・・・後悔してる?」

「まさか! 後悔なんかしてないよ、ここはその結果だ。私はこの結果に満足してる」


嘘ではない、そう思った。この老人は本心から満足してる、いや、そうではない、満足しているのではない、満足せざる得ないのだ。
だから、この結果に後悔などないと言えるのだ。
何を目指して、なにを掴み、何を取りこぼし、何に絶望したのか、俺には、今の俺にもわからない。
ただ、この時の俺はどうしようもなく分からず屋で頑固だったから。

「なら、俺がやる」

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

本当に聞こえなかったのか、書き直したか老人は珍しく驚いたような顔をした。
目と目が合う。高さの違う目が、片や見下ろし、片や見上げる。

「俺があんたの夢の続きをしてやる」

「────」

「あんたには無理だった。 でも俺にはできる」

根拠もない自信だ。普通なら笑われて終わりだったろう。だが、何をトチ狂ったのか老人は微笑みながら、月を見上げ「そうか」といいーーー。


「ーーーーそれは楽しみだ」

満面の笑顔でそう呟いた。











 
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