MS Operative Theory
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内部図解
MSドック②
——ハンガーデッキの一般的な構成——
下の説明は艦艇のMSドック、ハンガーデッキの構成の一例である。ハンガーデッキは、艦艇が持つ最大のエアロックで状況によってはゼロ気圧(真空)状態での作業も行われる。基本的にはチーフ・メカニックによって統率されている。
■クレーン、マニピュレーター
ハンガーデッキの天井や内壁に設置されたクレーンやマニピュレーターで、MS本体やパーツ、重量物などの移動に用いられる。操作はハンガーデッキを統率する管制室や、内壁に設けられたクレーン操作室などで行われる。
■外部ハッチ、シャッター、エアロック用レール
ハンガーデッキは通常、エアロック式となっており、複数のハッチやシャッター、気密を保持するエアロック用レールによって宇宙と遮断される。それぞれの隔壁は装甲防御や宇宙線防御、気密維持などの機能を持つ。これらが突破された場合、エマージェンシーハッチが使用される。
■強制着艦用ネット
MSの緊急着艦時に強制停止させる防護ネット。事故や被弾により、着艦するMSが十分に減速できない場合、これを展開する。初期には台座型の非常着艦ネットが用いられた。
■ライフル・ハンガー
ビーム・ライフルなどのMS用火器やエネルギー・パック、弾装類を立てかけておく専用のハンガー。整備性や安全性を確保するため、MSはここから火器を取って出撃する。
■管制室(コントロールルーム)、クレーン操作室
管制室は内壁や天井などに隣接して設置されており、ハンガーデッキ全体を総括、指示を与える。その他にもクレーン操作室など、機器を操作するためのスポットも設置されている。
■メンテナンス・ベッド
MSベッド、ドーリーとも呼ばれる。整備中にMSを固定するための台座で、横倒しが可能なモデルもある。MSコックピットにアクセスするためのゴンドラや作業台、作業用マニピュレーターが設置されているほか、MSのサイズに合わせるための伸縮機能も持つ。
■カタパルト接続ポイント
ハンガーデッキの出口にはカタパルト・レールの端末があり、ここでMSドックとカタパルトが一体になったタイプでは、ドックの奥までカタパルトが伸びている場合もある。
■作業用小型プラットホーム
15m程度までの高所へ上がることができる簡易エレベーター機能付きの自走プラットフォームで、荷物の運搬などにも使用される。無/低重力下用で、移動方式はノズル(スラスター)。重力下では装輪タイプが使用される。
——ハンガーデッキのバリエーション——
最初期のMS運用艦であるムサイ級巡洋艦の誕生以降、様々なタイプのハンガーデッキが開発された。中でもシンプルで汎用性が高く、面積だけでなく容積が大きいタイプが好まれるようになった。
■特殊なハンガーデッキ———カタパルト一体型
グリプス戦役期にはハンガーデッキとカタパルトが分離したタイプが定着したが、ハンガーデッキの黎明期ともいえる一年戦争期には、ハンガーデッキとカタパルトが一体化したものなど、様々なタイプが模索された。最初期のタイプは艦の構造的な問題から容積が小さく、それ以外にも特定のMSシリーズの運用に特化するなど、汎用性や運用性に必ずしも優れていなかった。
●ホワイトベース
確認できる限り、メンテナンス・ベッドを搭載した最初の艦艇。RXシリーズの母艦として設計されており、MSにコア・ファイターを搭載する専用機構を持つ。ハンガーデッキは艦の左右に独立して設置されている。
●ムサイ改(後期型)
ムサイ級巡洋艦はハンガーデッキが狭かったため、後期型ではハンガーの天井と床にMSを収納するタイプに改装されている。また、カタパルト兼用MSベッドを採用することでMSの搭載数を増加させた。
■U.C.0080年代中期以降のハンガーデッキ———ハンガー独立型
アレキサンドリア級巡洋艦やサラミス改級巡洋艦が就役したU.C.0080年代前~中期頃には、単一または隣接したハンガーデッキが一般化し、ハンガーとカタパルトも分離されるようになった。艦内を占めるハンガーの容積も大きくなったため、MSのメンテナンス性や総合的な運用性も向上し、この傾向はU.C.0150年代の現在も続いている。
●アーガマ
二階構造のハンガーデッキを持つ。カタパルト・デッキに隣接した上部ハンガーと、上部ハンガーとエレベーターで接続された下部ハンガーの二つで構成されている。
●リーンホース
サラミス改級、クラップ級などでも見られるワンボックス型のハンガーデッキで、一般的な仕様。直接カタパルト繋がった縦長のハンガーで、エアロック時にはカタパルトへのハッチを開ける。
——艦艇以外のMSドック——
MSの出現以降、大半の軍事施設にはMSの整備が可能なドックやハンガーが設けられた。
■ラビアンローズ
ラビアンローズ級ドック艦には、8基程度の円筒形の工場ブロックが配置され、この内の数基はMSドックとして運用されている。工場ブロックの直径は50mで、自転により人工重力を発生させることも可能である。
▼工場ブロック
ラビアンローズの中央モジュール内に設置された、円筒形の工場ブロック。前面は二重ハッチ、後面には資材ハッチや人間用ハッチがある。
■地上施設
地上の軍事施設もMSの整備や改修が可能なドックやハンガーを持ち、「工場」などとも呼ばれる。キャルフォルニア・ベースなどの正規軍の直轄下にある大型の施設は大規模な工廠を持つが、地方基地では艦艇よりも小規模な場合もある。
▼MS格納庫
一年戦争時の連邦軍極東方面軍機械化混成大隊の基地に置かれたMS格納庫。MS整備・移動用クレーンやパイロット待機室が併設されていた。
▼MS用タコツボ
屋外に作られたMS用の「タコツボ」。臨戦態勢のMSがネットなどをかぶせられて待機する。簡単なメンテナンスであればここで行うこともあった。
後書き
次回 ビーム・ライフル
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