Ｂｌｕｅ　Ｒｏｓｅ

「そうした時も絵になるのよね」
「負けたその姿もね」
「何か絵になるのよね」
「不思議とね」
　それが阪神なのだ。
「巨人は負けないと絵にならないけれど」
「あれだけ負けてざま見ろって思うチームないわよね」
「どんなスポーツでもね」
　巨人には無様な負けがよく似合う。
「けれど阪神は違って」
「勝っても負けてもなのよね」
「絵になって」
「いいのよね」
「それが阪神なのよ」
　まさにというのだ、優花も。
「だから皆応援するのよね」
「阪神に華があるから」
「絵になるから」
「しかも愛嬌がある」
「憎めないから」
「それがいいのよ」
　笑顔のまま応える優花だった。
「こっちじゃ阪神の試合少ないけれどね」
「こっちはホークスだからな」
「パリーグの試合がメインだな」
「どうしてもそうなるな」
「それは仕方ないな」　
　男子生徒達も言う。
「ホークスとファイターズ、マリーンズ」
「ライオンズにゴーデンイーグルスな」
「あとどっかな」
　取るに足らない万年はおろか億年最下位のチームのことは既に誰も歯牙にもかけていないので名前すら出ない。
「そうそう、昨日そのチームに勝ったな」
「三十五対零でな」
「三試合連続完封やったぜ」
「しかも三試合連続三十得点」
「あのチームはいつもギッタンギッタンにしてやってるな」
「ざま見やがれ」
　男子生徒はホークスが勝って上機嫌だった。
「これで一気に優勝だな」
「ボーナスステージで得点あげて」
「まあファイターズもそうだけれどな」
「あそこもあのチームカモにしてるからな」
「あのチーム関西にあるけれど」　
　優花は男子生徒達に応えて話した。
「けれどね」
「ファン少ないよな」
「ダントツ不人気球団で」
「そうなの、凄く人気がないの」
　阪神と比べてだ。
「これがね」
「阪神のカリスマに負けてるんだな」
「そうだよな」
「しかも色々あって印象悪いチームで」
「人気がないか」
「あのチーム嫌いな関西人も多いの」　
　阪神と違いだ。
「色々あって」
「その色々が問題で」
「人気がないか」
「やっぱり関西は阪神か」
「阪神の牙城か」
「どうしてもね」
　実際にと答えた優花だった。
「阪神よ」
「阪神強し」
「猛虎第一か」
「蓮見は野球好きそうでもないのにな」
「スポーツ自体が」
「野球観戦は好きなの」
　それはと答えた優花だった。
「他のスポーツも観ることは好きよ」
「バスケとかサッカーも」
「そういうのもか」
「水泳や体操も」
　そうしたものもというのだ。