提督はBarにいる。
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高雄はイジられ系?
「さて、と。じゃあ俺から高雄にピッタリのカクテルを贈ろうか。」
今回は入れる材料の種類が多い為、量まで細かく書いておく。先ずはジン。シェーカーに氷と共に45mlを注ぐ。次にチェリーブランデー。
ブランデーとは、果実(主に葡萄が多い)を発酵させ、それを蒸留。そしてオーク(樫)の樽で香り付けした酒を差す。今回はチェリーを原料とした物を使用。それをシェーカーに15ml。更にフレッシュレモンジュースを20ml。仕上げの隠し味に砂糖をティースプーンで1杯半。それをシェイク。
用意するのはタンブラー。そこに氷をたっぷりと。シェイクした物を注いだら、そこにソーダを注ぐ。最後の仕上げにカットしたリンゴ、スライスレモン、レッドチェリーを飾る。
「ハイ、おまち。」
受け取った高雄は戸惑う事もせずにグラスを傾ける。
「あ、フルーティーで呑みやすい。炭酸もいい感じですねぇ♪これ何てカクテルです?」
「シンガポール・スリング。」
さっきまで機嫌よく笑っていた高雄の笑顔が引きつった。
「へ?」
「シンガポール・スリング。1915年、シンガポールのラッフルズホテルで考案された、トロピカルカクテルの傑作と呼ばれる1杯だ。」
途端に顔が赤くなってプルプル震え始める高雄。
「バ、バカにしてんですかぁ!?」
「まぁまぁ。このカクテルはシンガポールの夕焼けがモデルなんだから、あんまり高雄が気にする必要はねぇだろ?」
「む~……。私がシンガポールにトラウマ抱えてるの知ってるくせにぃ‼」
むくれながらも飲む手は止めない。そんな所もいじらしく可愛らしく見える。こういうタイプってからかい甲斐があるんだよなぁ。
「おかわり‼」
シンガポール・スリングを呑み終えた高雄が、更に酒を要求。ならば、と受け取ったタンブラーの中身を捨ててそこにビールを注ぐ。
「ほい。」
「ん……。」
高雄は受け取ると、ゴクゴクと喉をならして一気飲み。おぉう、男らしい(女だけど)。
「さっきと銘柄違いますよね?コレ。」
「お、よく解ったな。イギリスの娘になっちゃった高雄に合わせて、イギリスのエールをな……」
「まだ引っ張ります!?それ。」
高雄がカウンターに突っ伏して泣いている。からかい過ぎただろうか?
「うぅ~…、提督までバカにしてぇ……。どうせ私には魅力なんか無いんだぁぁ~…。」
あらら、こりゃ重症だわ。フォロー入れとくか。
「んな事無いぞ?高雄。俺が普通の男で、合コンに高雄が来たらダメ元でアタックするわ。」
その言葉を聞いた高雄がガバッと起き上がる。
「本当ですかっ?」
「おぅ。」
「ホントにホントですか?」
「お、おぅ。」
そう聞いた高雄が制服の上着を脱ぎ始めた。
「お、おいバカ‼何やってんだ‼」
「本当に私が魅力的ならぁ……“お持ち帰り”…してくださいよぅ。」
あ艦これ、完全に悪酔いしてやがる。仕方ねぇ、許せよ高雄。
「解ったよ。そんなに言うなら……」
「え、あ、きゃあっ‼」
俺は高雄の後ろに回り込み、膝裏と肩の辺りに両腕を差し込み、抱えあげた。所謂お姫様抱っこってヤツだね。
「そんなにお持ち帰りされたいなら……持ち帰ってやるよ。」
耳元で囁いてやると、酔って赤ら顔だった高雄の顔が更に赤くなり、頭から湯気を上げてクタッとなった。恥ずかしさの余りに気絶でもしたか?チョロ可愛いなぁ、全く。
「マジで持ち帰ってやろうか?ったく……」
勿論、そのまま高雄型の部屋に送り届けた。愛宕と鳥海がニヤニヤ笑っていたが、まぁ気にしないでおこう。
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