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真田十勇士

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巻ノ六十六 暗転のはじまりその一

                 巻ノ六十六  暗転のはじまり
 その話を聞いてだ、大坂は騒然となった。大谷はその話を聞いてすぐに石田のところに行こうとしたがだ。
 逆に石田が彼のところに飛んで来た、増田もいてそれで大谷に声をかけた。
「すぐにじゃ」
「うむ、城に入りじゃ」
 大谷は石田の血相を変えた声に応えた。
「関白様に取り直さねば」
「行くぞ」
 石田はこう言ってだった、増田と大谷と共に大坂城に入った。見れば前田玄以や片桐且元といった奉行衆だけでなく加藤清正や福島正則等最近名を挙げている武の者達もいた。
 その者達を見てだ、石田は言った。
「虎之助達も来たな」
「そうじゃな」
 大谷も応えた、加藤と福島に加藤嘉明、細川忠興、黒田長政、池田輝政、蜂須賀家政合わせて七将が全ている。
 その彼等が揃ったのを確認してだ、石田はまた言った。
「七将がな」
「全ておるな」
「あの者達も状況がわかっておるか」
「当然じゃ、この度のことはじゃ」
「何としても関白様にお考えを変えて頂かねば」
「ならん」
 大谷は石田に強い声で述べた。
「だからじゃ」
「それでじゃな」
「皆来たのじゃ」
 まさにというのだ。
「城にな」
「ではな」
「我等全員で関白様に申し出ようぞ」
「すぐにな」
「遅れて済まぬ」
 やや四角い顔の男が来た、やはり豊臣家の重臣である小西行長だ。加藤清正と並ぶ若き将でもある。
「これよりか」
「うむ、そうじゃ」
 その通りだとだ、石田は小西に答えた。
「これより参る」
「そうか、間に合ったか」
「そうじゃ、しかしな」
「ことはじゃな」
「すぐに参上しお話せねばじゃ」
「ならぬな」
「さもないとじゃ」
 石田は小西に強張った顔で述べた。
「大変なことになる」
「ではな」
 こう話して秀吉の下に向かうが秀吉の間のすぐ手前で家康や前田利家、上杉景勝、そして見事な口髭を生やした四角い顔の男もいた。毛利輝元だ。
 四人の大身の大名達を身てだ、小西は言った。
「これは」
「うむ、まさにな」
 大谷はその小西に小声で応えた。
「それだけのことということじゃ」
「まさか天下の大名の方まで揃っておられるとは」
「今大坂におる方々がじゃ」
 その大身の大名達がというのだ。
「ここに集まっておる」
「ではじゃな」
「うむ、この方々と共にな」
「関白様にお話しようぞ」
「ではな」
「おのおの方よく来られた」 
 大名達を代表してだ、家康が石田達に声をかけた。 
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