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Blue Rose

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第三十一話 街を歩きつつその十二

「まあね」
「あまりしてないのね」
「最低限してるわ」
「最低限?」
「お部屋も浴室もおトイレもね」
「大体どれ位の割合で?」
「どれも一ヶ月に一回?」
 それ位の割合でというのだ。
「お掃除してるわ」
「少ないわ、せめてね」
「一週間に一回っていうのね」
「女の子になってわかったけれど」
 そのうえでもとだ、優花は姉に何処か小姑の様に言った。
「女の子の方が汚れやすいわ」
「そのこともわかったの」
「匂いもきついし」
 このことについても言うのだった。
「だから余計にね」
「奇麗にしないといけないっていうのね」
「学校の女子トイレにしてもね」
「結構以上に汚いでしょ」
「男子トイレ以上に汚いわ」
「男子トイレに入ったことはないけれどね」
「私どっちも見たからわかったわ」
 この辺りは優花の特別な事情故だった、性別が変わったからこその。
「女子トイレは汚いし更衣室よね」
「よく男の子は花園みたいに言うわね」
「女子更衣室は」
「けれど実は違ったでしょ」
「男子更衣室より汚いし」
 花の乙女達が着替える麗しの場所であるかというとだ、その真逆だというのだ。現実は残酷なものなのだ。
「匂いもね」
「きついでしょ」
「それは姉さんもわかるわね」
「女だからね」
 だからこそというのだった、優子も。
「知ってるわ」
「そうよね」
「男子更衣室は汗臭いだけで」
「他の匂いはね」
「あまりないけれど」
「けれど女子更衣室は」 
 こちらはというのだ。
「遥かに臭いから」
「そうした匂いにならない為にも」
「奇麗にしないといけないのよ」
「だから私もなのね」
「お部屋奇麗にしてね」
 こう姉に注意した。
「くれぐれも」
「何か家事のこと前にも増して厳しくない?」
「私がいたらするけれど」
 しかしというのだ。
「いないからね」
「口でなのね」
「注意してね」
 そしてというのだ。
「何とかしてもらうから」
「そういうことね」
「奇麗にしてね」
 また言った優花だった。
「そっちもしっかりしてね」
「清潔第一ね」
「間違っても変な虫は出さないで」 
 部屋の中にというのだ。
「ゴキブリやムカデはね」
「ムカデって」
「あれも油断したら出るから」
 部屋が汚いとその汚い場所を巣にするのだ。
「しかもまず一匹ではいないから」
「ムカデはつがいでいるっていうわね」
「だからね、ゴキブリも出ない様にしてね」
「そこまで清潔にっていうのね」
「そう、しっかりとしてね」
「わかったわ、じゃあ一ヶ月に一回じゃなくて」
「一週間に一回よ」
「三週間に一回じゃ駄目?」
「だから一週間に一回よ」 
 優花はそこは引かなかった。
「手早くでもいいから」
「マメにお掃除はってことね」
「それが運動にもなるし」
 掃除自体がというのだ。
「ダイエットにもいいしね」
「そうそう、お掃除って汗もかくしね」
「カロリーも使うのよ」
 優花は姉にこのことも話した。
「だからお掃除もしてね」
「わかったわ、とにかくなのね」
「お掃除もしてね」
「そうするわね」
 妹の言葉に頷いた、そしてだった。
 優子は妹と久し振りに会えたことを喜びながら神戸まで帰った、優花はその姉を笑顔で送った。そのうえでまた長崎での日常に戻った。


第三十一話   完


                        2016・7・28 
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