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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第12話 いよいよ決戦!私、覚悟を決めます!!

 
side:小猫


深夜11時40分頃……私と部員たちは旧校舎の部室に集まっていた。それぞれが来る時間までリラックスできるように本を読んだり紅茶を飲んだりして過ごしていた。


「小猫ちゃん、手が震えてるけど大丈夫かい?」
「祐斗先輩……」


 私が本を読んでると祐斗先輩が話しかけてきた。手が震えていると言われて右手を見ると微かに震えていた。


「……通りで本が読みにくいと思いました」
「無理もないよ。僕だって緊張でおかしくなりそうだもの」


 祐斗先輩も微かに膝を震わしながら微笑む。部長や朱乃先輩も落ち着いてるように見えてとても緊張している。


(無理もないですよね、初めてのレーティングゲームで人生が決まりかけているんですから……)


 私だって例外じゃありません。このゲームに負けたらイッセー先輩と離れ離れになってしまう……そんなのは嫌です。でも修行したから絶対にライザーに勝てるとは思いません。向こうはレーティングゲーム経験者、加えて不死身の力を持つフェニックス……本当に勝てるのでしょうか?


 ガチャ


 そんなことを考えていると部室のドアが開いて誰かが入ってきました。グレイフィア様でしょうか?


「よっ、お邪魔するぜ」
「こんばんわ~」


 部室に入ってきたのは何とイッセー先輩とアーシアさんでした。


「イッセー先輩にアーシアさんまで……どうしてここに?」
「皆が緊張してないか心配でな、様子を見に来たんだ」
「大丈夫なの?グレイフィアに見つかったら……」
「直に出て行けば大丈夫だろ」


 部長の問いに先輩はそう答えた。態々危険を冒してまで激励に来てくれるなんてとっても嬉しいです。


「しかし見事に緊張してるな、皆大丈夫か?」
「あはは、情けないね……」


 祐斗先輩が力なく笑い部長達も力なく笑う。そうですよね、鍛えてもらったのにこんなんじゃ情けないです……


「情けなくていいじゃねえか、初めてすることに緊張しない奴なんていない」
「イッセーくん……」
「大事なのは失敗を恐れないことだ。何があっても最後まで決してあきらめるな、自分と仲間を信じろ」
「仲間を信じる……うん、分かったよ」
「諦めない……ふふっ、分かりましたわ」
「その言葉、胸に刻んでおくわ」


 先輩の言葉に祐斗先輩、朱乃さん、そして部長が力強く頷いた。見ればさっきまであった緊張が幾分がほぐれていた。先輩の言葉に勇気をもらったからですね。


「じゃあ俺たちはそろそろ行くな」
「皆さん、ご武運をお祈りします」


 そういってイッセー先輩はアーシアさんと部室を去ろうとする。あ、ちょっと待ってください。私は先輩の服の裾を掴む。


「小猫ちゃん?」
「先輩、ギュッってしてくれませんか?まだちょっと怖いんです……」
「ああ、分かったぜ」


 先輩は両腕を私の背中に回して優しく抱きしめてくれた。優しくて暖かくて心の底から勇気が湧いてきます。アーシアさんの涙目が気になりますが今は私が先輩を独り占めです。


「先輩、もう大丈夫です」
「そうか、小猫ちゃんも頑張れよ」
「はい!」


 先輩たちが部室から出ていく、そして十分後に魔法陣が光りだしグレイフィア様が現れました。


「皆さん準備はお済になられましたか?開始10分前です」


 私たちはそれを聞き全員が立ち上がった。準備が済んだことを理解したグレイフィア様はゲームに関する説明を始める。


「開始時間になられましたら、こちらの魔法陣から戦闘フィールドへ転送されます。戦闘フィールドは人間界と冥界の間に存在する次元の狭間に構成された戦闘用の世界。どんな派手な事をなされても構いません」


 戦闘用の世界ですか。悪魔の技術力の高さに驚きを隠せません。


「今回のレーティングゲームは両家の皆様も他の場所から中継でご覧になられます。更に魔王ルシファー様も今回の一戦を拝見なされますのでそれをお忘れのないように」
「お兄様が……分かったわ」


 部長の兄であるサーゼクス様は魔王様なので今回のレーティングゲームを見に来ても不思議じゃないですね。無様な姿は見せられません。
 説明が終わるとグレイフィア様は部室の中央に魔法陣を展開させる。


「そろそろ時間です。これより皆様を戦闘フィールドにご案内いたします。魔法陣にお入りください。尚一度転移すると終わるまでは戻れないのでご注意を」


 指示通り私たちは魔法陣に入る、すると魔法陣が光りだしていく。いよいよ決戦の舞台に向かうんですね、どんな場所で戦うことになるんでしょうか?光が更に強くなり私は目を閉じました。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



 ……転移が終わったんでしょうか?私は恐る恐る目を開けました。そこに映ったのは……


「部室?」


 さっきまで私たちがいた旧校舎の部室でした。これは一体……


『皆様。このたびグレモリー家、フェニックス家のレーティングゲームの審判役を担うことになりました、グレモリー家の使用人グレイフィアです』


 これは校内放送でしょうか?グレイフィア様の声が聞こえます。


『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、宜しくお願い致します。さっそくですが今回のバトルフィールドはリアス様とライザー様のご意見を参考にし、リアス様が通う駒王学園のレプリカをご用意いたしました』


 この世界がレプリカなんですか?窓から外を見ると空は真っ白だった。


『両陣営、転移された先が本陣でございます。リアス様の本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室、ライザー様の本陣は新校舎の生徒会室。「兵士」の方はプロモーションをする際は相手の本陣までお越しください』


 プロモーションというのは兵士の駒の特性で相手陣地の最深部まで駒を進めると「王」以外の駒になれる特性だ。相手の兵士が八人だから下手をすれば八人全員が「女王」になってしまう可能性もある。加えてこっちには兵士がいない、かなり苦しいですね……


『開始のお時間となりました。今回のゲームの制限時間は人間界の夜明けまでとなります。それでは、ゲームスタートです』


 キーンコーンカーンコーン


 学園のチャイムが鳴りレーティングゲームが開始される。私たちはまず地図を広げてどう動くか考えていく。相手の本陣と自分たちの本陣に丸を付けていく。


「私たちがまずしなければいけないのは相手の兵士を如何に無力化していくかって事ね。数で負けているのに全員が女王にプロモーションされたらこちらが苦しいわ」
「そうですわね、こちらは4人、対して向こうは15人。長期戦になればなるほど此方が不利ですわ」


 部長と朱乃先輩の言う通り長期戦は不味い、やるなら短期決戦しかない。


「なら部長、まずは体育館を確保した方が良くないですか?」
「そうね、ここをライザーに取られるのは避けたいわね」


 体育館はこちらの本陣近くにあるのでここを取られてしまうとかなり厳しくなってしまう。


「でもこちらは唯でさえ数が少ない、体育館を確保できてもそのまま守るのは難しいわ。だからいっその事破壊してしまうのはどうかしら?」


 なるほど、相手に取られても駄目でこっちが取っても守れないなら壊してしまえばいいって事ですね。


「なら部長、体育館には私が行きます。機動性の無い私は室内の方が有利ですから」
「あなた一人で?流石にそれは……」
「大丈夫です。この力を使いますから」


 私は頭とお尻から猫耳と尻尾を出す。


「小猫、貴方……」
「私はもう迷いません、猫魈の力を使います」


 そう、私の正体は猫又、それも極稀な種族である『猫魈』……私たちは仙術と呼ばれる気を操る術を使うことが出来ます。姉さまも仙術を使うことが出来その為に悪魔に狙われる事になりました。姉さまと離れる原因になったこの力を私はずっと疎んでいました。
 でも私はイッセー先輩と出会って成長できました。力に対していつまでも怯えて目を逸らしても何も変わらない。だから私はこの力と向き合いました。


「……強くなったわね、小猫」
「はい、大好きな人のお蔭で強くなれました」


 このゲームが終わったら先輩にこのことを伝えます、そしてそのままの勢いで先輩に告白してそのまま先輩の家までいって……


「えへ、えへへ♪」
「こ、小猫……?」


 はっ!?いけません、意識がトリップしていました。今はゲームに集中しないと……


「まあいいわ、それじゃあ貴方たち。ライザーに思い知らせてやりなさい、誰に喧嘩を売ったのかをね」
「「「はい!!」」」


 レーティングゲーム、スタートです!!

 
 
 

 
後書き
 こんにちは小猫です。いよいよレーティングゲームが始まりました。覚悟も決まり私は体育館に向かいます。ライザーの眷属なんかには絶対に負けません!次回13話『レーティングゲーム開始!!決めろ一発逆転!!前編』でお会いしましょう、にゃん。 
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