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真田十勇士

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巻ノ六十四 大名その十二

「よくなっておるな」
「だからですな」
「半日もかかりませんでしたな」
「では早速」
「大坂に入り」
「調べようぞ、話の次第をな」 
 幸村は十勇士達にあらためて述べた。
「まずは義父上の屋敷に入ろうぞ」
「大谷殿のですか」
「あの方の」
「それから話をお聞きしよう」
 大谷からというのだ。
「ことの次第な」
「そして場合によってはですな」
「石田殿ともお会いして」
「大坂城にも入りますか」
「そうされますか」
「ことによっては天下の先に影響する話じゃ」 
 それ故にとだ、幸村は述べた。そしてだった。
 幸村達は大坂の大谷の屋敷に入った、突然の訪問であったが大谷は一行を快く迎えてだった、茶を煎れつつ話した。
「何故来られたかはわかっておる」
「左様ですか」
「噂は風より速く動くのう」
 大谷はこの言葉を瞑目する様にして言った。
「まことに」
「はい、都では民達もです」
「もう話しておるか」
「尾鰭も付いている様ですが」
「そうであろう、噂は自然と大きくなるものじゃ」
 大谷は達観した様な言葉も出した、
「だからな」
「このこともですか」
「そうなるであろうな、ではな」
「はい、お話して頂けますか」
「源二郎殿はその為に都から来られた」
 それならとだ、大谷はこうも述べた。
「それならばな」
「お話して頂けますか」
「真実を話す、これよりな」
 大谷は確かに約束した、そしてだった。
 一行に茶を出しつつだった、静かにその真実を語りはじめたのだった。都から忍術を使って来た彼等に対して。


巻ノ六十四   完


                            2016・7・6 
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