女僧侶マアムがドラクエ世界救ってみた
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第1章
青い物体
前書き
待たせたな。(スネーク風)
反省はしていない。
「師匠!お疲れ様です!!」
「マアムさん!あの技、九頭竜○はどうやって出したんですか!?」
「えーと、アレはただ単に剣を高速で9ヶ所に当てただけなんですが……」
模擬試合が終わり、ラルス君の家に集合した俺達はラルス君達と模擬試合についての話をしている。
「その高速ってどれくらいの速さなんですか?」
「神速の域ってところですかね?」
うっかり口が滑る。
「ゑ?」
「え?」
「なにそれ怖い」
「……あ…」
失言ッ!
「今のは忘れて下さい」
「言われなくても忘れます」
不味い。何とかして話題を変えねばッ!え、えーと、えとえと……そうだ!
「……明日の予定ですが、アリアハンを出発して1日でレーベまで行きます。で、レーベに着いたら、そこを拠点に修行をします。宜しいですか?」
明日の予定を聞けばいいでしょ!
「修行!?是非お願いします!!!皆も良いよね!?」
「ラ、ラルスが良いなら行ってあげなくもないけど」
ラルス君の呼び掛けに反応したレナさんが肯定の意志を示す。まるでツンデレのごとき反応。
「……ラルスが良いなら問題ない」
「私もです!」
Oh……勇者の信用しゅごい……。
「それじゃあ、今日はこれで解散です!」
◇
俺は少しばかり困惑しながら目の前の生物に問いかけた。
「……スライムだよね?」
そう、今の目の前にはスライムがいる。それ自体は問題ないが、そのスライムというのが……
「はい。僕は人間が言うところの“スライム”と言う種族に分類される生物です。しかし、僕らスライム一匹一匹にも固有名詞、つまるところの名前があり、僕の名前はスラーと言います。そちらは勇者ご一行様ですね、お待ちしていました。僕は魔王ゾー……バラモスに不満を抱いています。ですので、少しでもお役に立てるようそちらのパーティーに加えさせて戴きたくあなた達の前に馳せ参じました」
……これである。いや、スライムってこんな饒舌だっけ?てか、何気に一瞬ゾーマって言いかけたよな?
後ろを振り返ると
「」
「」
「」
「……」
このスライム、いやスラーが喋り始めた時より“ザ・ワールド”食らったみたいに停止している。
もう一度正面を向く。
「……ゴクリ」
スラー は 仲間にしてほしそうにこちらを見ている!
仲間にしますか?
→はい
Ok
ええよ
「……いいですよ」ニコッ
満面の笑みで返す。つーかこんなキラキラした目で見られたら断れんだろ。
「あっ、有り難う御座います!」
しかし、1つ問題がある。
「ですが、それなら隠す場所が必要ですね」
「そうですね、僕を連れて街に入れば驚かれること間違いなしですからね……」
しばしの沈黙。
「その帽子はどうですか?」
そう言ってスラーが指を指した(実際にはないからそんなイメージってだけだが)のは俺の神官帽だった。確かにこれならスラーも入れそうだし普段脱ぐこともない。
「それだ!」
「ちょっと入ってみていいですか?」
スラーの問いかけに「どうぞ」と了承し帽子を脱いで渡す。……ぴったりだな。
「居心地はどうですか?」
「いいにおいがしますね」
「えっ//」
スラーのいいにおい発言に恥じらいを覚える。
『フフフ、馴染んできたみたいですね』
よくわからんタイミングで出てくんな空気。
『空気とは何ですか空気とは』
はいはい。いいから帰れ。
それはそうと早くもマアムたんと同化してきたってことか。もう諦めて女になろうかな、私。……違う、俺。
「では改めて宜しく御願いします」
「ちょっと待って下さい師匠!」
「何ですか?」
やっと“ザ・ワールド”から開放されたラルスが異議を唱える。
「スライムは魔物ですよ!?信用できません!」
なるほど、もっともな意見だ。しかしな……俺は気に入ったのだ!
「ラルス君の意見はもっともですが、私がしっかり面倒見ますし、責任も取ります。……何より私はこの子のことを気に入りました!」
「はあ……ならいいですが」
いや、いいんかいッ。
もうゴリ押しでなんとかなりそうラルス君。
後書き
次回 「修行は鬼畜が当たり前」
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