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赤翔玄-剣を握りし果てに-

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第1話 努力-諦めろと俺の心が囁く-

 
前書き
 ”諦める”事は人生においても重要な事だと思いますが、”諦める”事って大変ですよね。ゲームセンターのUFOキャッチャーで「もう少しで取れそう!」なんて、財布に入っている百円玉をポンポン投入して悲しい思いを何度もしましたよ。
 えっ、人生の規模で語ってるのに規模が余りにも小さい?
 それは誠にすいません。

 最近の諦めた事と言えば、普段、買っているインスタントコーヒーを安価なカフェイン及びカロリーオフのタイプに変えた事ですかね。
 もう、味が全然違うんですよね……。 

 
 最近、言葉使いが悪いと、とある方に額に拳骨を貰って注意されたので上手く出来るか分からないがやってみる事にした。
 そう最近の事と言えば孫文台様の長女である孫伯符様の姿をよく外で見掛ける様になったと感じる。
 まぁ、この際、それはいいとして――。

「百九十七…………百九十八…………百九十九…………二百…………」

 今日の俺達の部隊の調練を担当していた“鬼教官”として、主に新兵から恐れられている程徳謀様が、”急な用向き”との事で調練場を後にし調練終了予定時刻まで自主訓練となっていた。
 しかし、やはり……と言うのか、新兵達は程徳謀様が調練場から去り、その姿が見えなくなると一斉に地面に腰を下ろして休憩している。
 それから何人かの古参の兵士達が新兵達に注意するが新兵達は、まるで言う事を聞かない。「足が鉛の様に重たくて動けない」と泣き言を言うものや、「死ぬ……」と脱水症状一歩手前の苦しそうな表情で天を仰いでいる。後者は兎も角、前者はどうかと思うが……”終わったな”、苦しくて自主訓練をサボっている新兵達には可哀想だが、あそこで洗濯物を干している女中が程徳謀様の手の者だ。サボっている奴等は、皆、彼女に密告されて後で追加訓練という名目で、とても悲惨な目に合う。

「二百三十…………二百三十一…………二百三十二…………二百三十三…………」

 以前、俺達孫呉の兵士の間でとても不真面目で有名だったある兵士が追加訓練を受けて“一週間”も寝台の上で生活する破目になり、その間に“血の混じった尿”を出したと聞いた。また、その兵士が毎夜、毎夜、「お母さ~ん!」と獣の様に泣き叫んだとも聞いた。
 何にしても恐ろしい話だ。

「二百五十…………二百五十一…………二百五十二…………二百五十三…………」

 何にしても自主訓練をサボる事は感心出来る事ではない。それが自らの死を招く要因になり、それが仲間の命を奪う結果に繋がるかも知れない。また、戦場で敵と接敵した際に、訓練をサボる者は相手に異常な恐れを抱くだろう。何故なら、相手に勝てる”自信”と”根拠”が自分にないからだ。

 俺は訓練をサボらない。
 それどころか人の倍の訓練量をこなす、これは自慢ではない。それには俺が戦場で死にたくないという気持ち以上に自分の強さに全く自信がないからだ。
 上には上がいるんだ、その良い例が……孫文台様の側近の“四将”だ。
 あの人達の背中は遠い、あまりにも遠い……遠くからだと曖昧で見えないかも知れない、でも、俺は近くで見て嫌と思うほどに知った。あの誰にも追随を許さない、味方ながら恐ろしいとも感じる、秀でた“才能”――俺にある“才能”は何かと聞かれれば間違いなく、好きな事なら一生懸命に“努力”出来る事だと思う。他の兵士達と違いがあるとすればそれだけだと俺は思う。

 あの新兵達が俺の必死に訓練している姿を見る表情は「どうして、そこまで、頑張るんだ?」と言いたげだ。
 弱いからだよ、心も体も弱いからだよ……どれだけ訓練しても一生追いつけないと感じさせる人間が俺の周りにはゴロゴロいるんだ。ただでさえ、“凡人”の俺が人一倍努力しなければ俺の描く“夢”は、一瞬の内に泡と消えて無くなるんだ。

「おぉおおおぉぉぉっ! 二百八十八…………二百八十九…………二百九十!」

 ――もう腕が引き千切れそうなくらい熱くて痛い……もう、諦めろよ! お前が少し頑張った所で何も変わらない。ただ、お前は努力の加減も知らない馬鹿だと罵られるだけだ。

「二百九十一………………二百九十二!」

 そんな事は十分に分かっている。今、諦めてしまえば何もかも楽になる……でも、それでも俺は……この程度で“限界”なんて感じたくない。俺はもっと高みを目指すんだ。

「二百九十三………………二百九十四!」

 ――幾らお前が努力しようと“越えられない壁”は現実に存在するだぜ?

「二百九十五………………二百九十六!」

 一々、五月蠅いんだよ。お前はあの頃の近所の小父さんと同じか……お前の言う“現実”ってなんだよ。諦める事か、俺は馬鹿なんだ……そんな難しい事は聞いてくれるな。

「二百九十七………………二百九十八!」

 ――人一倍努力して、その努力が報われなかったらどうするつもりなんだ?

「二百九十九……くっ!」

 ――お前如きの一人の努力で、この世の“未来”が、誰かの“運命”が少しでも良い方向に変わると思っているのか? この自意識過剰野郎! お前みたいな無責任に頑張る人間が社会を腐らせるんだ! 大人しく、己を殺し、社会の一部として楽に生きる道を選べ!

 そうか知れない……だけど、俺はっ!

「おぉおおおぉぉぉっ! あがれぇぇぇっ!」
「後一回だ、気合入れろぉっ!」
「お前なら出来るぞ、お前は俺達が認める“孫呉一の努力家”だ!」
「儂の為にも頑張ってくれっ、老いぼれの儂に“努力”が何たるかを教えてくれたのはお主じゃ! 頼む、頑張ってくれ!」

 何だよ……皆……自分の訓練はどうしたんだよ…………新兵達が何事かと驚いているじゃないか。

「そんな無茶な事をして腕を真っ赤にしやがって、まだ、諦めんじゃないぞ! おい、誰か、何か、冷たい物を持って来い!」
「調練場の最寄りの水汲み場まで、それなりの距離があるぞ。絶対に間に合わねぇぞ……そうだ、あの木の木陰に置いてある盾のひんやりとした鉄の部分を腕に当てるなんてどうだ!」
「おぉ、それは名案だ! 直ぐに持って来い!」

 “名案”なのか、“迷案”ではなくて……なんにしても腕が冷えるのはありがたい……。

「よしよし、行くぞっ……おぉ、“ジュウ”っていったぞ、“ジュウ”って!」
「行けるか? それとも、もっと当てるか?」
「……お蔭様で行けそうですっ…………くっ、おぉおおおぉぉぉっ、あがれぇぇぇっ!」
「「「「「「「「三っ百! いっやったぁあああぁぁぁっ! 胴上げだぁぁぁぁぁっ!」」」」」」」」」
「「「「「「「「翔玄! 翔玄! 翔玄! 翔玄! 翔玄!」」」」」」」」」

 悪いな……努力する事を忘れて、諦める事に必死になったお前に言われても、その言葉は価値がある言葉に聞こえない。
 お前の言葉は軽い、軽すぎる……見てみろよ、俺さ、何時もの様に訓練で……今回は自主練習で、たまたま、三百回腕立て伏せを“諦めるお前”と悪戦苦闘しながらも必死にこなしただけで、皆は泣いて喜び俺を胴上げして“祭り”の様になっているぞ。
 俺にとっては、この人達の「頑張れ」の応援の言葉の方が重い……「やらなきゃ」と無駄に力が湧いてくる。
 確かに、お前の言葉は、きっと、“現実的”で正しい事かも知れない。でも、その正しさを教えてくれたのは俺達の良く知っている“お節介な人達”じゃないか?
 お前はあの“お節介な人達”と同じだよ、自分達にとって“都合の良い正しい言葉”を、まるで、当然の事であると無責任に息をする様に口から吐き出す。

 憶えているか……あの村にいた時に……何故、周囲の大人達は口を揃えて同じ言葉を俺達に言い聞かせるに毎日、毎日、飽きもせずに言い聞かせる様に言ったのか?
 あの村では俺達の家庭は少しばかり“裕福”な家庭だったからだ。そして、俺達の家族は笑顔が絶えない良い家庭だった。そんな少しの違いが積もり積もって、様々な負の要因と結びついて、許せなくなるんだ。何故、こうも違うんだ……不公平だって。
 そして、彼等は”世間体”や”都合の良い現実”に惑わされて、まともに生きていない者達だ。

 きっと、理由はそれだけなんだ――。

 ある時に幼馴染の“王”が俺に言った。
 「家の母ちゃんさ、たまにお前の事を悪く言うけど。本当は、御近所付き合いの為に、その場で適当な事を合わせて言っているだけだから。ほら、おいらの母ちゃんの手作りの“握り飯”。お前の事を陰ながら応援しているってさ、勿論、おいらもお前の事を何時も応援しているぞ」……あの時は本当に泣きそうになった。
 “王”だけじゃない、“朱”、“李”、“黄”、“厳”、“韓”達もだ。あいつ等さ、もう、諦めようかと考えていると決まって俺を励ましに来るんだ。そして、決まって“王”と同じ様に俺の味方であると励ましてくれたよな。
 そう、今更ながらに気づいたけど、俺だけが描いていた“夢”がさ――あいつ等と一緒に描く“壮大な夢”になったよな。諦めて良い筈がない……きっと、俺が諦めて村に帰る事になっても、あいつ等は許してくれるだろう。それどころか、「今までよくやった」と言ってくれるだろう。でも、俺は見栄っ張りなんだ、格好つけなんだ、同情の言葉一つの為に手ぶらで村に帰る事は出来ないんだ。
 俺はあいつ等よりも恵まれた環境で過ごした、そして、何よりも“運”が良い。それを自覚している、だから、俺は――俺自身の“諦めで”村に帰る事なんて在り得ない、死に物狂いで努力……努力……努力の果てに……お前が言う、現実に存在する“越えられない壁”にぶち当たって、瞬殺されて“棺桶”になって村に帰る方が良い。
 何せ、俺は“剣”を握ったんだ。若くても弱くても現実を知らなくても、心構えだけは立派な“武人”の一人なんだぜ。

 じゃあな、次はいつ会うだろうな。出来れば――夢が叶う、その時まで会いたくはない。けど、お前が出て来たら、また、ぶっ飛ばしてやるよ。

 そろそろ、下ろしてくれないかな……何事かと、程徳謀殿が鬼の形相でこちらの様子を遠目に眺めているんだ。まぁ、凄く気分が良いから、どうでもいいか……。後の事は後で考えよう……。





 調練場で馬鹿騒ぎしているとの報告を受けた程普は調練場の兵士達の監視役であった女中を呼び寄せ、彼女の報告を聞いた。

「あの馬鹿者共がっ、自主訓練も満足に行えないとは実に嘆かわしいぞ! おい、お前、あの胴上げされている小僧は誰だ!」
「こ、項翔玄です」
「項翔玄だとっ……確かなのか!」
「は、はい……」
「そうか――――奴も私が調練場に居なければサボる愚か者の一人だったのか……ほぅ、この私が目を掛けていただけに……許せん! 奴には、今から私の“特別訓練”をたっぷりと味合わせてやる!」
「……そ、その程徳謀様!」
「何だ!」
「あ、あのっ! 素人の私が見ても項翔玄の自主訓練は素晴らしいものでした。皆は自らの訓練も忘れる程に項翔玄の鬼気迫る気迫の籠った訓練模様に魅了されたのです! 私も気付けば、洗濯物を片手に必死に彼を応援していました、ほ、本当です! 皆は最後までやり遂げた項翔玄を自分の事の様に褒め称えて胴上げしているだけです!」
「――――だが、それが事実だとしても罰を与えなければ他の兵士達に示しが……」

 必死の形相で女中が程普に説明をするも、程普は女中の話を聞いて納得した上で調練場にいる兵士達に罰を与える、と女中に言いかけると程普の後ろから、黄蓋が顔を覗かせて言った。

「お主の負けじゃよ。あの馬鹿騒ぎをしている兵士が来たのなら、兎も角、お主の間諜である女中がそう言っているんだ。ここは素直に諦めよ」
「むぅ……まぁ、今回はお前の顔に免じて不問にしよう。誠に……不・本・意だがな!」
「そんな大きな声で言わんでも聞こえとるよ。まぁ、しかし、面白い男よ……項翔玄という男は……“許昌の乱”では一時どうなるかと儂は思ったが、良い方向に成長しておるではないか」
「奴は若過ぎる……良い意味でも、悪い意味でも……“堅”も何を考えているのやら……。そう言えば、奴に剣のイロハを教えてやったのは、祭、お前だろう?」
「……何故、それをお主が知っているのじゃ?」
「この前の酒の席でベロンベロンに酔っぱらった“雅”がな、「祭がぁ、“例の子”を自分の隊に引き抜こうと点数稼ぎしている所をね~偶然だけど~この目で~バッチリ! みたのよ~本当なのよ~」って、最低の絡み酒でな」

 程普が“雅”、韓当の口調を真似て、前回の酒の席で何を言っていたのか、黄蓋に上手く再現して見せた。しかし、黄蓋は程普の“雅”の真似口調に不快感を示す様に眉間にしわを寄せて不機嫌そうに呟く様に言った。

「…………心外じゃな、別に点数稼ぎをしておる訳ではないぞ。たまたま、暇を持て余している所に堂々と下手糞な剣捌きを披露している“あやつ”がおった、理由はそれだけで十分じゃろ。何せ、儂等は“武人”なのだからな」
「はははっ、違いない。まぁ、私は“雅”に教えて貰わなくとも、奴が剣の構え方を変えた日は私が調練を担当していたんだ。誰が教えたか一発で分かったよ。あぁ……ありゃ“祭”だってな」
「ほぅ」
「左手を前に力強く突き出し、矢を番える様に剣を持った右腕を下げ、初剣、“突き”を連想させる”変幻自在の剣”。格闘術をアレに少し盛り込めば更に化けるな。少なくとも一騎打ちでは凄まじい強さを誇るだろう……が、あの剣の構えはかなり使い手を選ぶ、奴には少し難しいのではないか?」
「まぁ、最初は儂もあやつに剣の型を一通り教えてから、やはり、少し荷が重いと思ったのじゃが、あやつは儂の前で行き成り“腕立て伏せ”を急に始めよったのじゃ」
「成程――――奴の我流は元々“一撃必殺の剛の両手剣”。祭の教えた剣の型は“変幻自在の片手高速剣”……その違いを理解し、何が自分に必要か考えた後で、その場で“腕立て伏せ”か……やはり奴の考える事は“凡人”が考える事と、一味も、二味も違うな」
「うむ、儂の言葉を素直に聞き入れて、馬鹿正直に“素直な努力”を始めおる」
「ふっ、面白い……祭が剣術を教えたのならば、私は格闘術を奴に教えてやるとするかな!」

 程普は右肩を回して意気揚揚と黄蓋に言った。それに対し、黄蓋は渋い顔で程普に言葉を返した。

「――――あやつは孫呉において、既に貴重な存在だ。日頃の憂さ晴らしの相手にするでないぞ?」
「失礼なっ、私はっ!」
「昔、祖茂……“灯”が儂に泣きついて来たわ。「程徳謀は空いた時間に格闘術を私に教えるという名目で、訓練事故に見せかけ私を撲殺しようと目論んでいます。助けて下さい!」と深刻な顔付きでな。お主は誰かに何かを教えるのに熱が入り過ぎる上に、力加減がド下手糞じゃ。お主は誰かにものを教える事にとんと向いてないじゃ、自覚せよ」
「っ――それは……この私に喧嘩を売っていると捉えていいのか?」
「喧嘩? なんの事じゃ、儂は事実を述べただけじゃぞ?」
「良い度胸だ、祭! 今から問題のあった調練場に私と来い、私の強さをお前に……“丁寧に”教えてやるぞ?」
「何を馬鹿な事をお主は“格闘術”、儂は“弓術”じゃ。どう考えても儂が不利ではないか?」
「ほぅ、黄蓋殿は素手の人間に弓を持ってしても勝てないと……成程、成程、道理で黄蓋隊の弓兵は“腰抜け”共が多いと思った。可哀想な兵士達だ、率いる大将が“腰抜け”では仕方がないな、うん?」
「――――その勝負受けて立とう……しかし、程普隊の歩兵も大将に似て、低能の癖に偉そうに人に物を語る“馬鹿丸出し”の“下品”な者ばかりじゃが――それも仕方がないのぅ……何せ、部下は大将に似るんじゃからの?」

 二人は問題の起こった調練場に向かう際に、お互いに皮肉めいた罵り合いをしながらゆっくりと歩いて行った。お互いに、これでもかというくらいに額に青筋を浮かべて。





「おいおい……黄公覆様と程徳謀様が決闘と言う名の大喧嘩をしておられるぞ。俺達は御二人を止めなくてもよいものか?」
「さぁ――ただ、俺達は厳密に言うと御二人の直属の兵士ではないからなぁ……翔玄はどう思う?」
「……一応、俺達の調練を担当されていた程徳謀殿が、この場を去られる際に調練予定終了時刻まで自主訓練であると言われた筈だから、もう解散してもいいじゃないか? 調練予定終了時刻は過ぎているし……俺、腹が減ったから先に街に行く」
「成程、成程、……今から翔玄が昼飯を食いに街に行くってよ! ここは街一番の美人給仕のいる“雛罌粟”に行かないか?」

 街一番の美人給仕のいる“ひなげし”か……変わった名前だな。この街に来て、暫く経つけど知らないな、そんな店、街に在ったか?
 まぁ、料理の値段が安ければいいけど……。

「そりゃいい、少ない給金を突っ込むなら、あの店以外は在り得なねぇ!」
「よしっ、雛罌粟に突撃じゃ!」
「「「「「「「「「応っ!」」」」」」」」」
「訓練中よりも元気じゃないか、皆…………気にしたら負けか」

 俺は同僚に腕を引っ張られ、街一番の美人給仕がいるという食事処“雛罌粟”へ向かう事になった。俺は一人でゆっくりと落ち着て食べたいんだけどなぁ……。
 俺の思いは皆に届く事は無かった。
 
 

 
後書き
 生きる理由を探す若者が増えた様に感じる、今日、この頃……。
 本当の意味で「生きる」を知った時に人間は「金」を手放し、「時間」を選ぶと思うんですよね。あ、あくまでも個人的な見解ですので注意して下さい。
 皆さんは「ハヤテの如く」って漫画を御存知でしょうか。別にステマのつもりではないんですが、この漫画の御蔭で「努力」の面白さ、「努力」の重みを知れた様な気がするんですよ。
 24262円……この数字は一日一円として、80歳まで生きた場合の日数を表す数字らしいです。”このお金の中に無駄に使っていいお金があるのなら、自由に無駄にしてもいい。このお金をどう使おうが、それは自分の自由”だと。

 しかし、人によっては自分に与えられた時間の筈なのに、誰かの為に使わないと行けない時もありますよね。まさに、私の友人がそうでした。
 あの時に、私は凄く幸運なんだと実感しました。でも、そんな苦境の中でしか得られない”輝き”を持ってましたね、彼は……。私は彼が怖かったですよ、何せ、彼の”輝き”は私の人生そのものを否定する様な”輝き”でしたから、思えば、よくあの時に、私は廃人にならなかったと少し感心します。
 
 努力って、無駄とか、弱い才能がない奴がやる醜い行為だと罵る人間がいますが、私はそんな事は思いません。自らの能力を高め、目標に向かって頑張る人間は素敵だと思います。

 経済的事情なのか、上を向いて頑張る人間を叩き止めす人間が増えた様な気がします。まぁ、たぶん、その気持ちも分からない訳でもないんですよ。たぶん、私自身があの友人に魅せられた”輝き”を恐れる気持ちと同じ様な感情だと思います。
 人間って簡単に物事を諦められないんですよ。言葉で「諦める」って何度も言ってもね。

 「諦める」……それは何に対してなのか、「諦める」……何か、誤魔化しの理由で言ってないか、「諦める」……それは目標とする物事に対してか、自分の心にか。

 昔の人の名言の様な普通の説教は困ります。私も上記の様な事を何度も聞かされて、その人の事が嫌いでした。今、思うと私の「諦める」の言葉の数々は、ただの世間体に惑わされた数々だった訳です(笑)

 あぁ~強くなりたいですよ、今の歳でも、そう思います。
 
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