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真田十勇士

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巻ノ六十一 姫武将との戦いその八

「それで風魔も来るとなると」
「どうしても苦戦は免れぬか」
「そう思う」
 こう友に言う。
「だからな」
「苦しいか」
「しかし攻め落とさねばならぬ」
 忍城、この城をだ。
「何としてもな」
「そうじゃ、ではな」
「この夜は総攻撃じゃ」
 大谷は確かな声で言った。
「わかったな」
「わしも御主も出る」
「無論じゃ、総出で行くぞ」
「それではな」
 二人も意を決した、風魔が出るとなる余計にだった。彼等は風魔のことを知り余計に気を引き締めた。
 その夜攻め手である幸村達は晩飯を食い夜になるとすぐに戦の用意に入ろうとした、だがその彼等を城の中から見てだ。 
 甲斐姫は兵達にだ、強い声でこうしたことを言った。
「今宵は来ます」
「上方の軍勢がですね」
「来ますね」
「夜襲を仕掛けてきますか」
「今宵に」
「そうしてきます、先程城の外から狼煙がありました」
 夜襲があると教えるそれがというのだ。
「風魔から」
「何と、風魔が来るのですか」
「我等の援軍に」
「彼等が来るのですか」
「そうです」
 まさにというのだ。
「夜の彼等は無敵です」
「だからこそですね」
「我等もここは気を張り戦い」
「そしてこの城を守るべきですね」
「何があろうとも」
「この戦が終わるまでは」
 絶対にというのだ。
「城を守りましょう」
「そして機が来ればですね」
「小田原に向かい殿をお助けする」
「そうされますね」
「そうです、だからこそ」
 絶対にとだ、甲斐姫は強い決意を以て兵達に告げた。そして自ら薙刀を手にして鉢巻を額に付けてだった。
 身構えた、城の壁の外からだった。
 何かが来た、それは一人の影だった。
「敵が来ました」
「そうですか」
「はい、四方八方からです」
「城を囲んだうえで」
「一気に攻め寄せてきております」
 夜の闇の中でというのだ。
「ですから」
「わかっています、これより打って出ます」
 これが甲斐姫の断だった。
「そして敵を追い払いましょう」
「でjは我等も」
「はい、お願いします」
 影にだ、甲斐姫は答えた。
「一気に戦い倒しましょう」
「さすれば」
 影は甲斐姫の言葉に頷いてだ、そしてだった。
 姿を消した、甲斐姫はその消えたのを見届けすぐに動いた。
 石田と大谷、浅野が率いる軍勢は忍城を囲んだうえで夜の闇に紛れて音を立てない様にして進んでいた。真田兄弟の軍勢もそこにいる。
 その中でだ、信之は幸村に問うた。二人は共に馬に乗っている。
「どう思うか」
「城の方からですか」
「出て来ると思うか」
「間違いないかと」
 幸村は兄に自分の読みを告げた。 
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